「シベリアン・ハスキー」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もいると思いますが、「シベリアン・ハスキー」を飼う上でどのような事を理解し、気をつけなければいけないのでしょうか?今回は、「シベリアン・ハスキー」について、特徴や性質、飼育上の注意点を事などをチェックしてみましょう。

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シベリアン・ハスキーとは

シベリアン・ハスキーといえば、一見クールで怖そうな表情の、オオカミのようなイメージを持つ方も多いとは思いますが、実はとても甘えん坊で人懐っこく、いたずらが大好きな犬種なのです。

また、古くから「そり」を引く犬として、人間と共に生活してきたシベリアン・ハスキーは、他のそり引きの犬種よりも体重が軽いため、そりを引くスピードが速く、11頭で600kgの荷物を引きながら、1日32kmも走ったという記録も残されています。

シベリアン・ハスキーのルーツ


シベリアン・ハスキーは「スピッツ」と同じタイプに属し、シベリア北東にあるチェルスキー山脈一帯を原産地とし、トナカイ遊牧や狩猟をしていた「チュクチ族(俗にエスキモーとも呼ばれる)」により、そり引きやボート引きなどの牽引犬や狩猟犬、番犬として何百年もの間飼育されていました。

アメリカのゴールドラッシュ時代に入ると、この犬種はアラスカへ輸入されるようになり、人々の人気の高い娯楽であるドッグレースで活躍していきました。1910年のアラスカのノームからキャンドルの距離653kmを走る「アラスカ賞金レース」では、シベリアン・ハスキーのチームが見事な好成績を残し、まだ知名度が低かったこの犬種を、最初に世に広く知らせる機会となりました。

シベリアン・ハスキーと、1000kmの命のリレー

1925年、アラスカのノームでジフテリアという病気が流行し、血清の緊急輸送が必要になりました。今のように輸送手段も整備されていなかったため、人々は頭を悩ませましたが、なんと、シベリアン・ハスキーのチームが人々の命を救うため、1088kmもの距離をリレーをしながら走り通し、血清を運んだのです。
まさに、命のリレーを成し遂げたこの時の功績が讃えられ、ニューヨークのセントラルパークには銅像も建つほどでした。

その後、シベリアン・ハスキーはアメリカへ持ち込まれ、第二次世界大戦ではアメリカ軍用の捜索・救助犬として素晴らしい活躍をおさめています。
1930年にアメリカの愛犬家団体「AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)」に公認され、今も家庭犬としてだけでなく、そり引きレースやショードッグとして人気の高い犬種になっています。

ちなみに、「シベリアン・ハスキー」という名前の由来は、遠吠えする声がしわがれている(ハスキーボイス)ことから名付けられたと言われています。

シベリアン・ハスキーの性格

シベリアン・ハスキーは独立心が強く、頑固な面があるため、幼少期からしっかりと服従訓練をする必要があります。また、この犬種は、飼い主さんに対して、常に「気にしてもらいたい」「褒めてもらいたい」という、自己顕示欲が強い一面もあるので、「褒める時は大袈裟なくらい褒め、叱る時はしっかりと叱る」というような、メリハリのある躾が望ましいです。

とても優しく、飼い主さんや家族に対して従順なシベリアン・ハスキーは、集団行動を好む性格のため、子供や他の犬種、小動物などのペットまでも同じ家族と見なし、協調性を持って共に生活をすることができます。
また、とても社交的で、冒険心に富んでいるところがあるので、幼少期から色んな人や物、場所などに接する機会を設けると良いでしょう。

しかし、元々吠え癖はない犬種ですが、一人ぽっちのまま長い時間放置されると、寂しくなって、オオカミのように仲間に呼びかけようとする習性があります。
家族が見える場所に犬舎を作ったり、寝床に飼い主さんの匂いがするものを置いてみたり、冒険心があるので、新しいおもちゃを入れてあげるのも良いでしょう。

