愛猫の子供が見てみたい!という飼い主さんも多いのではないでしょうか。もちろん、避妊や去勢手術をするには賛否両論あると思いますが、ここでは避妊や去勢手術を行った場合の、メリットやデメリットについて考えてみましょう。
どうして猫の「避妊」「去勢」が必要なの?
どうして愛猫の健康な身体にメスを入れてまで、避妊手術や去勢手術が必要なのでしょうか。これには、単に子供を作る予定がない・望まない妊娠を回避するといった理由以外にも、いくつかの理由があります。
メス猫の場合、避妊手術をすることによって、「乳腺腫瘍」や「子宮蓄膿症」などの、メス特有の病気の発症率を下げることができます。また、多頭飼いをしていたり、外飼いしている猫は避妊手術をすることによって、望まない子猫が産まれることを未然に防ぐことができます。
さらに、避妊を行うと発情期自体がなくなるため、発情によるストレスが軽減されたり、発情期に大声で鳴くなどの問題行動を抑えることができます。手術を行うタイミングにもよりますが、早ければ早いほど、手術を行うメリットは高くなるとも言えます。
乳腺腫瘍などの病気を防ぐために
前述の通り、メス猫にはメス猫特有とも言える病気があり、こうした病気は避妊手術を行うことで発症リスクを大幅に下げることが出来ます。
その一つが「乳腺腫瘍」ですが、乳腺腫瘍とは猫の乳房にできる腫瘍で、この腫瘍が悪性であった場合は癌となります。しかしながら、その多くは悪性である場合が多いため、メス猫は注意が必要です。
乳腺腫瘍の直接的な原因は未だはっきりとはわかっていませんが、ホルモンによる問題や、高齢化に伴うものと考えられています。
原因がはっきりと分かってはいないとは言え、避妊手術を行っていない猫の発症率は、避妊手術を行っている猫と比較して7倍もの割合であることや、はじめての発情の前に避妊手術を行う事で発症率が10%程度まで下げることができるなど、避妊手術を行うことのメリットは明確となっています。
オス猫の去勢は必要?
オス猫の場合もメス猫の避妊手術同様に、去勢手術を行うことによって、オス特有の病気である「精巣腫瘍」や「前立腺疾患」の発症率を下げることができます。こうして病気のリスクを下げることができるという事が、去勢や避妊を行う一番に大きなメリットと言えるのではないでしょうか。
猫の場合は犬よりも精巣腫瘍を発症する割合は低いと言われていますが、0%ではありませんので決して油断はできません。万が一ということもありますので、予め病気に対しての知識を持っておく事は大事になるでしょう。
また、去勢を行うことでスプレー行為の改善など、オスならではの問題行動を抑えることができます。特にスプレーを行うと、非常に強い臭いを発しますので、マーキングの機会が減るのは飼育する上でも助かります。
精巣の摘出で病気以外のリスクも回避
オス猫に関しては、精巣を取り除くため、精巣の腫瘍を予防するだけでなく、押す特有の発情行動を起こさないようにすることも可能となります。
オス猫は去勢手術を行うことで性格が穏やかになり、オス同士のケンカが減ることにも関係していきます。必然的にケガをする機会も減るため、特に外に自由に出入りできる環境下で飼育しているオス猫は「猫免疫不全ウィルス感染症(猫エイズ)」や「猫白血病ウィルス感染症」などの、あらゆる感染症にかかるリスクを予防することができます。
これらの病気は去勢手術とは直接的な関係はありませんが、病気の要因には「怪我」が挙げられますので、間接的にリスクを下げることにもつながるわけです。発症してしまってからでは大変ですので、予め予防措置を取る事が重要です。
避妊・去勢手術を行うことで下がる病気のリスク
メス猫に関しては乳腺腫瘍の予防のほか、「子宮内膜症」や「子宮蓄膿症」を予防する事、卵巣を取り除くことで「卵巣嚢腫」「卵巣腫瘍」といった卵巣の病気の予防にも繋がります。
こう言ったメス猫特有の病気の中には、命に関わるような危険な病気も多いため、このような病気から愛猫を守ることができるのです。
これらの病気は、避妊・去勢手術を行わないと必ず発症するという訳ではありませんが、避妊・去勢手術を行うことで、こうしたオス・メス特有の病気・疾患を未然に防ぐことができるのです。
