愛犬が運動を嫌がったり散歩に行きたがらなかったり、また、体が浮腫んでいたりお腹が膨れたりしていないでしょうか。こうした症状は、ネフローゼ症候群と呼ばれる病気が関係しているかもしれません。今回はネフローゼ症候群について解説していきます。
ネフローゼ症候群とは?
愛犬の食欲が無いのにお腹が膨れてきていたり、全体的にむくんでいたりしていないでしょうか。こうした様子が見られる場合には、「ネフローゼ症候群」の疑いがあります。
ネフローゼ症候群とは、腎臓に何らかの原因によって障害が起き、本来の濃度よりも多量の「タンパク質」が尿中に流れ出てしまうことで、体内のタンパク質量が減少してしまい、様々な疾患を引き起こしてしまう腎臓疾患群の事を指します。また、血中のコレステロール値の上昇も特徴となります。
ネフローゼ症候群が比較的多く発症する犬種には「ミニチュア・シュナウザー」「ゴールデン・レトリバー」「ミニチュア・ダックスフンド」「ビーグル」「コリー」といった犬種が挙げられます。
ネフローゼ症候群の症状とは
ネフローゼ症候群の初期症状は、蛋白尿が増えるということ以外には無症状である事がほとんどで、発見することが非常に難しいかもしれません。
病状が進行すると、低蛋白血症、高脂血症、高血圧、高ナトリウム血症などの症状が現れます。また、こうした症状の他にも、全身がむくんだり、お腹が膨れる腹水の症状や、下痢や嘔吐、元気や食欲の減少といった様子も見られるようになります。
こうした症状は前述の通り、体内のタンパク質量が減少するために起こるものであり、血液が固まりやすくなるといった症状も引き起こし、その結果、血栓ができやすくなり血栓寒栓性疾患や、最悪の場合には尿毒症や腎不全と言った病気を併発してしまう場合もあるため、油断はできません。
ネフローゼ症候群の原因について
ネフローゼ症候群は腎臓に障害が起こることで発症してしまいますが、その原因も様々です。
病気を引き起こしたことで「腎臓」に影響を与えてしまう「急性腎炎」や「糸球体腎炎」などの腎臓病、「糖尿病」や「アミロイドーシス」などの腎臓にも影響を与えてしまう病気が原因となるのです。
また、こうした病気の他にも「白血病」や「腎細胞主」などの疾患といった具合に、挙げられた病気以外にも、腎臓に影響が及ぶ病気であれば、いずれの病気もネフローゼ症候群を引き起こしてしまう可能性があるのです。
そして、ネフローゼ症候群は病気だけではなく、アレルギーによる免疫疾患やウイルス感染によっても、腎臓に悪影響を与える場合もあるため、ネフローゼ症候群を引き起こすのは単に病気だけとは断定が出来ません。
尿毒症は命の危険もある病気
ネフローゼ症候群の症状が悪化し、最悪の場合には尿毒症を引き起こすこととなります。
尿毒症は、通常であれば排出されるはずの老廃物を含んだ尿が体にとどまってしまい、老廃物の濃度が濃くなるために体中に毒素が回ってしまうという恐ろしい病気です。原因としては腎臓の機能が低下してしまうために、尿を排出できなくなってしまうわけですが、元をたどるとこの腎臓の機能を弱らせてしまうのがネフローゼ症候群なのです。
抵抗力や免疫力も低下していってしまい、さらにはこうして腎臓の機能さえも奪っていってしまうため、早期に発見しなければ命の危険も伴う病気となるのです。
尿毒症や腎不全と言った病気は、ネフローゼ症候群の症状が重症化してしまっている事を指すため、いかに早くネフローゼ症候群の治療を行えるかが重要となるでしょう。
ネフローゼ症候群の好発犬種
ネフローゼ症候群は、遺伝的に発症しやすい犬種も存在し、前述でも挙げた「ミニチュア・シュナウザー」「ゴールデン・レトリバー」「ミニチュア・ダックスフンド」「ビーグル」「コリー」といった犬種が好発犬種として挙げられます。
中でも「ビーグル」「コリー」の両犬種は、腎臓にタンパク質の一つ「アミロイド」が沈着しやすいという傾向が多く、その結果、ネフローゼ症候群を発症しやすいという事が指摘されています。
上記に挙げた犬種を飼育しているのであれば、頭の片隅に覚えておいたほうが良いでしょう。また、念のためにも健康診断を行なう際にも、尿検査を含めた健康診断を行なうようにしましょう。後述しますが、ネフローゼ症候群を予防する事は難しいため、早期発見が鍵となるのです。
ネフローゼ症候群の治療について
