犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「北海道犬」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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北海道犬とは

北海道犬とは、「日本犬保存会」によって定められた「日本犬標準」に名前が挙がる、「秋田犬」「甲斐犬」「紀州犬」「柴犬」「四国犬」「北海道犬」の6犬種のうちの1犬種で、1937年に天然記念物に指定されています。

北海道犬は、縄文時代に東北から北海道へ連れられた犬が祖先であり、北海道の先住民族であるアイヌの人たちと一緒に、熊や鹿などを狩る狩猟犬として飼育されていました。別名「アイヌ犬」とも呼ばれており、舌に斑が入ってる個体が多い犬種で有名です。

今回はそんな北海道犬についてスポットを当てて解説していきましょう。

北海道犬のルーツ


北海道犬のルーツは古く、縄文時代に東北から北海道へ移ってきた人たちと共に連れられた犬が北海道犬の祖先であり、北海道の先住民族であるアイヌの人たちと一緒に、熊や鹿などを狩る狩猟犬として飼育されていたと考えられています。北海道犬は、アイヌの人たちからは「セタ」と呼ばれて親しまれていました。

1869年にイギリスの動物学者トーマス・w・ブラキストンが函館を訪れた際に、この犬種を「アイヌ犬」と命名しました。その後、北海道犬は、1902年に「八甲田雪中行軍遭難事件」が起きた時、遭難した人々を捜索するために活躍したことで全国に知られるようになりました。それからは、1937年に天然記念物に指定されたことを境に、「アイヌ犬」から「北海道犬」に改称されたようです。

北海道犬の性格

作物にも恵まれない、厳寒な気候の北海道で長らく飼育されてきた北海道犬は、「寒さに耐える」「粗食に耐える」など、とても忍耐強い犬種になったようです。こうした忍耐強さも、北海道犬の特徴と言えるでしょう。

そして、北海道犬は熊狩りをしていた名残りからか、基本的には気性が荒いところがあり、しつけを怠って野放しで飼育すると非常に攻撃的な性格になることがあります。

北海道犬は日本犬特有とも言える警戒心が強い性格ですので、家族以外の人や犬などに噛み付くこともありますので、幼少期から愛犬と信頼関係を築いた上で、服従訓練を行い、他の人や動物と触れ合う機会を作ってあげるとよいでしょう。

幼少期からこうした機会を作ることで、他の犬や人が来ても、落ち着いて接することができるようになるでしょう。

熊をも恐れない北海道犬の気性

北海道犬は、本来ヒグマを相手に闘っていた犬種で、自分よりも大きい犬などに対しても勇猛果敢に向かっていく性質を持ちますので、愛犬を制止する自信が無い場合は、犬が沢山集まるようなドッグランなどの利用はあまりお勧めしません。

特に、去勢手術を済ませていないオスは、他の犬とケンカになることがありますので注意が必要です。

また一方で、北海道犬は愛情深く、強い忠誠心を持ち合わせていますので、飼い主さんを守るためであれば、獰猛なヒグマにも物怖じせず、立ち向かう勇敢なところがあります。

このように、しっかりとした躾や訓練さえ入ってしまえば、非常に頼もしい相棒にもなる北海道犬ですが、持ち前の気性の強さは消えませんので、基本的にはいくら穏やかな性格であっても、初めての場所や人、動物に対しては飼い主さんが責任を持って用心する必要があります。

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北海道犬の被毛


北海道犬は、硬くて直毛の「オーバーコート(上毛)」と、柔らかく密生した「「アンダーコート(下毛)」の二層構造の「ダブルコート」という被毛で覆われております。
北海道犬の被毛のカラーは、「赤」「白」「黒」「胡麻」「虎」「黒褐色」があります。

北海道犬は、北海道の厳しい寒さには耐えうる厚い被毛を持ちますが、暑さにはあまり強くありませんので、真夏には熱中症などの対策が必要になります。

また、もともと抜け毛が多い北海道犬の被毛は、年に二回の換毛期があり、春と秋になると、さらに抜け毛が多くなります。北海道犬は皮膚病になりやすい犬種なので、こまめにブラッシングをして、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。

北海道犬がかかりやすい病気

北海道犬は、日本犬に多い皮膚病には注意が必要です。その中でも多いのが、アトピー性皮膚炎で、アトピー性皮膚炎とは、アレルギーの原因であるアレルゲンが、何らかの要因で体内に入ることで、皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚炎を引き起こす病気です。

全身痒がっていたり、肉球の間をしきりに舐めて赤くなっているようであれば、アトピー性皮膚炎を疑った方が良いかもしれません。アトピー性皮膚炎は一度発症すると完治が難しく、一生付き合わなければならない事がほとんどで、抗生物質を服用したり、療法食を食べさせたり、生活環境を見直すことで症状を緩和させる処置が取られます。

