猫の下部尿路疾患を予防するキャットフードが増えてきていますが、下部尿路疾患に配慮されたキャットフードとはどのようなものなのでしょうか。今回は「ボッシュザナベレ」の中のひとつ「ウリナリー+」について解説していきたいと思います。

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食事管理の前に環境作りを

猫に多く見られる病気の一つに「下部尿路疾患」が挙げられます。下部尿路疾患とは、膀胱炎や尿路結石といった泌尿器系の病気になりますが、尿路結石などは猫の食生活や生活環境によっても発症するリスクが変わるものです。

そのため、近年では猫の「下部尿路疾患(F.L.U.T.D)」等に配慮されたキャットフードも多く見られるようになりました。これらのフードの特徴としては、猫の尿のph値を酸性に保つ効果や、猫の尿路結石の中でも特に多い「ストルバイト結石」に配慮された配合などがあります。

このように、一般的には食事の管理を行うことで予防には繋がりますが、過度なストレスがかかる環境であったり、極端に水分を摂取することのない生活を送っていれば、いくら良いキャットフードを与えていても下部尿路疾患を引き起こす要因となりますので、最低限、こういった環境を改善する必要があります。

各社の尿路結石に対するスタンスの違いにも注目

また、もう一点気をつけるべきというか、理解しておきたいのが、数あるペットフードメーカー、数ある下部尿路疾患に配慮されたキャットフードの中でも、下部尿路疾患に対しての基本的な予防や考え方は共通してはいるものの、各社それぞれが研究を重ねており、治療や予防に関してのスタンス・考え方は違うという点です。ですので、単に原材料表記や保証成分表記を確認して判断するのは避けたほうが良いでしょう。

とはいえ、大きく分ければ「水を多く飲ませる」キャットフードか、「根本となる成分を避ける」キャットフードかの2種類に分かれるのかなと思います。(非常に大雑把なわけかたではありますが)。因みにメーカーによっては尿疾患の総称として「ウリナリーケア」や「ユリナリーケア」と表記していますが、「URINARY」の読み方・発音の問題ですので、意味は同じことです。

単純に「下部尿路疾患に配慮」というキャッチコピーだけにとらわれず、しっかりとキャットフードの内容や原材料、メーカーの病気に対するスタンスを理解した上でキャットフードを選んでみるようにしましょう。

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「ウリナリー+」の原材料

数ある下部尿路疾患に配慮したフードの中から注目したいのが、「ボッシュ ザナベレ」の「ウリナリー+」です。細かな解説の前に、まずは原材料を見てみましょう。

【ボッシュ ザナベレ ウリナリー+】
米、新鮮な鶏肉(20%以上)、動物性脂肪、肉粉、シュマルツ(ドライ)、レバー粉、加水分解タンパク質、ビートパルプ(糖分除去)、セルロース繊維、亜麻仁、魚油、酵母(ドライ)、炭酸カルシウム、塩化カリウム、コケモモ(ドライ)、ブルーベリー(ドライ)、貝粉、チコリパウダー、キンセンカの花(ドライ)、ユッカエキス

ボッシュはドイツ原産のペットフードメーカー。ドイツといえば、ペット先進国であることでも知られ、ペットフードに対してもヒューマングレードである必要があるとして、国からの規定で定められています。そのため、合成添加物などはもちろん一切使用されておらず、キャットフードに使用される原材料に関しても、無添加の自然素材が使用されています。

ザナベレのシリーズはミートファースト(かつ肉含有量は20%以上)である事もポイントではあるのですが、このウリナリー+に関しては第一主原料に「米」が配合されており、他のザナベレと同じミートファーストというわけではありません。そのため、米にアレルギーを持っている猫は残念ながら、ボッシュの下部尿路疾患対応フードは選択肢から外す必要があります。

一方、ザナベレは全て「グルテンフリー」のキャットフードですので、同じ穀物でも「グルテン」に対してアレルギーを持つ猫は安心して与えることができます。米にはグルテンが含まれませんので、主原料に米が採用されています。

「ウリナリー+」の分析値

では、キャットフードの分析値はどのような感じになっているでしょうか。同じくザナベレの「アダルト+」と比較してみてみましょう。

【アダルト+チキン】385Kcal /100g
粗タンパク質:31.00%、粗脂肪:16.00%、粗繊維:4.00%、粗灰分:6.50%
カルシウム:1.15%、リン:1.05%、マグネシウム:0.07%

【ウリナリー+】408Kcal /100g
粗タンパク質:24.50%、粗脂肪:21.50%、粗繊維:4.50%、粗灰分:4.40%
カルシウム:0.65%、リン:0.60%、マグネシウム:0.05%

ザナベレ ウリナリー+の特徴としては「タンパク質」と、マグネシウム等の「ミネラル」の量を減らすことで、体内での代謝を減らして腎臓等へ負担のかからないような配合になっているようです。前述したところの、根本となるものを避けるという考えの配合ですね。アダルト+と比較してみると、「タンパク質」やミネラルの「リン」「マグネシウム」「カルシウム」の成分値が低いことがわかります。

リンの摂取目安としては、結晶の溶解される範囲がおよそ0.5%〜0.8%(予防の範囲としては0.5%〜0.9%が理想的)。
マグネシウムの摂取量の目安としては、結晶の溶解される範囲が0.04%〜0.06%(予防の範囲としては0.04%〜0.1%が理想的)。

以上の数値を見てみると、ウリナリー+が十分に予防レベル範囲内であるということがわかるかと思います。猫に特に多く見られるのがストルバイト結石ですが、こうして食事から元を断つことで、ストルバイトが生成されにくい状態に向かうことができるフードと言えそうです。

まとめ

ウリナリー+を食べることで、ある程度の下部尿路疾患を予防することが出来るかと思います。が、冒頭でも説明したとおり、いくらフードで予防線を張っていても、肝心の生活環境が正常でなければ、下部尿路疾患を予防することはできないでしょう。

また、こういったキャットフードは病気を治すフードではありませんので、病気が発症した際には動物病院で診察してもらうようにしましょう。あくまでも、病気を発症する前や、病状が落ち着いた時の選択肢として考えるようにして下さいね。

※内容は2017年2月時点での情報になります。原材料、商品名等の内容は変更している場合があります。

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