子猫は成猫に比べ体力や免疫力も低く、あらゆる病気にかかりやすい時期でもあります。ワクチンが終わっていない生後3~4ヶ月の子猫は、特に注意が必要です。今回は子猫がかかりやすい病気について、知っておいて欲しいことを幾つか挙げてみようと思います。

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猫風邪


猫風邪とは、子猫にかかわらず、猫が発症してしまう風邪に似た症状を引き起こす疾患の総称です。猫風邪には「猫ウィルス性鼻気管炎」「猫カリシウィルス感染症」などの感染症が挙げられますが、いずれも症状が重くなることで肺炎などを引き起こしてしまいますので、子猫は注意が必要です。

【猫ウィルス性鼻気管炎】
ヘルペスウィルスに感染することにより発症する病気で、鼻水やくしゃみ、咳や発熱、食欲低下、角膜炎や結膜炎と言った症状が現れます。
母猫からの免疫が無くなる頃である、生後2~3ヶ月の子猫に発症する場合が多く、最悪の場合、衰弱して命を落としてしまう可能性もあります。

【猫カリシウィルス感染症】
カリシウィルスにより感染することにより発症する病気で、鼻水やくしゃみ、発熱や食欲不振、口の中や舌に潰瘍ができ、痛みからよだれが増えたり、口臭がきつくなったり、軽度の肺炎や関節炎を引き起こすこともあります。
母猫からの免疫が無くなる頃である、生後2~3ヶ月の子猫に発症する場合が多いようです。

猫クラミジア感染症

上記の猫風邪に加え、「猫クラミジア感染症」も子猫が気をつけなければならない病気の一つです。

猫クラミジア感染症は、クラミジアという細菌により発症し、結膜炎や、鼻水、くしゃみ、咳などの症状が現れ、悪化すると肺炎を併発することもあります。母猫からの免疫が無くなる頃である、生後2~3ヶ月の子猫に発症する場合が多いです。

これらの病気に共通する症状は「くしゃみ」であることが分かりますね。「たかがくしゃみ」と思わず、飼い主さんの方で、きちんと病気の知識を持って接してあげることで、大事な愛猫を病気から守ってあげられるでしょう。
また、病気の原因となるウィルスや細菌感染を防ぐには、ワクチンを接種することが大切です。特に母猫からの免疫力が無くなる子猫のうちに、きちんと混合ワクチンを受けてあげる必要があります。

猫パルボウイルス

猫の病気の中でも致死率の高い病気として知られる「猫パルボウイルス感染症」は、「猫ジステンパー」とも呼ばれていたこともあり、主に子猫や老猫といった、免疫力の低下・低い状態の猫が犠牲になる場合が多いのが特徴です。

この猫パルボウイルス感染症は、「猫パルボウイルス」と呼ばれるウイルスに感染することで発症する感染症で、急性腸炎を引き起こし、食欲不振や元気消失、発熱、嘔吐や激しい下痢、脱水症状などの症状により、ショック状態に陥ることで命を落としてしまう事も多い恐ろしい病気です。

猫パルボウイルスは、ワクチンの摂取で予防することも出来ますが、ワクチンを未摂取の場合、特に子猫たちが集まるような場所で猫パルボウイルスが蔓延してしまうと、最悪の場合、子猫達が全滅してしまう恐れもあるほど恐ろしい感染症です。

猫伝染性腹膜炎

猫伝染性腹膜炎とは「FIP」とも呼ばれ、コロナウィルスに感染することで、生後半年から3年くらいの若い猫に発症することが多い病気であると言われています。この猫伝染性腹膜炎に有効なワクチンはまだ日本では開発されていないため、発症してしまった場合の致死率は高く、発症後は数日から何ヶ月程度で死に至ると言われている恐ろしい病気です。

FIPウィルスには、「ウェットタイプ」と「ドライタイプ」があり、多くの猫に見られるのはウェットタイプで、発症すると発熱や食欲の低下、嘔吐や下痢、体重減少と言った症状が見られ、腹膜炎や胸膜炎を起こし、腹水や胸水が溜まり、お腹が膨れて呼吸困難を引き起こす病気です。

ドライタイプは、発熱や食欲低下の他、脳や脊髄に炎症が起こり、麻痺や痙攣、歩行困難やてんかんなどの神経症状が現れます。また、他の臓器も侵され、腎臓や肝臓に炎症が起こり、腎不全や黄疸が見られる場合もあります。

