猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は猫種の一つ「ヒマラヤン」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
ヒマラヤンとは
ヒマラヤンとは、ずんぐりむっくりの体型、ぺしゃんこな顔、フワフワで豪華な被毛を持った温和な性格のペルシャと、特徴ある被毛のカラーの「ポイント(顔や耳、四肢や尻尾などに濃い色が入り、他の部分は薄い色になる被毛のカラー)」を持つシャムの性質を併せ持った猫です。
ちなみに、「ヒマラヤン」という名前は、その特徴あるポイントの被毛が「ヒマラヤウサギ」に似てることから名付けられました。
ヒマラヤンのルーツ
ヒマラヤンは、シャムのような「ポイント」を持ったペルシャを作りたいという考えから、「ペルシャ」と「シャム」の異種交配により作出された猫です。
しかし、実際にこの種類を作出することは簡単なことではなく、アメリカとイギリスのそれぞれの国で、20年以上もの歳月を研究に要しました。これは「ペルシャ」と「シャム」は、両方とも劣性遺伝子を持つ猫種のため、これだけ困難を極めたのではないかと思われます。
その努力の甲斐あって、ようやく1955年にイギリスの猫血統登録団体「GCCF」、1957年にはアメリカの猫血統登録団体「CFA」で公認されました。
ところが、この時のヒマラヤンのCFA登録数は34万頭以上いましたが、CFAではヒマラヤンを単体の猫種とは認めず、あくまでペルシャの一種として「ヒマラヤン・ペルシャ」という名称で、登録されています。
20年以上もの間ヒマラヤンの研究に時間を費やし、それでもまだ一つの種類として認められていないヒマラヤンは、「未完の傑作」として、今現在も改良が続けられています。
「ドールフェイス」と「エクストリームフェイス」
ヒマラヤンには2つのタイプがあり、鼻筋が通ってる「ドールフェイス」と、ペルシャのようにぺしゃんこの鼻で、横から見ると額から顎まで一直線の「エクストリームフェイス」と呼ばれる2つのタイプが存在します。
日本にいるヒマラヤンの多くは「ドールフェイス」で、伝統的な顔持ちという意味の「トラディショナル」と呼ばれる場合もあります。一方、アメリカにいるヒマラヤンは「エクストリームフェイス」が多いようです。
エクストリームフェイスはペキニーズのような鼻の短な顔で、ペルシャの血統が強く出た顔のタイプになります。ペルシャのような特徴的な顔であるために、ヒマラヤンは未だペルシャの一種として認識されているのかもしれませんね。
ヒマラヤンの性格
ヒマラヤンの性格は、ペルシャの温和でおっとりしたところと、シャムの陽気さを持ち合わせており、友好的で優しく、他のペットとも仲良く接することができます。
また、滅多に鳴かないのもヒマラヤンの特徴であり、集合住宅でも問題なく飼育できるでしょう。さらに、利口で賢いので、躾の面で煩わせることはないでしょう。まさに、ペルシャとシャムの良いとこ取りの猫と言えるでしょう。
ヒマラヤンは、神経質な一面もあり、騒がしいところは好みません。また、自立心もあるため、ソファーやベッドなどで静かにのんびりすることを好み、構い過ぎると面倒がられて嫌われることもあります。構いたい気持ちはわかりますが、少し抑えて程々にした位の方が、ヒマラヤンにとってはのんびりと過ごすことができるようです。
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実は甘えん坊のヒマラヤン
ツンデレな一面もあるのがヒマラヤンの可愛らしさの一つです。前述の通り、自分のペースで行動し、自分のペースで相手とやりとりするかと思いきや、その反面、甘え上手なところもあり、構って欲しいとさりげなく傍に寄り添い、さりげなく体を預けることもあります。
さすがは猫、ツンデレな所が可愛らしいです。さすがはヒマラヤンと言ったところですね。そんな時は、思う存分可愛がってあげましょうね。こうしてさり気なくするよってきた時が、距離を縮める大チャンスです。
しかし、あくまでも構いすぎず、こちらも何気なく寄り添うようにしましょう。あなたの近くが落ち着ける場所とわかってしまえば、こっちのものです。こうして徐々に距離を縮めて理解し合えるところも、猫の良いところですよね。
ヒマラヤンの被毛
ヒマラヤンは、白かクリーム色の被毛で生まれてきますが、成長とともに、顔や耳、四肢や尻尾などに濃い色が入り、他の部分は薄い色になるという、ヒマラヤンの特徴である「ポイント」が現れます。
ヒマラヤンの被毛のカラーは、「シールポイント」「チョコレートポイント」「ライラックポイント」「ブルーポイント」「クリームポイント」などがあります。基本的には「ポイント」が入っている事がヒマラヤンの基準となりますので、地色はシールやブルー、クリーム、チョコレートなど、毛色は多種にわたります。