子供を作る予定がないのであれば、病気のリスクを少しでも減らすために、真剣に考えてみても良いのではないでしょうか。また、早期に手術を行ったほうがよりリスクの軽減を行うことが可能になります。
スポンサードリンク
避妊・去勢をすることによるデメリット
避妊・去勢手術をすることによるデメリットとしては、手術をする際、どうしても全身麻酔をかける必要があるため、麻酔のリスクがあるということは頭に入れて置きましょう。
また、手術後はホルモンバランスが変わってしまったり、基礎的な消費カロリーが減少することで、太りやすくなる子が多いようです。
そして、当然ですが、避妊・去勢手術をした後に、子供を作りたいと思っても、もう元の体には戻らないので、子供を作ることができません。避妊・去勢する際には、こうした点をしっかりと理解した上で行わなければなりません。
病気を発症しやすいというリスクから考えれば、デメリットとしてはそこまで重いものではありませんが、取替しかつかない手術にはなりますので、子供を作りたいと考えているのであれば、今一度しっかりと考える必要があるでしょう。
ホルモンバランスについて
ホルモンとは猫の身体を常に健康な状態に維持するために、「内分泌器官」から分泌される分泌物のこと。ホルモンが分泌されることで、身体がしっかりとコントロールされるのです。
避妊・去勢手術を行うことで、卵巣や精巣から分泌されていたホルモンが無くなりますので、必然的に体全体のホルモンのバランスは変化、ホルモンバランスが崩れることとなります。
ホルモンバランスが崩れることで前述の通り、肥満になりやすい体質になるわけですが、これまで繁殖能力のために蓄えていたエネルギーが余分となり、食欲などに移行していくことで肥満になりやすくなるとも考えられています。
避妊・去勢を行った際には、術後の状態も合わせて考える必要があります。
性格が穏やかに
避妊・去勢を行う事で見られる様子には、性格が多少なりとも穏やかになる傾向もあります。飼い主さんの見方によっては元気が無くなったなぁと感じる場合もあるかもしれませんね。
避妊・去勢を行うことで元気が無くなってしまうということではなく、性格が丸くなるという表現のほうが当たっていますが、のんびりした性格になってみたり、トゲが無くなるといった様子が見られるようになるでしょう。
こうして穏やかな性格になるのは、生理的なものからくる様々なストレスから解放された事にも繋がっているため、下手な争いごとを好まなくなったり、攻撃的な面も和らぐといったように、家庭内では飼いやすい性格になるともいえます。
今まであまり甘えることがなかった猫も、少し甘えん坊になる場合もありそうですね。
避妊・去勢手術を行うのに適したタイミングとは
避妊手術・去勢手術には、猫にとって適したタイミングというものが存在します。その理由の一つにあげられるのが、手術に耐えられる体力の問題です。手術には全身麻酔を行わなければいけないため、高齢であればあるほど、手術を行うにはリスクが高くなります。そのため、避妊・去勢手術を行うには、より若年齢で体力があるうちに、できれば、初めての発情を迎える直前の生後半年あたりが理想的であると考えられています。
オス猫に関しても、生後半年頃に去勢手術を行うほうが良いとされています。オス猫の繁殖機能が成熟する前に去勢を行うことで、オス猫特有の行動が抑えられる事のほか、生理的な行動や欲求なども無くなります。
さいごに
今回は避妊・去勢手術に関して解説していきましたが、病気のリスクを最小限に抑えることもでき、また、オス猫・メス猫特有の発情行動も抑えられるため、ぜひ真剣に考えてみてほしいところです。
「うちの子、ケガや病気でもないのに、体にメスを入れることなんてできない!」
避妊や去勢手術をすることに抵抗がある方もいらっしゃると思います。
しかし、いざ愛猫が老猫になって、避妊や去勢手術をしておけばかからなかった病気になった時、老齢のせいで手術を受けることができなかったら・・・?
「あの時に手術をしておけば・・」と、後悔しないように飼い主さんの方で今一度考えてみましょう。愛猫が様々な病気のリスクから解放されるのであれば、メリットとして捉えても良いのではないでしょうか。
スポンサーリンク