猫に多く見られる病気の一つに「下部尿路疾患」があります。近年では、この下部尿路疾患に配慮したフードも多く見られるようになりました。そこで今回は、猫の尿路疾患を予防するための、最低限のポイントと、フードを選ぶポイントについて解説してみます。
猫と下部尿路疾患
愛猫のトイレする時間が長かったり、おしっこに行く回数が少なかったり、トイレに言っていたはずなのにおしっこをしていないといった様子が見られることは無いでしょうか。もしかするとそれは「尿路疾患」のせいかもしれません。下部尿路疾患に関しては別記事でも記載しておりますが、愛猫のこうした行動は、尿道が尿石で詰まってしまっているため、思うようにおしっこが出せなくなってしまっている状態なのです。
尿路結石を放おっておくと、最悪の場合には死に至るほどに怖いもの。あくまでも重症である場合に限られますが、猫にとって尿路疾患は非常に身近な病気の一つでもあるのです。猫を飼っている方であればすでにご存じの方も多いかと思いますが、この下部尿路疾患は「Feline Lower Urinary Disease」、略して「F.L.U.T.D」と記載されることが多いです。
F.L.U.T.D
下部尿路疾患のことを表すF.L.U.T.Dですが、キャットフードのパッケージに記載されていたりもします。多くは「尿路疾患に配慮」と書かれていたり、「F.L.U.T.Dに配慮」「ストルバイト結石に配慮」「phコントロール」等と記載されていることが最近では多いです。
これは、猫に頻発する下部尿路疾患を発症させないために配慮していますという事になりますが、中には記載されてはいるものの、実際の原材料を見てみると本当に配慮されているの?と思ってしまう内容のキャットフードも存在しています。
数年前まではこうした記載も少なく、そこまで下部尿路疾患に関して意識も高くは無かったかもしれませんが、実は昔から猫の下部尿路疾患は多く、近年ではどんな猫でも発症するリスクがあるという認識が広まっていっているため、キャットフードにも記載されるようになってきました。
結石ができやすい尿のph値はアルカリ性ですが、猫の食性もミネラル分の多い食事が多いため、膀胱炎や結石ができやすいと言われています。また、犬ほどに水を頻繁に飲む動物でもないため、水分の取らなすぎという点も、尿路疾患を招く要因の一つとなっています。
マグネシウムを摂取しすぎると
猫の尿路結石の元となるのが「マグネシウム」です。ミネラル分のひとつ、マグネシウムは、塩分から摂取する事が多く、猫の体にも必要不可欠なミネラルのひとつではあるものの、過剰に摂取しすぎると結石が作られてしまうのです。そして残念なことに、猫の大好物にはマグネシウムの多い食べ物が多く、かつお節や煮干しが代表的なものになります。
うちの愛猫も大好物!という飼い主さんもいらっしゃると思いますが、与え過ぎは尿路疾患を誘発する恐れがあるので、くれぐれも与え過ぎには要注意!また、与えた際には水を飲ませるようにすることも大事な事です。そして、猫の結石を抑える、尿のph値を酸性に向かわせる効果があるのが「ビタミンC」です。
愛猫が尿路疾患になってしまった場合と、予防を行うのでは対応も変わりますが、猫の尿のph値を酸性に向かわせるという事が、尿路疾患を予防する一つの手段となるのです。
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結石の種類と栄養バランスの大事さ
猫の尿路疾患を防ぐには、
・マグネシウムを過剰に摂取しない
・尿のph値を酸性に
・水を多く飲ませる
というポイントが重要になります。そこで、キャットフードを選ぶ際に気をつけたいのが、まずは「マグネシウムの含有量が少なめ」であることが言えます。ここで気をつけたいのが含有量の他に、カルシウムとのバランスが取れているかという点です。
猫の栄養バランスを考えた時、マグネシウムとカルシウムのバランスは2:1とされています。このバランスが崩れることで「ストルバイト結石」を発症する可能性が高くなります。一方で、カルシウムとバランスを保つ必要があるのが「リン」です。リンとカルシウムは1:1.5の比率でバランスを取ることが良いとされています。仮にリンのバランスが増えてしまうと「ストルバイト結石」に、カルシウムのバランスが増えてしまうと「シュウ酸カルシウム結石」を発症する恐れがあります。
極端にマグネシウムを取らなければ良い、カルシウムを多く取れば良いという話ではなく、あくまでも「栄養バランス」が重要であることがわかるかと思います。
保証成分は確認しましょう
とはいえ、こうした栄養バランスを計算するのはほぼ無理に等しいでしょう。よほどの栄養学を学んでいなければ、猫の栄養バランスを食事でコントロールするというのは敷居が高いことではあります。
キャットフードはある程度1日の栄養バランスを考えて作られています。そこでチェックしておきたいのがパッケージに記載されている「保証成分」の欄です。ここを確認することで、そのキャットフードのマグネシウム量や、カルシウムとリンのバランスが確認出来るようになっています。まずはここを確認し、極端にマグネシウムが多くはないか、しっかりとカルシウム・リンのバランスは保たれているかを確認することが大事です。
先にも述べたように、パッケージに「F.L.U.T.D」に配慮と記載されていても、実は保証成分を確認してみると、どの辺りが配慮しているのか疑問に思うものもあります。原材料等で配慮を行っているのかもしれませんが、保証成分値上で配慮された数値になっていなければ、尿路疾患を引き起こす可能性もあると考えたほうが良いかもしれません。
保証成分は確認しましょう
パッケージのうたい文句におどらされないよう、しっかりと保証成分を確認するようにしてみましょう。また、しっかりとキャットフードを選択出来ているにも関わらず、おやつの与え過ぎで尿路疾患を招いていると言うことも大いに考えられます。基本となるのはマグネシウムのとりすぎに要注意ということです。また、常に新鮮な水を用意するようにし、愛猫が確実に水を飲んでいるかを毎日確認するようにしましょう。
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