ダニが原因で発症する皮膚病の「疥癬」。皮膚病の中でもかなり重症度の高い皮膚病の一つで、通院治療が必須となる疥癬ですが、この疥癬を治療するのに治療費は幾らほどかかるのでしょうか。また、疥癬を治療するのに適したペット保険とはどのようなものなのでしょうか。

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「疥癬(かいせん)」とは?

「疥癬(かいせん)」とは、「ヒゼンダニ」と呼ばれるダニに寄生されることで発症する皮膚病です。ダニが原因となる病気には、疥癬以外にも「耳ダニ感染症」や「アレルギー」などの病気や症状がありますが、疥癬はこれらの皮膚病の中でもかなり厄介な部類に入る皮膚病です。

疥癬の主な症状は強いかゆみや発疹、フケが多く出ること、かさぶたの状態になるといったもの。強いかゆみがあるために、猫は皮膚をかきむしるようになり、患部は傷だらけに。さらに他の箇所にも疥癬が拡がり、傷がついていた箇所はかさぶたとなり、再び痒みが強くなるのです。

疥癬をたかが皮膚病と侮っていると危険です。放おっておくと疥癬は全身に広がっていき、強いかゆみやストレスによって猫は栄養失調や体調不良に、場合によっては命も危うくなる可能性もあります。

不潔な環境も疥癬を招く要因に


疥癬は、特に免疫力が弱い子猫や老猫は注意が必要です。この疥癬の原因となるヒゼンダニですが、感染してしまう要因となるのが、疥癬に感染している猫との接触や、不潔な環境下での飼育です。

また、ヒゼンダニは16℃以下の環境では動きも弱まりますが、湿気のある所や16℃以上の環境下では活発に活動し始めます。子猫や老猫が使っているベッドやブランケット、ソファなど、ヒゼンダニが何かしらのタイミングで住み着いてしまった場合、その場所が住処となる可能性も高いです。

不潔な環境のままでいると、ヒゼンダニがどんどん住みやすい環境になり、猫の皮膚に寄生し、猫がかきむしることでダニが落ち、さらにそこが住処となるのです。そのため、疥癬の症状が見られたら、家全体を掃除し、ヒゼンダニの住処を一掃する必要が出てくるのです。

疥癬は飼い主にもうつる皮膚病

このように、一度姿をあらわすと非常に厄介なヒゼンダニや疥癬ですが、猫が発症した疥癬は、実は飼い主さんにも感染が拡がります。

そのため、愛猫が疥癬になってしまった場合には、塗り薬やブラッシングなどのケアが必要になってきますが、ケアを行う場所はもちろんのこと、飼い主さんもビニール手袋を装着して行なうなど、自分自身を守る必要も出てきます。

そうしなければ、愛猫の疥癬が治りかけていても、今度は飼い主さんから疥癬が広がる可能性も無くはないのです。疥癬を治療する際には、徹底的に清潔な状況を作るようにし、しっかりと自己防衛を行う必要もあるのです。

愛猫から疥癬がうつることで危険なのは、飼い主さんの行動範囲です。疥癬になっているのに、部屋のあちこちで寝転んだり、道具を触ったりしていると、そこにもヒゼンダニが済む可能性もあるのです。疥癬の被害を拡げないためにも、徹底した管理を行うようにしましょう。

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疥癬の治療費はどのくらい?

疥癬を治療するためには、おおよそ5,000円から20,000程度を考えていたほうが良いでしょう。疥癬は非常に治療に時間のかかる皮膚病です。そのため通院しながら治療を行う必要がありますが、疥癬の症状や状態によっても治療方法、治療費は大きく変わって来ます。

症状が軽度であれば、塗り薬やダニを駆除させる薬を処方されるだけですみますが、状態が悪ければ疥癬に対しての治療の他にも、猫の皮膚に対する治療も必要となってきます。

具体的には「薬浴」や「薬用シャンプー」等で体を清潔に保ち、清潔な状態を維持して塗り薬を塗っていくと言った治療になりますので、治療費としても膨らんでいくことでしょう。

そして、疥癬を治療するためには、少なくとも1ヶ月以上を必要とし、通院による治療も3回程度はありますので、疥癬を治療するのにペット保険に求められるのは「通院補償」が大事ということになります。

