犬の体を支える大事な部位である「骨」と「関節」。多くの負担がかかる部位でもあるため、骨や関節に発症する病気もあります。こうした病気にならないためにも、病気を理解し、原因を知ることで、予防できる事もあるかもしれません。

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普段の様子を気にしてみましょう

普段の愛犬との生活で、愛犬の座り方がおかしかったり、歩き方がおかしいと感じたことはないでしょうか。こういった様子を見せていた場合には、もしかすると愛犬が関節や骨の病気を発症している可能性もあるのです。

いつもと愛犬の歩く様子、立ち上がる様子、散歩中の様子など、気が付くことがもしあれば、なるべく早い段階で診察を受けても良いかもしれません。早期発見・早期治療を施すことで、病気の進行を遅らせることや、病気自体を完治させることも出来るかもしれません。

日頃から愛犬の様子を気にしてみていなければ、なかなか気が付くことも出来ないとおもいますので、出来る限り、愛犬の普段の様子を気にしてみてみるようにしましょう。では実際に、骨や関節の病気にはどのようなものがあるのでしょうか。

犬の免疫力に関係する「関節リウマチ」

関節リウマチ、もしくはリウマチ様関節炎とも呼ばれるこの病気は、関節の病気ではありますが、その原因となるのは、実は犬の免疫力なのです。そのため、免疫介在性多発性関節炎とも呼ばれます。リウマチと聞くと高齢の病気をイメージしますが、犬の関節リウマチでは年齢に関係なく発症する恐れがあるのです。また、若年であればあるほど、病気の進行するスピードも早いと言われています。

関節リウマチの原因は、未だにハッキリと解明はされていませんが、犬の免疫力に関係しているという事は判明しております。免疫力と聞くと、体内でウイルス等と戦い、体の健康を維持してくれているイメージですが、この免疫機能が自身の関節を攻撃してしまうため、関節リウマチが引き起こされているのです。この攻撃してしまう理由が、解明されていない部分なのです。

手首や足首など、犬の四肢の末端の関節に症状が現れることが多く、腫れ上がったり、痛みがあるために足を引きずって歩いたりといった症状が現れます。また、こうした症状が現れるのは1箇所にとどまらず、複数箇所に発症したり、左右対称に症状が現れたりもするのです。こうした状態を放おっておくと、関節が変形してしまい、痛みもまして、歩行することができなくなる場合があります。

原因が解明されていない関節リウマチ。100%予防すると言うことは無理ですが、万が一発症した場合には、早期発見・早期治療ができるように注意深く、犬の日頃の行動を見るようにしましょう。また、万が一発症してしまった事を考えると、肥満体型である事は、病気の進行を早めてしまうと言うことも、認識しておきましょう。

小型犬種に多く見られる「膝蓋骨脱臼」

小型犬に多く見られる病気に「膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)」と呼ばれる病気があります。この膝蓋骨脱臼とは膝関節のお皿にあたる「膝蓋骨」が、正常ではない場所へ外れてしまう病気です。

膝蓋骨脱臼は、チワワやポメラニアン、ヨークシャテリア、トイプードル、マルチーズ等に比較的多く見られます。これら、小型犬に見られる膝蓋骨脱臼には、遺伝性のものも多く見られます。また、遺伝性であるものの他に、高いところから飛び降りた際や、外部から強い力が加わってしまった場合などにも膝蓋骨脱臼を発症する場合があります。このような外傷性の例では犬種に関係なく、どの犬種にも起こりうる事となります。

膝蓋骨脱臼を発症すると、主には足をひきずって歩くような姿が見られます。また、痛みも伴うので、患部を触られることを嫌がるでしょう。命の危険とまでは行きませんが、その後の生活に支障をきたしてしまうため、早期発見・早期治療が最善の策となります。

脱臼の症状が見られる場合には、なるべく早く診察するようにし、過度な運動は避けるようにしましょう。ふだんから、ソファから飛び降りたり、喜んで飛び跳ねたりする犬は注意が必要です。あまり興奮させないようにし、また、出来る限り足腰にも優しい床で生活させるようにしましょう。特に固いフローリングなどの床では、膝にも衝撃が多いため、可能な限り衝撃を吸収するような、クッションフロアを推奨します。

