犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「グレート・デーン」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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グレート・デーンのルーツ

グレート・デーンは、チベタン・マスティフが祖先犬となり、グレー・ハウンドと交配されたことにより、現在の威厳ある逞しさと、優美でしなやかな均整が取れた体が作られたと考えられています。

14世紀頃のグレート・デーンは、現在の姿よりも筋肉質で体重もあり、スピードやスタミナも兼ね備え、獰猛なイノシシに立ち向かう優秀な狩猟犬として活躍しており、この当時は、「ボア・ハウンド(ボアとはイノシシのこと)」と呼ばれていたようです。

その後、グレート・デーンは、その狩猟能力だけでなく、威風堂々とした佇まいでドイツの貴族の人たちを魅了し、貴族の一種のステータスとして、こぞってグレート・デーンを飼うようになり、この頃から徐々にスリムな体型へと変貌を遂げていきました。

日本ではと言うと、明治の初期にフォーン系のグレート・デーンが輸入されており、土佐犬の作出に一役に買っているようです。

また、一部の県では、グレート・デーンを「人に危害を加える恐れがあるもの」と、特定犬種として飼育制限しています。体が大きいから危険というわけではないと思うのですが・・・。でも、犬が苦手な人にしてみたら、あれだけ巨大な犬が目の前にいたら、足がすくんでしまうのでしょうね。

グレート・デーンの原産国は?

「グレート・デーン」という犬名は、「大きなデンマーク人」という意味ですが、これはフランスの博物学者がデンマークを訪れた際、たまたまこの犬を見かけ、この「大きなデンマーク人」を自国に紹介したことが由来しています。しかし、この犬種の原産国はドイツであり、デンマークとは何の関わりもありません。

1800年代のドイツでは、グレート・デーンは「ドイチェ・ドッゲ(ドイツのマスティフという意味)」と呼ばれており、今後この正式名称で呼び、「グレート・デーン」という呼び名を廃止すべきと宣言しましたが、結局英語圏では「グレート・デーン」のままになっています。

グレート・デーンの大きさ


「優しい巨人」と呼ばる事もあるグレート・デーン。その呼び名の通り、グレート・デーンはとても穏やかで優しく、忍耐強くてのんびりした性格です。特に小さい子供がいる場合、吠えたり噛んだりすることなく、辛抱強く相手をしてくれます。もちろん、協調性もあるので他の犬種とも仲良くできます。

ただし、個体によっては体重90kgを超える超大型犬種なので、乳幼児がいる場合、誤って乗られたり踏まれたりすると、大きな事故に繋がりますので注意が必要です。

グレート・デーンは犬というよりも、大きな人間を飼うようなもの。グレート・デーンへのしつけも大事になりますが、グレート・デーンを飼育する側もしっかりとグレート・デーンの性格や行動を理解し、危険が及ぶような場所は避けるなどの対処も必要になるでしょう。

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ギネス認定常連のグレート・デーン

様々な新記録を認定している事で知られるギネスですが、世界一大きな犬や世界一小さな犬もギネスとして存在していることをご存知でしょうか。

世界一大きな犬となると、やはり常連となるのがグレート・デーンやアイリッシュ・ウルフハウンド。2014年9月に亡くなってしまいましたが、グレート・デーンの「ゼウス」という子は、一般的なグレート・デーンの体高(50cm〜80cmほど)を大きく上回り、111.8cmという体高の大きなグレート・デーンでした。

現在のところ、ゼウスがギネスNo.1の世界一大きな犬となっていますが、2017年度版ギネスでは、世界一体高の高いメスの犬として、アメリカ在住のグレート・デーン「リジー」がギネスに認定。その体高も女子には似つかわしくない96.41cmという高さです。

グレート・デーンの性格


グレート・デーンは、素直な性格で、賢く、物覚えも早いので、しつけも入りやすい犬種です。

しかし、幼少期のうちにきちんとしたしつけを怠ると、ワガママに育ち、体が大きい分、コントロールが利かなくなり、周囲を危険に晒すこともありますので、幼少期からの服従訓練を徹底しておきましょう。しつけに自信が無いのであれば、早いうちにトレーニングのスクールに出すこともお勧めします。

巨大な体を持ち、威圧感もあり、家族以外の人には警戒心も持ちますので、護身犬としてはとても頼りになること、この上ないでしょう。

しかし、飼い主さんや家族の前で見せる真のグレート・デーンの姿はとても甘えん坊です。あの大きな体でお腹を見せたり、何か催促がある時は傍にすり寄ったり、悪いことした時は、大きな体を一生懸命隠したりすることもあるようですよ。

グレート・デーンの被毛

グレート・デーンの被毛は、「スムースコート(短毛)」で硬く密生していて、滑らかさと光沢があり、手入れも比較的簡単で、固く絞ったタオルで全身を拭く程度で問題ありません。

また、被毛のカラーは、「ブラック」「ブルー」「フォーン」「ブリンドル」「ハールクイン(白地に黒い斑点があるもの)」の5色が認められています。

グレート・デーンがかかりやすい病気

【胃捻転】
胃の内容物が発酵し、発生したガスで胃がパンパンになり、その胃が捻転してしまう病気で、大型犬に多く見られ、致死率も高い病気です。ついさっきまで元気にしていると思ったら、急にぐったりとするなど、早急に処置をしないと、最悪の場合死に至る病気です。

