愛犬がお尻を擦りつけていたり、尻尾をおいかけていたりしていませんか?その様子は、「肛門嚢炎」の症状が伺えます。今回は肛門嚢炎の症状と原因について、また、肛門腺の絞り方について解説していきたいと思います。
お尻を気にしていないかチェックしてみましょう
愛犬が自宅にいる時に、「地面にお尻を擦りつけている」または、「しっぽを追いかけている」といった様子を見かけていないでしょうか。もしかするとそれは、「肛門嚢炎(こうもんのうえん)」の疑いがあります。
この肛門嚢炎とは、犬の「肛門嚢」という部位が炎症してしまう病気・症状で、肛門嚢炎を放置してしまうと、ひどい痛みや腫れに襲われてしまいます。
愛犬をトリミング等に出した時や、病院に行った時に、「肛門腺(こうもんせん)」を絞りますか?と聞かれた経験はありませんか?この肛門腺を絞ることで、肛門嚢炎は予防できるのです。
では、具体的に肛門嚢炎の症状とは、どのような状態になるのかを詳しく解説していきます。
肛門嚢炎の症状とは
犬が肛門嚢炎を発症するまでには、大きく分けて3つの段階に分けて考えられます。その第一段階となるのは、犬がお尻や尻尾をしきりに気にする様子や、お尻を擦りつけて歩いたりといった様子が見られる状態です。
肛門腺は、普段の排泄時に自然と排出されるべきものですが、個体によっては上手に排出することが出来ない場合もあります。どの犬も微量には肛門腺を蓄えている状態ですが、肛門嚢炎を引き起こしやすい犬は、このようにして排泄時に肛門腺を排出出来ず、次第に肛門腺がパンク状態に陥ってしまうのです。
ですので、この段階の症状ではまだ肛門嚢炎を発症しているとは言えず、肛門腺が溜まってしまっている状態となります。この時点では、肛門腺を絞ることで解決出来るかもしれません。
痛みが生じ始めたら肛門嚢炎の疑いも
肛門腺が溜まってしまった状態から、さらに状態が進行し、悪化していくと、今度は排便時に踏ん張っても便が出にくそうにしていたり、痛みがあるために鳴いたりといった様子が現れます。
この時点ですと、肛門嚢炎の症状も悪化しはじめ、炎症によって痛みが生じはじめます。散歩中や排便時に愛犬がなかなか便を排出出来ていなかったり、痛がるような素振りを見せている場合には、肛門周りを確認してみてください。恐らく、肛門の周りは赤くなり、腫れ上がっている様子が見られるはずです。
溜まってしまった肛門腺の中で細菌が繁殖してしまい、免疫機能が働くことで痒みや痛みを伴っているのです。この状態になると肛門嚢炎を発症している状態となります。
破裂や腫瘍化してしまう肛門嚢炎
肛門周りが赤く腫れ上がり、犬が痛がるような症状がみられる状態から更に症状が進行すると、肛門はさらに腫れ上がり始めます。また、痛みも更に増しているため、排便する都度、犬が痛そうに鳴いたり、排便自体を嫌がるようになりはじめます。
こうした状態が進むと腫れは次第に腫瘍となってしまい、今度は腫れ上がった患部が破裂するといった状態に進みます。この状態になると患部が破裂するだけでなく、患部が腫瘍化してしまう可能性も出てきます。
肛門嚢炎が破裂すると、患部からは血液混じりの膿が出てきてしまい、状態は悪化の一途をたどります。肛門腺とはいえ、悪化するとこうした危険な事態にまで発展してしまうため、油断の出来ない病気の一つです。
肛門嚢炎の原因とは
肛門嚢炎を発症してしまう原因には、肛門腺を絞らないことが挙げられます。肛門腺とは、犬の分泌液を分泌する器官で、この分泌液は肛門嚢に貯められます。この分泌液は、通常であれば排便時に一緒に排出され、排便することで臭いを付けて「マーキング」する働きがあります。分泌液は、マーキングをするためのものなのです。
はじめて会った犬同士がお尻の臭いを嗅ぐ様子を見たことがありますよね。この行為は、お尻から出されている分泌液を嗅ぎ会って、相手を確かめている行為なのです。
こうして一緒に排出されるはずの分泌液ですが、中には上手に排出されず、肛門嚢に溜まってしまう犬もいるのです。これを排出させなければ、肛門嚢の中で細菌が繁殖してしまい、やがて炎症してしまい肛門嚢炎となります。そして分泌液は膿として溜まっていき、肛門嚢を膨らましていってしまうのです。
肛門嚢炎の治療費は幾らくらい?