ネフローゼ症候群の治療には、まずネフローゼ症候群を引き起こしている原因・疾患を特定し、原因となる病気を治療するということが重要になってきます。
ネフローゼ症候群を引き起こす原因を特定しなければ、現状の症状をいくら緩和したところで、完治させることはできません。そのため、元となる病気の治療が急がれるのです。
そして、原因となる病気への治療と合わせて、利尿剤等を用いたネフローゼ症候群に対しての対症療法も同時に行われます。ネフローゼ症候群の症状となる、腹水や高血圧などの症状を緩和していく治療、血栓を予防するための投薬治療が中心となるでしょう。
あくまでも元の病気を絶たなければ、ネフローゼ症候群の病状は安定することはないため、原因となる病気の治療をメインに行なうこととなります。
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薬以外にも必要となる治療とは
ネフローゼ症候群はこうした治療の他にも、塩分を控えた食事なども必要になります。タンパク質量の多い食事を摂取していると、ネフローゼ症候群の原因となる糸球体への異常を引き起こす要因となりますので、低たんぱく質の食事を摂取させるようにしなければなりません。
また、場合によっては血栓を詰まらせてしまう病気を引き起こす場合もあるため、運動の制限も行う必要があります。食事の制限、運動の制限と、非常にストレスの貯まる状況に追い込まれてしまうため、しっかりとした愛犬のケアも大切になります。
こうした治療を行いながらも、こまめに健康診断を行なうようにし、常に愛犬の体の状況を把握しておくことも大切になるでしょう。ネフローゼ症候群を発症してしまっては、このように大変な治療を行う必要があるため、出来る限り早期発見を行いたいところです。
ネフローゼ症候群の治療費はいくらくらい
ネフローゼ症候群は様々な要因によって引き起こされる病気ですので、病気を引き起こした場合の治療費に関してですが、その要因となっている病気によっても治療費が変わってくるため、判断はしかねるところです。
ネフローゼ症候群は根本的に予防するというのも難しい病気です。ネフローゼ症候群を引き起こす病気にならない事が予防策としてあげられますが、こまめに健康診断を行うことでも発見は早まるでしょう。
また、健康診断では尿検査が大切となります。健康診断を受ける際には尿検査も含めた健康診断をおすすめしますが、尿検査自体の費用に関してはおおよそ2,000円程度です。動物病院によっても検査費用も変わってきますが、おおよそ1万円を超えることもほぼ無いでしょう。
ネフローゼ症候群の兆候を見逃さないように
体に症状が現れてからでは、重大な腎疾患や尿毒症などの病気を引き起こすこともあるネフローゼ症候群。命の危険もある病気でもありますので、早期発見を心がけたい病気の一つです。
最近、散歩にいきたがらないなと感じたり、活動的でなかったり、食事量が少ないのに体は浮腫んだり膨れていたりと、ネフローゼ症候群にはいくつかの兆候が見え始めます。こうした、なにかしらの異変に気がついたら、ネフローゼ症候群の疑いも少なからずあるでしょう。迷わず、すぐに動物病院で診察を受けるようにしましょう。
ネフローゼ症候群について飼い主さんが理解しておかなければ、こうしたちょっとした兆候にも気がつくことが出来ないでしょう。そのため、日頃から愛犬とのスキンシップを兼ねたコミュニケーションを取ることが大事になるのです。ちょっとした兆候も見逃さないように、こまめに体に触れるようにしたり、様子をうかがうようにしましょう。
ネフローゼ症候群を予防するために
ネフローゼ症候群自体を予防する事は非常に難しいですが、様々な病気が進行してしまった結果、ネフローゼ症候群を発症してしまうことから、根本的な病気にならないことが、ネフローゼ症候群を予防するひとつの手段となるでしょう。
いずれの病気も、早期発見・早期治療が大切になります。まずは定期的に健康診断を行う事も大事になるでしょう。また、健康診断を行う際には尿検査も検査項目に含めてもらうように、動物病院の先生に申告するようにします。
ネフローゼ症候群は、尿検査によって発見することが出来ます。簡単な検査ではなかなか発見することもできないため、尿検査を行うことも重要な要素となります。
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