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シベリアン・ハスキーの被毛

シベリアン・ハスキーの被毛は、硬くて少し長めの「オーバーコート(上毛)」と柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の2種類のダブルコートで成り立っていて、この被毛はマイナス40℃の厳寒な天候でも体を守るために役立っています。

また、シベリアン・ハスキーの被毛は、年に二回の換毛期があり、春と秋になると、とても毛が抜けやすくなりますので、こまめにブラッシングをして、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。

これはシベリアン・ハスキーに限られたことではなく、ダブルコートの犬種は寒さを凌ぐために進化を重ね、こうした2層の被毛を持つようになりました。そのため、日本のような高温多湿の環境は、皮膚や被毛を蒸れさせてしまい、皮膚病などを引き起こす要因となってしまいますので、こまめな被毛のケアが必要となってくるのです。

シベリアン・ハスキーの毛色について

シベリアン・ハスキーの被毛のカラーは、比較的多く見られる「ブラック&ホワイト」や「シルバー&ホワイト」といったカラーの他にも、明るめのブラウンと白毛の「レッド&ホワイト」、淡いブラウンと白毛の「チョコレート&ホワイト」、白毛一色の「ホワイト」などがあります。

また、「ホワイト」に関してはシベリアン・ハスキーの中でも希少色で、ホワイトハスキーといった呼称で呼ばれることもあります。

シベリアン・ハスキーの毛色は、基本的には白毛があれば、その他の混色は何色でも良いとされているため、上記に挙げた毛色の他にも「シャンパン&ホワイト」や「グレー&ホワイト」「カッパーレッド&ホワイト」「アグーチ」など、毛色は多色に渡ります。

シベリアン・ハスキーはオッドアイ?バイアイ?


シベリアン・ハスキーは、左右の目の色が違う子も多く存在します。一時期、シベリアン・ハスキーが人気を博した際には、この目の色が違うほど価値があるとも言われてきました。

こうして左右の目の色が違う事を「オッドアイ」と呼び、猫などにもオッドアイは見られます。このオッドアイは、遺伝子による先天的な要因で発生するもので、「アルビノ」などに見られるものと同じです。

シベリアン・ハスキーに限っては、このオッドアイという名称ではなく「バイアイ」と呼ばれ、バイアイのシベリアン・ハスキーは現在も高値で取引されることが多いようです。

非常に美しく青い目の色をしたシベリアン・ハスキーは、宝石のような目を持つ犬として人気がありますが、バイアイのシベリアン・ハスキーも希少であることから、根強い人気を誇っています。

シベリアン・ハスキーがかかりやすい病気

シベリアン・ハスキーがかかりやすい病気とされているのが、大型犬に多い「股関節形成不全」です。この股関節形成不全は、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす病気です。
肥満体型は、股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。

また、「進行性網膜萎縮」という病気にも気を付けなければいけません。この病気は、網膜が萎縮して正常に働かなくなる遺伝子の病気です。まず、視力が低下して夜に目が見えなくなり、そのうち日中も見えなくなり、最終的には失明します。
他にも「白内障」や「緑内障」など、あらゆる眼科疾患にかかりやすいと言われているので、日頃から目のチェックは欠かさずしましょう。

最後に「特発性てんかん」も、シベリアン・ハスキーに多い病気とされています。検査をしても脳に腫瘍や炎症などの異常がないにも関わらず、神経細胞に異常が起こることにより発症する病気で、全身が痙攣し、意識を失い、失禁する「全般発作」や、顔の一部や四肢が痙攣する「部分発作」といった症状が見られます。

シベリアン・ハスキーの寿命はどのくらい?