肛門嚢炎は、肛門腺を絞らなかったことで起きてしまう病気。しかし、そもそも飼い主さんが肛門腺を絞る事を知らずに、ある日突然、愛犬の肛門付近が破裂してしまっていることに気がついて、診察を受けるという場合も多いようです。
肛門嚢炎が起きてしまう前に来院出来れば、肛門腺を絞るだけで済みますので、治療費としてではなく肛門腺絞りの代金として、500円〜といった価格で済むでしょう。
しかし、肛門嚢炎の治療を行わなければならない状態になると、血液検査や薬代などを合わせ、おおよそ15,000円〜20,000円ほどの治療費が発生してくるでしょう。動物病院によっても治療費は変わりますが、感染症予防のためにも、血液検査を受けるのは必須といえますので、最低でも10,000円〜と言った金額は覚悟しなければなりません。
肛門腺を絞ることの大事さ
このようにして肛門嚢炎を発症してしまうのですが、分泌液を排出できない犬は、肛門腺を絞ってあげて分泌液を排出させてあげる必要があるのです。溜まりやすさ、肛門腺を絞る頻度は犬によっても変わりますが、目安としては1ヶ月に1回の頻度で絞ってあげるようにしましょう。
ちなみに、この分泌液はマーキングのために排出される液体なので、非常に臭いのきついものです。そのため、肛門嚢炎を発症し、患部が破裂してしまった場合などには、酷い悪臭と、患部が酷い炎症に見舞われているので、注意が必要になります。
こうして分泌液を排出出来ない理由には、肛門の筋肉である外肛門括約筋が弱く、自らの力で分泌液を出す筋力が無いために起こります。また、肛門嚢炎を発症しやすいと言われる犬種には、トイプードルやチワワの名前が挙げられます。
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肛門腺の絞り方
自信が無ければ、病院やトリミングでお願いすることも出来ますが、肛門腺は自宅でも容易に絞ることが出来ます。
肛門腺絞りとは、肛門嚢を絞る事を言いますが、まず、愛犬の肛門を確認してみましょう。そして、肛門を正面から見て4時と8時の位置を確認してみましょう。この場所が肛門嚢の場所になります。
肛門腺を絞る時には、この場所をつまむように押さえ、肛門の中心に向かって押し絞るようにします。こうすることで、肛門から分泌液が出てくるのです。
注意点としては、非常に強い悪臭の分泌液ですので、ティッシュか何かを当てて絞るようにしましょう。時折、勢い良く飛び出してくる事もありますので、顔などにかかると害は無いものの、その臭いの強さに落ち込んでしまうことでしょう。
また、肛門腺が固かったり、なかなか上手くできなかったりする場合には、無理をせずに病院かトリミング時にお願いするようにしましょう。
日頃から肛門腺チェックをし再発を防ぐ
肛門嚢炎を発症してしまった犬は、比較的、肛門腺の溜まりやすい犬と言えるでしょう。そのため、前述のような肛門腺絞りのケアを定期的に行う必要があります。ほおって置いても肛門嚢炎が再発してしまうだけですので、動物病院でもトリミングサロンでも、積極的に肛門腺絞りのやり方について聞くようにしましょう。
今回は肛門腺が破裂しただけとは言え、再発してまた破裂させてしまった時には、もしかすると細菌によって合併症を発症しないとは言えません。こうしたリスクを減らすためにも、しっかりと肛門のケアを欠かさないようにしましょう。
また、散歩中や日頃、自宅でスキンシップを行っている時にも、肛門を定期的に確認するようにし、正常な状態の肛門、肛門腺が溜まってきている肛門を見分けられるようにすると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。肛門腺絞りはそんなに難しいケアではありませんので、月に1回でも、肛門のケアも忘れずに行うようにしましょう。一度肛門嚢炎を発症してしまうと、消毒や抗生剤を投与するなどの治療が必要になります。こうした面倒なことになる前に、きちんと肛門腺を絞るようにしましょう。
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