すでに発症している場合は補償外になります


ペット保険のプランによっては、保険料を安く抑えた「手術のみ」のプランも存在しますが、疥癬の治療を考えるのであれば、こうしたプランは役に立ちません。疥癬の治療に関しては手術や入院は必要ありませんので、通院補償が付いたプランを選択する必要があります。

なお、疥癬を「発症してから」ペット保険に加入しても、保険の対象外となりますので注意が必要です。ペット保険に加入する際には自己申告が必要になりますが、ここでごまかして加入しても、動物病院の先生の目を欺くことはできません。

特に疥癬のような皮膚病は、経過状態がはっきりと分かりますので、疥癬になってからペット保険に加入しても、疥癬に対しての治療費は諦めるしか無いでしょう。そのため、日頃からペット保険に加入し、疥癬を始めとした病気に備えておく必要があるのです。

「疥癬」は補償の対象?

多くのペット保険では、この「疥癬」を補償の対象としています。前述の通り、すでに発症している疥癬・皮膚病でなければ、補償の対象となります。

なお、疥癬に関係するもので保険の対象外となるのは、疥癬(ヒゼンダニ)やマダニなどを予防するための薬は補償の対象外となります。マダニなどを予防する薬で知られる「レボリューション」などの薬や、フィラリアの予防薬など、予防目的である薬や治療に関してはペット保険の補償対象外となることを覚えておきましょう。

あくまでもペット保険の対象となるのは、愛猫がかかった病気に対してとなります。疥癬を「予防する措置」では保険金が出ませんが、疥癬を「発症して治療」する場合に保険金が出るということになります。

各社の保険料と補償内容を比較

では具体的に、ペット保険の補償内容と保険料について見てみましょう。

比較として、損害保険会社である「アニコム損保」と、少額短期保険会社の「日本ペットプラス」と「ペッツベスト」の保険料を比較してみましょう。通院補償が必須の補償内容となりますので、プランの中でも一番補償内容がマッチしているプランで比較、猫の年齢は3歳で見てみましょう。

【アニコム損保 どうぶつ健保ふぁみりぃ 50%プラン】
補償内容:通院、入院、手術
補償割合:50%
1日あたりの支払額:10,000円
免責金額:なし
保険料:月々 2,420円

【ペッツベスト ファーストプラン】
補償内容:通院、入院、手術
補償割合:80%
通院回数制限:なし
免責金額:7,500円
保険料:月々 2,340円

【日本ペットプラス ゴールドプラン】
補償内容:通院のみ
補償割合:90%
通院回数制限:なし
免責金額:なし
保険料:月々 1,480円

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プロ目線からみた「疥癬」に対しておすすめな保険


上記の比較で見てみると、仮に疥癬を発症した時にあまり保険の恩恵を受けられないのは「免責金額」がある保険です。比較ではペッツベストだけが免責金額がある保険会社となりましたが、免責金額を設けている保険会社は少なくありません。

上記はほんの一部の保険会社なので他にも比較材料はありますが、比較した中では日本ペットプラスが最もおすすめな保険会社と言えるでしょう。補償内容は90%の補償で免責なし、保険料もリーズナブルな補償内容となっていますが、これは「通院」のみに特化した保険であるからこその補償内容と言えるでしょう。

普段使いで気軽に動物病院を利用したいと考えているのであれば、こうした通院補償に特化した保険を選ぶのがおすすめです。ポイントとなるのは、「免責金額の有無」と「日額の制限・回数制限」です。

まとめ

毎年、夏がやってくると必ずマダニやヒゼンダニの被害が増加してきます。ダニが活発に動きやすくなる季節は特に、疥癬などの皮膚病に注意が必要となりますので、できるだけ日頃からペット保険に加入しておくようにし、万が一の事態に備えておくことが大事になります。

ペット保険と聞くと「医療目的」や「高額手術」に対しての備えのように感じますが、その90%近くは通院治療がほとんどというデータも出ています。そのため、同じペット保険でも、できるだけ通院治療に焦点を当てて、ペット保険の加入を検討したほうが良いのです。

ペット保険は症状が出てからでは遅いですので、健康体である時にペット保険に加入しておくようにし、病気の早期発見・早期治療に努めるようにしましょう。

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