大型犬種であるシベリアン・ハスキーの寿命は、おおよそ13年前後と言われています。

前項でも紹介したバイアイのシベリアン・ハスキーですが、一般的にはオッドアイや色素の薄い場合は、寿命も短命と言われています。しかし、シベリアン・ハスキーのバイアイに関しては、遺伝子によるものではあるといえ、こうして寿命に影響をあたえるような遺伝子疾患によるものではないのです。

日照時間の少ない場所で生まれたシベリアン・ハスキーは、メラニン色素が薄いために青色の目を持ちます。これは、人間にも同じことが言え、赤道近くの国の方々はメラニン色素が濃く、北欧に近づくにつれて目の色も青い方が多いですよね。

シベリアン・ハスキーもこれと同じことで、青い目を持つようになりましたが、育つ地域が変わることでメラニン色素も濃くなり、茶色の目をもつシベリアン・ハスキーも多くなりました。これによってバイアイのシベリアン・ハスキーが誕生するようになったのです。

そのため、シベリアン・ハスキーのバイアイは遺伝子疾患ではないため、寿命に直接関係があるわけではありません。

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シベリアン・ハスキーのブリーダー

20年以上前に一度、爆発的な人気を博したシベリアン・ハスキーも、今はそこまで見る機会も多くなくなってきました。ペットショップなどでも、全く見かけないわけではありませんが、小型犬種などと比べると、ペットショップで見る機会も稀といえます。

そんなシベリアン・ハスキーを迎え入れる際には、ブリーダーからの直販が理想的かもしれません。シベリアン・ハスキーのブリーダーに関しては、今となっては激減してしまったものの、関東を中心に繁殖を行っているブリーダーが存在しています。

ブリーダーから迎え入れる際には両親の情報や、遺伝的な疾患が無いかなどの情報をすぐに確認できるので、しっかりと確認してから迎え入れるようにしましょう。

シベリアン・ハスキーの販売価格について

シベリアン・ハスキーはペットショップ等で販売される機会も少なくなったことから、ディスカウントで販売されているということもなくなってきました。

ブリーダーからシベリアン・ハスキーを迎え入れる際には、おおよそ15万円〜20万円といった価格で取引されることが多く、高くとも30万を越えることは稀でほぼ無いと言って良いでしょう。

前述の通り、シベリアン・ハスキーの価格は毛色が希少色である場合や、バイアイである場合等によっても変動します。この他にも価格の差が変わる場合はありますが、多くはこうした希少色によるものです。

シベリアン・ハスキーを迎え入れる際には、どんな毛色がいいのか、目はバイアイが理想的かどうかなどをある程度決めておくと良いかもしれませんね。

シベリアン・ハスキーと暮らすために

シベリアン・ハスキーは、極寒の天候でも耐えうる厚い被毛に覆われているため、寒さには強いのですが、暑さにはとても弱い犬種なので、くれぐれも炎天での散歩や、車内に長時間置き去りにするなどの行為は絶対にしないように注意してください。

また、長距離疾走が可能な強靭な体力・持久力を持つシベリアン・ハスキーは、運動量を多くとる必要があり、運動不足になると、ストレスによる問題行動も発生します。他の犬種と比べても、運動不足や愛情不足によるストレスが多くかかるようで、ハスキー本来の性質を失い、飼い主さんでも関係なく、人に対して唸ったり噛み付いたり威嚇するようになることもあります。

現に、以前日本で「ハスキーブーム」があった際、この犬種の充分な飼育知識もなく、安易に飼育し、しっかりとした躾がされないままワガママな犬種になり、飼い主も持て余した結果、飼育放棄が相次ぐということがありました。また、この犬種は、このようなストレスがかかった場合、他の拠り所を求めて脱走し、放浪することも少なくなかったようです。

シベリアン・ハスキー本来の性格は、家族に従順で、利口で優しい性格です。人に危害を加えるような性格ではありません。幼少期から主従関係を作り、飼い主さんがリーダーであることをしっかりと認識させることが重要です。

この時、ただ厳しいだけの躾では、言うことを聞いてくれません。スキンシップを取りながら、「愛情」と「厳しさ」のメリハリのある躾をすることが大事です。

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