【拡張型心筋症】
心臓が肥大し、心室内腔が拡張することにより、心臓のポンプ機能が低下していくという病気です。初期の段階ではほとんど症状が見られず、病気が進行すると肺水腫を引き起こし、咳や呼吸困難になったり、不整脈を引き起こした場合は、ふらついたり、元気がなくなってボーっとしたり、失神するような症状があり、最悪の場合には突然死することがあります。

拡張型心筋症は、初期段階ではほとんど症状が見られないため、症状に気付いてから病院へ連れて行っても、手遅れという場合が多い恐ろしい病気のため、グレート・デーンを飼育されてる飼い主さんは、年に一度の定期検診を受けることをお勧めします。

【骨肉腫】
骨肉腫は、命の危険が極めて高いガンの一種です。このガンは足に発症することが多く、足に激しい痛みが生じて、足を引きずったり、患部の骨が腫れるなどの症状があります。
また、骨肉腫はとても進行が早く、転移しやすいので、発見した時点で、90%以上の確率で肺に転移していると言われています。足を引きずったり、いつもと歩く感じが違うと感じたら、すぐ病院へ連れて行きましょう。

グレート・デーンの寿命が短い理由とは

グレート・デーンを飼育するということは簡単なことではありません。そして、残念ながらグレート・デーンの平均寿命は6~8歳と言われており、小型犬の半分くらいしか生きられません。

前項の通り、グレート・デーンが気をつけるべき病気は多く、中でも特に「胃捻転」には注意が必要で、グレート・デーンが命を落とす事の多い病気として知られます。予防としては、食事の後はしばらくは安静にさせることや、水のがぶ飲みは避けること、早食いさせない事など、十分に気を付けてあげましょう。

グレート・デーンの寿命がこのように短い理由は、胃捻転などの病気が原因なのではなく、超大型犬の体には不釣り合いなサイズの臓器を持っているためです。進化の過程では、臓器も体に合ったサイズへと大きくなるはずですが、グレート・デーンはそうにはならなかったのです。

そのため、大きな体を動かすのには負担が大きく、心肺機能にも大きな負荷がかかるため、他の犬種と比較しても寿命が短いと言われています。

グレート・デーンのブリーダーは少なめ

グレート・デーンは、普段からペットショップで販売されている犬種ではありません。そのため、グレート・デーンを飼いたいと考えた時には、ペットショップを回って探すことよりも、ブリーダー直販で迎え入れることが基本となるでしょう。

ただし、グレート・デーンのブリーダーに関しても決して多くはないので、まずは犬探しというよりもブリーダー探しが中心になるかもしれません。最近ではブリーダーを紹介しているサイトもあるので、こうしたサイトでもグレート・デーンのブリーダーを探すことができます。

主に関東以南にグレート・デーンのブリーダーが集中しているため、遠方の方は気にいるグレート・デーンの子犬が見つかるまで、大変な往復になるかもしれません。ペットショップ等に入荷の予定は無いか、入荷予約は可能かどうかも確かめてみても良いかもしれません。

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グレート・デーンの販売価格や相場はどのくらい?

グレート・デーンの相場は、おおよそ350,000円〜500,000円といったところ。子犬がチャンピオン直仔である場合には、この限りではないでしょう。

グレート・デーンは前項の通り、ペットショップに並ぶ犬種ではないため、当然ディスカウントも期待はできません。ブリーダーに問い合わせる際には、事前にグレート・デーンをすぐに迎え入れられるお金の用意も必要ですね。

また、グレート・デーンを迎え入れる環境も非常に大事になってきます。いざ迎え入れたものの、一緒に生活するには部屋が狭すぎたなんてことにならないよう、予めの準備が必要になります。

他の犬種と比較しても決して安くはない、グレート・デーンの相場価格。日本では希少な犬種でもあるため、どうしても価格は高騰してしまうのです。

グレート・デーンと暮らすために

グレート・デーンは、体高が80cmを超える「超大型犬種」です。急な発病や老衰などで自力で動けなくなった時、病院へ運ぶことはとても大変なので、往診してくれる獣医師さんがいる病院を探しておくと良いでしょう。また、この大きな体を治療できるような設備や搬送車があるのかということも選択肢に入れましょう。

グレート・デーンのような巨大な体型を維持するために、かなりの費用がかかることは覚悟してください。犬を飼うというより、人間が一人増えたと思っておいた方が良いかもしれませんね。

嵩むのは、エサ代だけではありません。気を付けなければならない病気も多いので、この犬種の保険料は高めだとも言われています。また、これだけの大きさの犬を飼育するため、それなりの飼育環境の確保も必要です。散歩や運動やしつけに取られる時間も多いでしょう。

しかし、グレート・デーンは、短い寿命だったとは思えない程の喜びや幸せを与えてくれるのも事実です。この限られた時間だからこそ、愛おしく思い、濃厚で充実した人生を過ごさせてあげたいと思うのでしょう。

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