「ノミ」や「ダニ」をはじめとした「寄生虫」による病気や症状は様々なものがあり、寄生虫による被害を予防するためにも、知識や予防策を知ることが大事になります。今回は犬の寄生虫による症状や予防法について解説します。

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寄生虫とは

「寄生虫」は、犬の世界でももちろん、人間界でも存在するもので、この寄生虫が体内や体に「寄生」することで、様々な悪影響を体に及ぼすものです。「ダニ」や「ノミ」など、この寄生虫には様々な種類が存在し、犬や人間にも様々な寄生虫を原因とした病気が存在します。

こうした寄生虫が、体のどこかを住処にするわけですが、そこは寄生虫にとっては食料の宝庫でもあり、繁殖の場でもあるわけですが、この寄生虫が増えていくことによって、やがて犬の体も衰弱していき、最悪の場合は命の危険も及ぼす影響を持ちます。

しかし、こうした寄生虫による病気は、正しい知識やワクチン等による予防を行うことで、未然に防げるものも多く、いかに病気のことを理解し、どのような場面に危険が潜んでいるのか、どのような状態になると寄生されるのかという知ることが、寄生虫による病気を防ぐことへと繋がるのです。では、実際に寄生虫による病気には、どのようなものがあるのか、解説していきたいと思います。

蚊が媒介する、有名な病気「フィラリア症」

「犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)」とも呼ばれる「フィラリア」という寄生虫。フィラリア症はこのフィラリアに寄生されることでフィラリア症を発症します。成虫で約20cm前後ほどの大きさになり、「蚊」を媒介して他の犬はもちろん、猫などにも寄生することがわかっています。

咳が出始める・呼吸が苦しそうといった器官系の症状から、食欲の減退や元気の減退といった症状が見られるようになり、さらに症状が進むと腹水や、おしっこが赤くなってくるといった症状があらわれはじめます。
やがて、喀血や失神を起こしたりと、次第に病状がひどくなり、寄生するフィラリアの数が多ければ、血管が塞がれることになり、肺動脈が詰まることで急死する恐れも出てきます。

フィラリアの予防接種を受けることで、ほぼ100%駆除することが可能となりますので、フィラリア症にならないためには、フィラリアの予防接種が一番の予防策となります。フィラリアの予防接種は、蚊が活発になるタイミングに合わせて毎月投与する形になります。毎年必ず受けるようにしましょう。

子犬や抵抗力が低い場合には注意が必要になる「コクシジウム」とは

寄生虫の1種「コクシジウム」とは単細胞生物の病原体で、子犬や免疫力の低下している犬が感染してしまうと、下痢や脱水症状を発症し、子犬は成長不良に陥ってしまいます。反対に、免疫力の安定している成犬が感染した場合には、特に症状が見られないことも多く、万が一発症しても、ちょっとした下痢程度の症状で収まります。

下痢や血便、粘膜便といった糞便を排出するようになり、嘔吐や食欲の低下、元気減退といった症状を引き起こします。その結果、脱水症状も伴うようになり、状態を放おって置いてしまうと、脱水症状がひどくなり命の危険にさらされる結果となります。

犬がコクシジウムに感染するリスクが高いのは、散歩中かもしれません。例えば、コクシジウムに感染している犬の糞を、散歩中に舐めてしまっても感染しますし、糞を踏んだ足跡を舐めても感染してしまいます。
またコクシジウムは、自然環境下においても少しの間であれば生存することができ、土や水たまりといった場所にも潜むことができるのです。

感染後の予防策としては、飼育環境の掃除・除菌も必須となりますが、このコクシジウムは通常の消毒剤では死滅しません。そのため、これまで使用していたクッションや、糞で汚れたようなものは熱湯消毒するか、焼却・廃棄したほうが無難でしょう。

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条虫症とは

「条虫症」とは、小腸に寄生して下痢などの症状を引き起こす寄生虫で、中でも犬に多く寄生する条虫が「瓜実(ウリザネ)条虫」になります。この瓜実条虫は犬に寄生したあと、虫体の一部(片節)を分離させて、犬の便と共に排泄させます。
その後、分離した節が破れて中から卵が出てきます。この卵を「ノミ」が食べることで、ノミの体内で卵が孵化され、この感染したノミを他の犬が口にすることで寄生します。

症状は、下痢や嘔吐、食欲の減退や体重の減少、毛艶が落ちるといった症状も見られるようになり、特に子犬が条虫症に感染すると、激しく下痢をする場合もあります。
不潔にしていれば、ノミやダニはクッションや犬の体にも住み着きます。また、犬が自分の体をグルーミングすることでも、寄生したノミを飲み込んでしまい、瓜実条虫症となる事も十分に考えられるのです。

犬の他に同居猫がいる場合も気をつけましょう。同居猫が、外へと自由に出入りができる環境で飼育している場合は、条虫症だけではなく、様々な病気に感染するリスクも高く、非常に危険な環境に置かれることとなります。
寄生虫などに冒される前に、こうした飼い方を改めるようにして、自宅内のみの飼育環境を整えるようにし、また、常に清潔な状態を保てるようにして飼育するようにしましょう。

飼い主が危険にさらされる「エキノコックス」

北海道では馴染みの深い「エキノコックス」という寄生虫が寄生したことで引き起こされる「エキノコックス症(多包虫症)」という病気。「ズーノーシス(人畜共通感染症)」であることでも知られ、人間がエキノコックス症を発症することで、命に関わる重篤な症状を引き起こしてしまう病気として知られています。

犬や猫がエキノコックスに寄生されても、まれに下痢などを起こすだけで、これといった特別な症状は起こりません。反対に、人間がエキノコックス症を発症すると、重い肝機能障害を患うことになり、やがては命を落としてしまう場合も多いです。万が一、不安の残る事がある場合は、すぐにかかりつけの病院へ行って相談してみるとよいでしょう。

番犬代わりや、昔ながらの飼い方も理解はできますが、北海道内では1965年以降は道内全域の感染が確認されており、札幌市内においてもキツネが確認されることもあり、油断はできない状況です。また、道外に関しても愛知県や埼玉県でも、野犬の感染が確認されています。

山などに遊びに行った際はもちろん、散歩中でも、拾い食いやネズミが通りそうな場所などを避けるようにし、そういった場所に近づけない事が大事です。飼い犬の為にも、自分の為にも、エキノコックスへの警戒心を常に意識しておくことが大事です。

まとめ

今回ご紹介した寄生虫による被害、病気はほんの一例にすぎません。まだまだ、寄生虫による病気はありますが、最も気を付けるべきは外での寄生です。ダニやノミが潜む、緑の生い茂っている場所や、菌が繁殖している泥や水たまりなど、外には危険が潜んでいます。

こうした寄生リスクを最大限に減らすためにも、混合ワクチンや予防接種はとても重要になるのです。予防接種を行うことで、大抵の寄生・感染リスクは減少し、また、キャンプやドッグラン等の外遊びをする際に、ノミ・ダニ忌避剤を利用することで、ある程度のリスクも軽減されるのです。

日頃からこうした対策を行い、また病気の知識を飼い主が身につけることで、危険な場所を事前に察知し、そういった場所へ犬を離したり、遊ばせたりしないことが大切になります。
万全の対策をもって、楽しく外遊びができるようにしましょう。

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