このFIPウィルスに感染しても、発症しないで普通に寿命を全うする猫もいれば、後になってから何らかがきっかけととなって発症する場合もあります。

この病気に有効なワクチンは無いため、日頃からできるだけ生活環境を快適にして、ストレスを減らしてあげること、普段の愛猫の健康管理に気を付けてあげることが大切です。

コクシジウム症


「寄生虫」とは、猫の世界でももちろん、人間界でも存在するもので、寄生虫が体のどこかを住処にするわけですが、そこは寄生虫にとっては食料の宝庫でもあり、繁殖の場でもあります。この寄生虫が増えていくことによって、やがて猫の体も衰弱していき、最悪の場合は命の危険も及ぼす影響を持ちます。

コクシジウム症とは、コクシジウムという原虫が腸に寄生することにより発症する寄生虫感染症です。免疫力の安定している成猫が感染した場合には、特に症状が見られないことも多く、万が一発症しても、ちょっとした下痢程度の症状で収まります。

しかし、免疫力のない子猫が感染すると、下痢や血便、粘膜便といった糞便を排出するようになり、臭いも強烈になってきます。また、嘔吐や食欲の低下、元気減退といった症状も見られるようになり、脱水症状も伴います。こうした状態を放って置くと、脱水症状がひどくなり命の危険にさらされることがあります。

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ジアルジア症

コクシジウム症と同じく、寄生虫が原因で発症するジアルジア症は、ジアルジア属の原虫によって引き起こされる寄生虫疾患で、成猫の場合無症状が多いため、気が付かないことがほとんどです。

しかし、子猫が発症した場合、軟便や下痢、食欲不振や嘔吐を引き起こし、あまりに症状が長引いてしまうことで、発育不良や体重が増えないなどの弊害が発生してきます。新しく子猫を迎え入れる際には、こうした感染症を発症していないかどうかを確認する必要があります。

主に経口感染によって感染が確認されますので、先住猫も注意が必要です。とはいえ、十分な処置を行えば大事に至ることはありませんので、まずはジアルジアに感染しないような衛生環境を整えることが重要となります。

回虫症

猫の回虫症は線虫の一種である猫回虫によって引き起こされる病気で、健康な成猫の体に寄生しても、特に症状が見られない場合が多いのですが、免疫のない子猫が感染した場合、猫回虫は体内で活発に成長します。

回虫に寄生された子猫は、体内に寄生した回虫に栄養を横取りされ、成長期なのになかなか体重が増えないなど、発育不良に陥ってしまいます。その他にも、下痢や嘔吐、咳、貧血といったように様々な症状を引き起こし、さらに症状が進行していくと、お腹が膨れてくるといった症状も出はじめるでしょう。

治療するには抗線虫薬の投与が必要になりますが、同居猫や親猫にも同様に薬を投与しなければ、再び感染するリスクは残ります。徹底して周りの猫も投薬を行い、線虫の駆除を行わなければなりません。

疥癬

「疥癬(かいせん)」は「猫ヒゼンダニ」と言われるダニに寄生されることにより、痒みの強い皮膚炎を引き起こす病気です。

頭部と耳の付け根の部分に発疹やフケ、カサブタなどができ、痒さで掻きむしるため、皮膚を傷付けたり、脱毛と言った症状が現れます。その後、皮膚が厚くなって、まるで年を取った猫のようにシワシワになり、背中や手足、腹部にまで症状が広がります。

疥癬は、他の疥癬を患っている猫からの感染により発症し、とても伝染力が強い病気です。多頭飼いの場合は、1頭が感染すると他の猫たちにも感染するので、特に注意が必要です。また、飼い主さんにも影響は及びます。ダニの予防のためにも、定期的に駆虫薬を投与しましょう。

まとめ


上記に挙げられた病気以外にも、猫が注意しなければいけない病気はたくさんあります。しかし、その多くは予防できるもので、飼い主さんがしっかりと猫の病気に対して理解を深めてさえいれば、未然に防ぐことが出来るものも多いのです。

もちろん、猫自体も予防注射を打つなど、最低限の予防策を取る必要はありますが、猫を外に出して飼育しないなど、最低限の知識を持っていれば病気にならないでも済む場合もあるのです。

特に子猫は外の影響を受けやすく、ウイルスにも感染しやすいので、十分に注意しながら飼育しなければなりません。最も安全なのは自宅内飼育となりますが、それでもウイルスに感染しないとは言い切れません。

安全対策も重要ですが、まずは飼い主さんが正確な知識を身につけることが何より重要なのです。

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