犬の脳の病気に「水頭症」という病気が存在します。この水頭症は、脳内が圧迫されてしまうことで発症する病気ですが、比較的チワワに多く発症する病気としても知られています。今回は水頭症について、症状と治療・介護に関して解説していきます。

スポンサーリンク

「水頭症」とは

頭の中に水が溜まってしまう病気で知られる「水頭症(すいとうしょう)」。先天性の疾患というイメージがあるかもしれませんが、先天性・後天性いずれの場合も発症する病気です。人間でも、赤ちゃんが発症しているイメージがあり、遺伝性でかつ、幼児が発症する病気といったイメージも無くはないですが、犬の場合でも先天性である場合には、生後数週間で発症する事も少なくありません。

水頭症を発症すると、元気がなくなってぼんやりとしたり、歩き方がおかしくなったり、てんかん発作を起こしたりといった症状が見られるようになります。また、寝てばかりいたり、痴呆の症状が見られたりもします。

時には異常に攻撃的になる事も、一つの症状として挙げられています。過食や拒食など、その行動や様子には特異なものが見られるようになり、外見的にも頭が膨らんでいたり、目が外側に向いている「斜視」である場合もあります。

いずれの場合も命の危険があるわけではありませんが、生活するのに支障をきたしてしまうため、一生の介助が必要になります。
まずは水頭症の先天性・後天性の発症する原因と症状について見てみましょう。

先天性の水頭症

先天性の水頭症の場合、遺伝的な要因が強いとされていますが、早い場合には数週間で発症している場合もありますが、その多くが生後3ヶ月頃から水頭症の症状を発症するようになります。

また、犬種によっても発症する確率が高くなり、水頭症の好発犬種で代表的なのが「チワワ」です。他にもポメラニアンやヨークシャテリア、パグ、ミニチュアダックスフンド、ボストン・テリア、ペキニーズ、マルチーズ、シーズー、ブルドッグ、トイプードルといった犬種が挙げられています。いずれの犬種も小型犬であるのが特徴ですが、短頭種である事も一つの特徴となっています。

また、胎児であったタイミングで、何かしらの要因によってウイルス感染を起こしていたり、発育不全となっていた場合でも水頭症を引き起こす原因となります。こうした原因では、上記に挙げた犬種以外でも、十分に発症する可能性があるのです。

後天性で発症する原因とは

一方、後天性の水頭症の場合には、頭部に強い衝撃が加わってしまった場合や、ウイルス感染等による脳腫瘍や脳炎といった、脳へのダメージが影響して水頭症を発症する場合があります。

交通事故等は最も危険な場面ですが、命からがら助かった場合でも、脳に強い衝撃を受けてしまっている事も考えられますので、しっかりと脳の検査を受けて、脳にダメージは加わっていないか・水頭症を発症する可能性は無いかということを確認することが大事です。

水頭症の原因とは

水頭症を発症する原因は、脳内に流れる「脳脊髄液」という体液が何かしらの理由でによって過剰に滞留してしまい、脳を圧迫してしまう事で起こります。

脳脊髄液が過剰に生産されてしまう理由には、「産生過剰」「循環不全」「吸収障害」の、3つの理由が挙げられます。いずれの場合も脳へのダメージが原因となりますが、こうした原因を引き起こすのが前述した、先天性や後天性による影響が関係しているのです。

水頭症の治療について

水頭症は完治させることが難しい病気です。水頭症を発症した場合には、症状の緩和を目指した治療が行われることがほとんどでしょう。具体的には、脳への圧力「脳圧」を下げるための投薬治療が行われ、症状の軽減を図ります。

また、水頭症を早期に発見出来た場合、また脳が損傷を受けていない場合には「脳室腹腔シャント」と呼ばれる外科手術を行える場合もあります。この手術は、脳内に溜まる脳脊髄液を腹腔内へとチューブを使用して流し込み、脳圧・過剰に生産される脳脊髄液を安定させるバイパス手術です。

リスクとしては一生涯、このチューブを外すことができなくなるため、こまめなメンテナンスが必要になるということ、また、バイパス手術を行ったことで脳脊髄液が流れすぎてしまい、逆に脳へダメージが加わる事も考えられるのです。

1人で悩まない介助を

このように、いずれの治療を行うにしても水頭症は、一生涯付き合っていかなければいけなくなる病気です。脳が損傷を受けてしまう前に発見できれば、水頭症の症状も現れないため、早期発見・早期治療が望まれます。

しかし、その多くは症状が現れてから異変に気が付くことでしょう。好発犬種のチワワに関しても、3.3%の発症率(犬全体では1.9%)であることから、早期に発見できるのは非常に稀であるといえます。また、先天性である場合には子犬が発症している事も多いため、水頭症の症状自体も見分けがつきにくいでしょう。

少しでもおかしいなと思ったり、あまりにも躾が入らない、歩き方が明らかに不自然など、いくつか要素が重なった場合には、すぐに動物病院へ行って検査を受けてみたほうが安心かもしれません。また、万が一発症した場合にも、動物病院の先生としっかりと話しをするようにし、相談相手になってもらえるようにしましょう。

介護は非常に大変な事ですが、かわいい愛犬と一緒に過ごしていけるよう、1人で悩まずに、色々な人と話し、交流し、相談できる環境を作るようにしましょう。

スポンサーリンク