大型犬種に好発する「股関節形成不全」という股関節の病気。成長とともに、体の作りも大きくなるため、バランスの取れない状態で成長することで、股関節形成不全を引き起こしてしまいます。今回は股関節形成不全について解説していきます。

スポンサーリンク

股関節形成不全について

比較的、大型犬種に多く見られる「股関節形成不全」という病気。大型犬を飼っている方であれば、少なからず意識したことがあるのではないでしょうか。
股関節形成不全とは、その名の通り犬の「股関節」の変形が見られる病気で、遺伝的なものが多く関わっている病気です。

その多くは、急激な骨の成長とともに、筋肉の成長が遅れることで股関節形成不全が引き起こされてしまいます。股関節形成不全を発症することで歩き方がおかしくなったり、疲れやすかったり、元気がなくなったりと言った症状が現れます。

股関節形成不全の症状について

これまで元気に歩いていたのに、最近、歩き方がおかしくなったなと感じることはないでしょうか。腰を振って歩くような仕草は、股関節形成不全が疑われます。また、足を引きずって歩いたり痛がると言う様子も見られるでしょう。
このように股関節形成不全を発症すると、股関節に痛みを生じるために運動を嫌がったり、階段の昇り降りなども避けたがるようになります。

遺伝的な部分が多いと言いましたが、実に多くの大型犬が抱える病気の一つでもあり、早く症状が現れる場合には4ヶ月頃から、こういった症状があらわれはじめます。
好発犬種には、ジャーマン・シェパードや、グレート・ピレニーズ、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ニューファンドランド、ロットワイラー、セント・バーナード、バーニーズ・マウンテン・ドッグが挙げられます。

股関節形成不全の原因とは

このように、日本でペットとして飼われる大型犬種の多くが、股関節形成不全を発症する確率が高いことが指摘されているのです。前述の通り、大型犬の成長スピードが関係しており、成長による急激な体重増加が一つの要因とされています。

そのため、幼少期〜の成長期に極端に太ったりする事も、股関節形成不全を引き起こすリスクとなります。また、あまりにも激しい運動を行わせるのも避けたほうが良いかもしれません。その多くは遺伝的なものではありますが、油断はできないです。

若年齢での股関節形成不全の治療について

股関節形成不全を治療する場合には、犬の成長度合い、年齢、症状などでそれぞれ治療法が変わってきます。

まだ症状が軽い場合、また年齢も若い場合には、激しい運動を避け、それ以上の悪化を防ぐために安静にするように促されるでしょう。
しばらくの間はこうした生活を送るようにし、成長とともに骨盤や股関節がしっかりと成長するのを待ちます。丈夫な骨格を形成するための食事も欠かせません。しかし、肥満になるほどの食事量や、一切動かないような生活も危険です。

あくまでも悪化しないように安静にし、栄養価の優れた食事を摂取、適度な運動を行い、丈夫な骨格・股関節を育てるといった方法です。

股関節形成不全の症状が進行している場合

犬の歩き方がおかしいというのを通り越し、犬が痛みを感じているような状態であれば、痛みを和らげるための対症療法が行われます。また、関節炎などを引き起こさないように、抗炎症剤などが投与されます。
こうした投薬治療が長く行われ、同時に食事の管理や股関節形成不全を悪化させないように、日々の生活でも注意するようにします。

しかし、こうした治療もやがては効かなくなってきます。さらに症状が進んでしまい、移動することもままならないような状態になってしまったら、最終的には外科手術となります。外科手術には、骨の切除や人工関節を組み込む手術が行われますが、成長段階にある犬に対しては、また別の手術が行われることでしょう。

若年で発症する可能性もある股関節形成不全なので、これから成長していく犬にとっては、できるかぎり外科手術を避け、丈夫な骨格・関節の成長を促す方法が最善です。

股関節形成不全にならないためには

遺伝的な要素も大きい股関節形成不全ですが、何と言っても成長期の栄養と、成長バランスが重要な要素となります。たくましく育つようにと、過度に多いご飯は禁物です。こうした食事は肥満を助長し、また栄養過多になってしまうために、急激な成長に繋がってしまうでしょう。

あくまでも、適切な量の食事を与えるようにし、激しい運動ではなく、体力の付く程度の運動を心がけるようにし、関節・骨を鍛えてあげましょう。一緒にウォーキングしたりもよいですね。コミュニケーションを共に養うこともでき、また、体力・骨の成長にもよいかもしれません。

大型犬を迎え入れた場合には、成犬になるまでは油断せず、過度な食事・過度な運動を避けるようにし、しっかりとした骨格・関節を作れるよう、食事と運動量のバランスを考えて、注意深く飼育するようにしましょう。

スポンサーリンク