犬を飼い始めようと考えたとき、小型犬にしようか中型犬にしようか、思い切って大型犬にしようかと迷ってしまうことも多いのではないでしょうか。今回は、超小型犬や小型犬を飼うにあたって、利点や気を付けなければならないことを考えてみたいと思います。

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超小型犬と小型犬とは

成犬になっても体のサイズが、体重5kg未満で体高が25cm未満の犬が超小型犬、体重が10kg未満で体高35cm未満の犬が小型犬と言われており、室内で飼育できるように交配され、改良されている品種が多く、一般的に「お座敷犬」とも呼ばれています。

日本の狭い住宅事情でも適しているため、ここ数年の新規登録犬種のトップはほとんどが小型犬です。昔ながらの「犬」として犬小屋で飼育されるのではなく、今は室内で飼育されていることが多く、家族の一員として育てられている傾向が強いようです。
それでは、どうして超小型犬や小型犬が選ばれるのか考えてみましょう。

中型犬や大型犬に比べて、飼育費用がかからない

犬を飼育するということは、様々な飼育費用がかかります。例えば、ペットフードやおやつなどの食費、ペットシーツなどの消耗品やおもちゃなどの生活用品、更には混合ワクチンや狂犬病やフィラリアなどの医療費などがあり、犬が生活していくにはお金がかかるものです。

小型犬と大型犬の飼育費用をザッと計算した結果、小型犬は年間13万円かかるのに対し、大型犬は年間20万円を超えます。ただし、これはケガや病気などの病院代やトリミング代は含まれていませんので、必要な場合は別途かかります。

小型犬と大型犬の飼育費用の違いは、ペットフードなどの食費が大きく差を作ってしまったようです。確かに、体が大きければ必然的に食費も嵩んでしまいますよね。

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運動量が少なくて済む

超小型犬や小型犬は、体が小さい分、運動量は比較的少なくて良いため、天候が悪い日や飼い主さんの仕事や家事で忙しい時は、散歩をお休みして家の中で遊ばせる程度の運動量で足りるという利点があります。

しかし、小型犬でも活発な犬種の子は散歩をしない日が続くとストレスになり、吠えたり噛んだりなどの問題行動を起こすことがありますので注意しましょう。
また、超小型犬を飼育されている方は散歩をしない方もいるとは思いますが、愛犬の社交性を身に付けるためにも、定期的に外へ出し、家族以外の人や犬と触れ合う機会を作ってあげましょう。

寿命が長い

超小型犬や小型犬の寿命は、ケガや病気などの疾患がない場合、約12~15歳と言われています。昔のように犬小屋で外飼いをしていた頃の寿命と比べても、今は室内で飼育されている子が多いため、ちょっとした愛犬の変化に飼い主さんが気付きやすくなったということも、寿命が延びた原因の一つではないでしょうか。

しかし、大型犬の場合は、比較的に寿命が短く、ゴールデン・レトリバーやラブラドール・レトリバーで10~12年、バーニーズ・マウンテンドッグで8年、セント・バーナードが最も短く5年と言われています。これは、大型犬は体の大きさの割に心臓や肺が小さく、常に酸素が体内に行き渡らない酸欠状態気味の体になっているため、これが寿命を短くしている原因だと考えられています。

小さくて軽い

何と言ってもこれに尽きますね。体が小さくて軽いので、どこでもヒョイっと連れて行けます。動物病院やホームセンター、知人の家や帰省する時など、車が無くても電車やバスなどを利用して連れて歩くことができますが、大型犬の場合は車が無いとなかなか移動は難しいでしょう。

しかし、簡単にヒョイっと持ち運びができるため、盗難には気を付けなくてはいけません。また、超小型犬の場合、広い敷地で遊ばせていると、空に鷹や鳶などが待ち構えており、アッと言う間に連れ去られることがあるため、飼い主さんは目を離さないよう注意しましょう。

また、超小型犬や小型犬は体が小さいので、慎重に扱わなければいけません。中型犬や大型犬なら、ちょっと飼い主さんがぶつかった程度なら大事には至りませんが、超小型犬や小型犬が足元にいる場合、踏んでしまわないかと気を付けて歩かなければいけないのです。また、飼い主さんが愛犬を抱っこなどしていて落とした場合、簡単に骨折することもあります。

超小型犬や小型犬がかかりやすい病気

【膝蓋骨脱臼】
この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。

最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。愛犬が散歩中スキップしたり、足を上げて歩くような素振りを見せた場合は危険信号です。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。

【気管虚脱】
呼吸にともなって気管が扁平するため、呼吸がしづらくなり、興奮時や運動中、散歩時の首輪による頚部の圧迫で、「ガーガー」とガチョウの鳴き声のような乾いた咳をします。重症の場合には、呼吸困難で死亡することもあります。
これは、肥満により悪化することもありますので、体重管理に気を付けることや、散歩時の首輪は胴輪に変え、首に負担をかけないようにしましょう。

【僧帽弁閉鎖不全】
老犬期の小型犬に多い病気で、犬の心臓病の3分の2をこの病気が占めているとも言われています。「僧帽弁」とは、心臓の中にある血液の逆流を防ぐ働きをする「弁」のことで、この弁の機能が低下することにより、心臓に流れている血液が逆流してしまう病気のことです。

運動時や興奮時に咳が出たり、疲れたり、運動をしたがらないなどの症状があり、病気が悪化すると、左心不全による肺水腫を引き起こし、呼吸困難になることもあります。

さいごに

犬を飼い始めるということは、今後10~15年間生活を共にしていくということです。見た目が可愛いというだけで選ばず、飼い主さんのライフスタイルによって選ぶのが良いでしょう。例えば、散歩へ行ける環境ではないのに大型犬を飼うことはお勧めしないですし、暴れん坊の小さい子供がいる家庭で、チワワのような超小型犬を飼うことも勧められません。

また、大型犬だから飼いにくく、小型犬だから飼いやすいということもありません。実際にゴールデン・レトリバーと柴犬のどちらが飼いやすいかと聞かれると、日本犬気質が強くて飼い主さん以外慣れにくい柴犬よりも、性格が温和で優しく、人や犬に対して友好的なゴールデン・レトリバーの方が、初心者の方には飼いやすいかもしれません。これはあくまで一般論ですけどね。

他にも、小型犬は飼いやすいと言われていますが、ジャックラッセル・テリアやワイヤー・フォックス・テリアなどのテリア犬はテリア気質が強く、興奮すると手が付けられない子も多いので、初心者の方の飼育にはあまりお勧めしません。

このように、犬を選ぶ際は、サイズだけでなく、その犬種が持つ習性を知って理解し、それを踏まえた上で犬を迎えることを検討した方が良いでしょう。どんなサイズの犬を飼い始めたとしても、結局は家族となればどの子も可愛く思えると思いますけどね。

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