また、北海道犬は、緑内障にも気を付ける必要があります。緑内障とは、眼圧(眼球の内圧)が高くなることによって視覚障害を引き起こす目の病気です。瞳孔が開きっぱなしになったり、眼球が飛び出るというような症状があったり、目の痛みのせいで頭を触られるのを嫌がったり、失明することがあります。

この他、緑内障以外にも、白内障など眼の病気には十分配慮し、日頃から目のチェックは欠かさず行った方が良いでしょう。

北海道犬の寿命について

北海道犬の体高は49cm〜52cm、体重は20kg程の中型犬で、北海道県の寿命は、おおよそ15年ほど。中型犬としてはやや大きめで、体格もがっしりとしているのが北海道犬の特徴となります。

特筆すべき病気は前述のとおりですが、幼少期から健康的な生活を送り、しっかりとした運動量を摂取していれば、しっかりと寿命を全うしてくれることでしょう。

しかし、本来厳しい天候で、食物に恵まれなかった北海道で飼育されていた北海道犬は、現代の高カロリーな食事に内臓が耐えられないことがあるようです。そのため、肝性脳症という病気を引き起こす事もあります。

肝性脳症とは、体内のアンモニアなどの毒素を取り除く肝臓の機能が低下し、毒素が脳まで回って様々な機能に障害をきたす肝臓の病気です。話しかけてもボーッとしていたり、歩行時にふらついたり、意識障害などがある場合は要注意です。

運動の管理も大事ですが、エネルギーのもととなる食事の管理も十分に考えて飼育するようにしましょう。

北海道犬のブリーダーについて

北海道犬は、ペットショップ等で見かける機会のない犬種ですので、基本的にはブリーダーからの直販という形で迎え入れるのが一般的となるでしょう。ペットショップは初めて犬を飼育する方も多く来店するため、決して初心者向きではない北海道犬は、ペットショップに不向きな犬種ではあるのです。

ただし、北海道犬のブリーダー自体も少なく、インターネットで検索すると出てはきますが、決して多くはないというのが印象です。

北海道犬の相場としては、見たところですと平均で10万円ほど。北海道犬自体の価格は比較的、安価ではありますが、北海道犬を飼育するにあたってはしつけ教室に通わせる事も想定して予算を組んでおきましょう。

また、飼い主さん自身も、気性犬を飼育するという認識を持って、さらには北海道犬の気質に関しても理解した上で、迎え入れるようにしましょう。

北海道犬と保存会

北海道犬を始めとした日本犬は、「日本犬保存会」やそれぞれの犬種の保存会というのが存在します。

かつて、日本に生息していた土着犬の多くは、人と共に生活し、仕事に従事してきました。北海道犬であれば熊狩りなどで活躍してきましたが、さらに高い能力を求めるようになり、様々な犬や、海外産の犬種などと交配を重ねるようになり、多くの日本犬は古来からの姿から変化していってしまったのです。

そのため、日本犬の愛好家達は古来からの日本犬の姿を残すべく、保存活動をし始める事となり、こうした流れで日本犬保存会などの協会が誕生していったのです。また、この時期、同じように様々な動植物も同じような状態にあったため、「天然記念物」というものが誕生しました。

北海道犬を迎え入れる際には、こうした保存会に属する北海道犬を迎え入れるようにし、種の保存に協力していくのが望ましいのではないでしょうか。

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北海道犬「カイくん」


北海道犬の「カイくん」をご存知でしょうか。カイくんは、某携帯会社のCMで一気に有名になった北海道犬で、カイくんがCMに出演するようになってから、北海道犬を飼育したいという人も増えてきました。しかし、元々稀少犬である北海道犬ですので、なかなか手には入らないようです。

これまでにも、チワワやシュナウザー等で同じようなことがありましたが、このようにメディアに取り上げられて有名になってしまうと、挙って飼育する人が増え、過剰繁殖によって奇形の子が生まれたり、日本犬特有の性格を理解しないまま飼育してしまい、「思ったのと違った」と飼育放棄してしまうケースもありました。

北海道犬という犬種が知れ渡るよい機会ではありましたが、一部でも困った事態も起きていたのです。今はカイくんも引退し、息子の「海斗(かいと)」くんがCMで活躍しているようです。

北海道犬と暮らすために

北海道犬は、本来熊や鹿狩りをしながら、広大な北海道を駆け回っていた犬種なので、かなりの運動量が必要と言えるでしょう。1日2回、1回につき1時間程度の散歩は必要となり、散歩以外にも自転車の引き運動などもお勧めです。

運動量が少ないと、ストレスが溜まり、吠える、噛む、物を壊すなど、犬特有の問題行動を引き起こすことがありますので注意が必要です。

北海道犬を飼育する前は、日本犬特有の警戒心の強さや、他人を受け入れない性格などを理解し、忠誠心の強い北海道犬のリーダーとして毅然たる態度で接し、信頼関係を構築しながら、服従訓練を行わなければいけないということを考えてから飼育に望んだ方が良いでしょう。

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