ちょっとしたはずみで、犬がキャンッと鳴いて、足を付けないような状態になったことはありませんか?それもはもしかすると、骨折しているのかもしれません。今回は、犬の骨折と応急処置について解説していきたいと思います。
日常生活での犬の「骨折」するタイミングとは
普段の生活を送っている時に、ソファから飛んだ時や、喜んで跳ねている時に、愛犬が足を痛めたように鳴いたことが無いでしょうか。こんなとき、しばらく足を引きずる様子などが見られた時には「骨折していないかな」といったように、大丈夫かなと心配になりますよね。
犬が骨折してしまう原因としては、このようなちょっとしたタイミングで落下した場合や、他の犬との喧嘩や遊んでいる最中での衝突が考えられます。また、日頃の栄養が足りておらず、栄養失調のために骨が折れやすくなっているといった場合も考えられます。
こうした骨折の要因の中でも、特に多いと言われているのが交通事故による骨折です。散歩中などは特に注意が必要ですので、しっかりとリードを持ち、犬が車道などに飛び出していかないようにしなければいけません。
犬の骨折について
一言で骨折と言っても、実は骨折にも様々な種類があるのをご存知でしょうか。これは犬に限らず、人間が骨を折ってしまった場合でも同じですが、いくつかの骨折と症状がありますので、まずは骨折の種類について確認してみましょう。
【亀裂(きれつ)骨折】
一般的に「ヒビ」が入った状態の骨折が、この亀裂骨折と呼ばれる骨折です。
【剥離(はくり)骨折】
剥離骨折と呼ばれる骨折は、通常であれば骨に付着している筋肉や靭帯が、何らかの衝撃などで骨から引っ張られる=剥離する状態の骨折をさします。
【圧迫骨折】
骨に強い衝撃が加わることで、骨が折れてしまう状態を圧迫骨折と呼びます。
【疲労骨折】
激しい運動や、衝撃は小さいものの、常に骨に小さな衝撃が加わり続けることで疲労骨折を引き起こしてしまいます。
【開放骨折】
開放骨折は、交通事故などで骨が折れ、皮膚を突き破ってしまっている状態の骨折です。
骨が折れた時の症状とは
犬は多少の痛みはもちろん、よほどの痛みが無ければ、その感情を外に出しません。
しかし、骨折してしまったかな?と思われる際に、明らかに歩き方がおかしかったり、患部に触れるのを嫌がったり、座って動かなくなるといった様子が見られる場合には、やはり骨折を疑ったほうが良いかもしれません。
このほか、スキップしながら歩いていたり、座り方が不自然だったり、元気や食欲が無いなどの症状も見られるでしょう。
また、骨折したことによって神経系統や血管、筋肉といった部位にも何かしらのダメージが加わってしまうために、他の病気を併発してしまう恐れもあります。
骨折の治療は早ければ早いほど、完治させるのも早くなりますので、愛犬の様子をすぐに察知するようにし、すぐに治療を行うようにしましょう。
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安易に患部に触れて噛み付かれた原因とは?
犬の骨折に気がついて、ついつい起きてしまうのが愛犬に噛まれてしまうという事故。あまりの痛みについ、防衛反応が働いてしまい、噛むような仕草や、実際に咬み付いてしまうといった行動をとるかもしれません。
犬が骨折してしまっている場合には、確かめようとして安易に患部に触らないようにしましょう。ついつい患部を確かめようと愛犬の患部に触れてしまいがちですが、この場合、飼い主さんに噛み付こうとしてしまうのは、「触らないで!」のサインです。人間でも、骨折した患部に触れられると触られたくはありませんよね。
とはいえ、そんな状態であれば、ほぼ確実に骨は折れていることでしょう。強い痛みがあると苛立ちや焦りが生じるため、日頃の愛犬の様子とはまるで変わってしまう事でしょう。こうした様子が見られる場合には、早急に応急処置を施すようにしましょう。
犬が骨折した時の応急処置について
前述のような、どのタイプの骨折かと言うのは、見た目だけでは判断できないものもあります。軽症・重症にかかわらず、犬が骨折をした時には、迅速に応急処置を施す必要があります。
まずは患部を固定できるような「副木」を利用して、骨折している患部をガーゼなどで副木ごと巻きつけます。この時、圧迫するほどにあまり力強く締め付けないようにしましょう。こうして副木で応急処置を施したら、すぐに病院に運ぶようにしましょう。
また、前述の通り、犬が痛みで興奮してしまっている場合には、無理に処置しようとせずに、すぐに病院に運ぶことを考えましょう。もしかすると、痛みを堪えて逃げ回ったりしてしまう恐れもありますので、骨折の症状もより悪化してしまいます。あまり追っかけたりはせずに、迅速に動物病院に運ぶようにしましょう。
犬の骨折を完治させる期間は?