ヒマラヤンは前述の通り、未だ正式に一品種として認められていませんが、このポイントの特徴こそがヒマラヤンのチャームポイント。いつの日か、ヒマラヤンとして認められると良いですね。
ヒマラヤンは毛玉になりやすい
ヒマラヤンは、長くて柔らかい「ダブルコート」の被毛で覆われており、換毛期があるため、かなりの抜け毛があります。また、ヒマラヤンは毛が細く、毛玉にもなりやすいという事と、顔がへこんでいるため、自分で毛繕いすることが苦手なねこでもあります。
そのため、ヒマラヤンには1日1回のブラッシングは必須となります。幼猫の頃からブラッシングの習慣を付け、スキンシップを兼ねてブラッシングを行うようにしましょう。
被毛の手入れを放置すると、毛球症(毛繕いの際に、飲み込んだ自分の体毛が消化器官内に留まり、吐くことも排便することもできなくなる状態)になったり、皮膚病の原因にもなります。毛玉が出来てしまってからでは、なかなか上手に解くことも出来ず、カットしなければいけなくなりますので、毛玉が出来る前に予防するようにしましょう。
ヒマラヤンがかかりやすい病気
【多発性嚢胞腎】
腎臓に嚢胞(液体を含んだ袋状のもの)が幾つもできて、腎臓の機能が低下するという病気で、進行すると慢性腎不全を引き起こし、死に至ることもあります。
ヒマラヤンは遺伝的にこの病気にかかりやすいと言われており、親のどちらかが発症していれば、50%の確立で発症し、治療法もないと言われています。
この病気の症状は、食欲が無くなったり、体重が減ってきたり、水を飲む量が増えたり、血尿といった症状がみられます。ヒマラヤンは普段から大人しい性格なので、気付きにくいこともあるかもしれませんが、小さな事でも何か変わったことがあれば、獣医さんに診てもらいましょう。
【流涙症】
目から涙が溢れて流れ落ちることで、要は涙目の状態を言います。角膜炎や結膜炎や目瞼炎などが原因であったり、先天的な奇形のため、涙が過剰に分泌したり、涙管が詰まったりして、涙の行き場がなくなって涙が溢れてしまう病気です。
「常に涙が出ていないか」「涙やけで茶色くなっていないか」「眩しくないのに目がショボショボしていないか」など、日頃から目のチェックをして、目の周りは清潔に保ちましょう。
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ヒマラヤンは泌尿器系の病気にも注意
ヒマラヤンは上記に挙げたような病気以外にも、泌尿器系の疾患にも注意が必要です。特に、オスは尿石ができやすかったり、メスは膀胱炎になりやすいといった指摘もあります。日頃から予防することができるものですが、場合によっては命の危険も起こり得るものですので、油断は禁物です。
日頃から尿の量や色は必ずチェックするようにしましょう。尿の量や色でも、ある程度のチェックが行なえますので、トイレ掃除の際には流れ作業で行うのではなく、量と色に注目して掃除しましょう。
また、日頃からの食事の管理も重要です。マグネシウム量の多いようなキャットフードを与え続けるのは、ヒマラヤンにとってあまりよくはありません。できるだけ、低マグネシウムのキャットフードを与えると安心でしょう。
ヒマラヤンのブリーダー
ヒマラヤンはペットショップなどでも比較的出会う確率の高い猫です。ノルウェージャン・フォレスト・キャットやアメリカン・ショートヘアなどと比べると頻度は少ないですが、ヒマラヤンも十分に人気も高いので、全く会えないというわけではありません。
また、ブリーダーからの直販も良い選択です。ブリーダーからの直販は、ペットショップよりも安価な場合も多く、何よりも親猫の顔や毛色を確認することができますので、迎え入れる側としても安心ですよね。ペットショップではなかなか叶わないので、親猫を見られるのは大きなメリットと言えるでしょう。
ヒマラヤンのブリーダーに関しては、兵庫に1件、静岡に4件です。ヒマラヤンの価格に関してはおおよそ20万円前後ほど。高い場合でも30万円を越えるのは稀でしょう。
ヒマラヤンと暮らすために
ヒマラヤンはフワフワの毛が密集しているので、一見太っているように見えますが、実際に触ってみると、意外にあばらや背骨が出ていて、ガリガリに痩せている・・・なんてこともあります。逆に毛が多いがゆえ、肥満にも気付かないものです。
愛猫の体のチェックは、見た目で判断せず、被毛の下の体自体をチェックすることが大事です。
そして、ヒマラヤンのように鼻が短い「短吻種」の猫は、体の構造上、元々スムーズに呼吸がしづらい体質でもあり、さらに暑熱環境で悪化するため、熱中症に気を付けなければいけません。また、短吻種の猫は、飛行機での輸送を断られることがありますので、飛行機を利用する際は、予め航空会社に確認しましょう。
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