大型犬に多く見られる「股関節形成不全」

大型犬種に多く見られる「股関節形成不全」という病気。「股関節」の変形が見られる病気で、遺伝的なものが多く関わっている病気です。その多くは、急激な骨の成長とともに、筋肉の成長が遅れることで股関節形成不全が引き起こされ、歩き方がおかしくなったり、疲れやすかったり、元気がなくなったりと言った症状が現れます。

これまで元気に歩いていたのに、最近、歩き方がおかしくなったなと感じることはないでしょうか。腰を振って歩くような仕草は、股関節形成不全が疑われます。また、足を引きずって歩いたり痛がると言う様子も見られるでしょう。このように股関節形成不全を発症すると、股関節に痛みを生じるために運動を嫌がったり、階段の昇り降りなども避けたがるようになります。

遺伝的な部分が多い病気ではありますが、こうした原因の他にも大型犬の成長スピードが関係しており、成長による急激な体重増加が一つの要因とされています。そのため、幼少期〜の成長期に極端に太ったりする事も、股関節形成不全を引き起こすリスクとなります。また、あまりにも激しい運動を行わせるのも避けたほうが良いかもしれません。

たくましく育つようにと、過度に多いご飯は禁物です。こうした食事は肥満を助長し、また栄養過多になってしまうために、急激な成長に繋がってしまうでしょう。あくまでも、成長期の栄養と、成長バランスが重要な要素となります。激しい運動ではなく、体力の付く程度の運動を心がけるようにし、関節・骨を鍛えてあげましょう。

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「変形性骨関節症」とは

先に挙げた、「股関節形成不全」や「膝蓋骨脱臼」等の病気を発症したことで併発する場合が多い「変形性骨関節症」。また、高齢の犬にも起こりやすい病気でもありますが、若年の犬でも肥満体質であったり、栄養バランスが悪かったりすると、変形性骨関節症を発症してしまう場合もあります。

変形性骨関節症を発症すると、犬が歩きたがらなくなったり、階段の昇り降りを避けたりといった様子が見られるようになります。また、足を引きずって歩く、座り方が不自然になるといった症状も現れます。こうした症状に合わせて、痛みや腫れも伴うようになります。これは、骨と骨がぶつかり合ってしまうためで、次第に関節も変形していくのです。

こうした病気を発症することで、歩くことをやめてしまい、やがては寝たきりとなってしまい、また別の病気を発症してしまう恐れもあります。

幼少期から、サプリメントなどで骨や関節の強化を計るのも一つですが、まずは食生活をしっかりとし、肥満体型にならないように適度な運動や、散歩を必ず行うようにしましょう。こうした運動をすることで、関節や骨も鍛えられ、重い体重を支える骨や関節を丈夫にする効果もあります。激しい運動は危険ですが、最低限のしっかりとした足腰になるよう、飼い主さんも参加して、愛犬の丈夫なからだつくりに協力しましょう。

まとめ

骨や関節は、犬の体を支える大事な部位です。こうして様々な病気が存在してはいますが、遺伝性でない限り、幼少期からの飼育環境・食事で、こうした病気になるリスクをすくなからず回避できる場合もあるかもしれません。

犬が発症する関節の疾患では、約8割を締めるのが8歳以上の犬という数字があります。高齢犬にとって、関節や骨といった部分は、常に気をつけなければいけない部位となりますが、若年であっても肥満体型の犬は、注意が必要です。

体型そのものも問題ですが、主食以外にもおやつや、人間の食べるものを与えていたりしないでしょうか。こうした「間食」は、犬の内臓を苦しめるだけではなく、関節や骨などにも影響を与えてしまいます。
肥満体型は、何もよい結果を残しません。適切な体重を維持するようにし、丈夫で健康な老後を過ごせるように、飼い主さんも責任をもって飼育するようにしましょう。

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