犬が骨折してしまうと、完治させるまでにはおおよそ3ヶ月ほどを要することとなります。また、長くなると半年以上も完治させるのに時間がかかる場合もあります。
とはいえ、これもあくまで目安の期間。愛犬の状態によっては半年を過ぎても完治出来ない場合もありますので、まずは安静にさせ、完治させることを最重要視する必要があります。
犬の骨は骨折後、再び骨を結合しようと細胞が活性化し、自然治癒力が上がるのですが、おおよそ2週間が自然治癒力のピークとなります。そのため、この2週間が骨折後、最も大切な期間となります。
骨折の治療が遅れれば遅れるほど、完治させる期間が長くなってしまうので、できるだけ早くの治療を行うようにし、治療後は安静に保つことが重要となります。
犬の骨折を治療する費用は?
犬の骨折に関わる治療費用は、どの程度を予定しておけばよいのでしょうか。
骨折の状態や症状によっても変わってきますが、軽度である場合でも10万円〜という金額が発生するでしょう。また、治療に関しても手術となれば、入院費用も含まれるため、20万円〜30万円といった治療費が発生してしまいます。
レントゲンや血液検査といった検査項目に加え、簡単な手術費用でも4万〜5万円といった治療費になり、さらには完治させるまでには前述の通り、数ヶ月間という時間も要するため、手術を行い経過観察のための通院までをトータルすると、結構な金額になりそうです。
骨折して痛いのは犬ですが、飼い主さんの財布も痛手を負ってしまう犬の骨折。こうした事態にならないよう、骨折しにくい日頃の健康管理を十分に行うようにしましょう。
栄養管理で骨折しにくい体に
犬に十分な栄養が摂取出来ていないと骨にも十分な栄養が備わっておらず、遊んでいたはずみで、犬が骨折してしまうことも少なくありません。特に幼少期とシニア期の犬は要注意です。こうした年代は、骨が折れやすくなっている場合もありますので、愛犬の扱いには十分に注意するようにしましょう。
骨はサプリメントや、食事でも丈夫にすることができます。とはいえ、過剰に栄養を摂らせてしまうと、栄養過多になったり、肥満になったりしてしまい、結果としては骨折を助長してしまう結果になるかもしれません。
骨を強化しようと、それだけに注目してしまうと栄養のバランスが崩れてしまい、思うような結果を得られない場合もありますので、あくまでもバランスの取れた食生活が重要なのです。しっかりとした食事をとり、適切な運動と、適切な栄養補給を行うようにしましょう。
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家の中にも骨折の危険性が
事故や外での思いがけない事態で骨折してしまう場合もありますが、実は家の中でも骨折を引き起こしかねない危険な箇所はたくさん存在しています。
家の中にはちょっとした段差や、ソファーの高低差、手やツメが引っかかってしまうような箇所など、たくさんの骨折を引き起こす場所が存在しています。中でも多いのが、前述の通り、ソファーからの飛び降りです。骨がもろい犬だと、すぐに骨折してしまうでしょう。
まだ、ふだんでは引っ掛ける心配のないような場所も、ちょっとした時や犬が慌てている時には危険な箇所になってしまいます。テーブルの脚や家具の隙間など、おかしな角度で引っ掛けてしまうことで骨折を引き起こしかねません。
できるだけ犬が生活する空間は、引っかかるような場所やぶつかりそうな箇所、高い場所を減らすようにし、万が一の場合に備えてクッション材を敷いておくなどの配慮を行うようにしましょう。
犬の骨折を無くすために
犬の骨折に関する治療には様々な固定法が存在し、場合によってはギブスをはめたり、骨に直接ピンなどを差し込む固定法も存在します。こうした痛々しい状態にならないよう、まずは肥満体型にならないようにすること、正しい食生活を送らせること、過度な運動や高いところからの飛び降りをやめさせることなどが、骨折を予防する手段となります。
また、交通事故には十分に注意するようにしましょう。散歩中は、リードを短く持ち、万が一犬が飛び出していかないよう、気を付けるようにしましょう。
通常の生活から、少しプラスアルファの行動を加えるだけでも、骨折するリスクを軽減することができます。まさかと思わず、日頃から骨折しないような生活を送れるようにしましょう。
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