犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事があり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「オーストラリアン・シェパード」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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オーストラリアン・シェパードとは

「オーストラリアン・シェパード」ってご存じですか?

一見、ジャーマン・シェパードの親戚?と思ってしまいますが、容姿は全く似ていません。どちらかと言えば、ボーダー・コリーに似ているかもしれませんね。

オーストラリアン・シェパードは、あまりポピュラーな犬種ではありませんが、元々牧畜犬として使用されており、現在もアジリティ競技、ハーディング競技、服従競技など、あらゆる競技で優秀な成績を収めています。

また、それだけでなく、盲導犬や聴導障害者誘導犬、麻薬捜査犬、救助犬としても活躍しています。

オーストラリアン・シェパードのルーツ

オーストラリアン・シェパードのルーツは、1800年代にヨーロッパのバスク地方の人々がオーストラリアへ移住した際、羊と一緒に牧畜犬を持ち込んだことが始まりであると考えられています。

その後、間もなくオーストラリアに移住した羊飼いたちは、この羊と牧畜犬を引き連れてアメリカ西部へ移り住むこととなりました。その時に「オーストラリアから来た羊飼い(シェパード)」ということから、「オーストラリアン・シェパード」と名付けられましたが、実は、この犬種の原産国は、オーストラリアではありません。その後のアメリカで、この犬種の改良が始まったことにより、アメリカ原産となったのです。

それまでは、華やかさとは無縁のところにいたオーストラリアン・シェパードですが、第二次世界大戦後、カウボーイが荒馬に乗ったり、投げ輪などの腕を競うロデオ大会で芸を披露する犬として活躍し、また、それがディズニーにより映画化されたことで、オーストラリアン・シェパードは一躍有名となります。

同じ頃、牧畜業の活性化と共に、オーストラリアン・シェパードのハーディング能力(羊の群れを集めて誘導すること)、優れた知力や洞察力など、牧畜犬としての才能に人々がこぞって称賛し、人気犬種となったと言われています。

オーストラリアン・シェパードの性格


オーストラリアン・シェパードは、室内で愛玩犬として育てることよりも、飼い主さんと外へ出て、思う存分走りたい欲求が強い犬種です。雨が降ろうが雪が降ろうが、そんなことはお構いなしです。これだけの並外れた持久力を持ち、活発な犬種を扱うため、飼い主さんもそれなりの体力が必要となるでしょう。

また、オーストラリアン・シェパードは、牧羊犬の名残からか、子供や自分より小さい犬などをまとめるために、噛むことでコントロールしようとすることがあるようなので、噛み癖は幼少期のうちにしっかりとしつけておきましょう。

飼い主さんに忠実で、家族にも愛情深い性格のオーストラリアン・シェパードは、優れた洞察力を持ち、相手の気持ちを察することができます。悲しい時、苦しい時は、何も言わずそっと傍に寄り添ってくれるでしょう。この犬種は、運動能力を満たし、深い愛情を注げいであげると、最高のパートナーになります。

オーストラリアン・シェパードの被毛

オーストラリアン・シェパードは、中程度の長さの「オーバーコート」と、密生した柔らかい「アンダーコート」の2種類からなる「ダブルコート」という被毛に覆われています。

オーストラリアン・シェパードの被毛は、暑さに弱く、寒さに強いという特徴があり、特に日本のような高温多湿の気候は、湿気と熱気がこもり、熱中症と皮膚病の原因にもなるため、こまめなケアが必要になってきます。

オーストラリアン・シェパードの被毛のカラーは、「ブラック」「レッド」「ブルーマール」「レッドマール」が基本になっており、これらの色に白い斑があるものとないもの、また、タンがあるものとないものがあります。

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オーストラリアン・シェパードは抜け毛が多い?

オーストラリアン・シェパードのダブルコートの被毛は、春から夏の季節の変わり目に見られる換毛期があり、古い毛が一気に抜け落ちて、季節に応じた新しい被毛が生え変わります。

この時期は大量の毛が抜けるため、こまめにブラッシングをかける必要があり、放おっておくと部屋が毛だらけになってしまうだけでなく、抜け毛で熱がこもってしまうために皮膚病のリスクも高くなってしまいます。

抜け毛が多いオーストラリアン・シェパードは、こまめにブラッシングをかけるようにし、常に綺麗な状態を保つように心がけましょう。オーストラリアン・シェパードの被毛を常に清潔な状態に保つことで、熱中症や皮膚病といったリスクの予防にも繋がるでしょう。

オーストラリアン・シェパードのボブテイル

「オゥシー」の愛称で親しまれるオーストラリアン・シェパードは、牧畜犬として人気を集め、1957年には「ASCA(オーストラリアン・シェパード・クラブ・オブ・アメリカ)」、1993年には「AKC(アメリカンケネルクラブ)」が純血種としてオーストラリアン・シェパードが認定されることとなりました。

こうして純血種として認められると、必ず「スタンダード」と呼ばれる、その犬種の基本となる形が定義づけられますが、オーストラリアン・シェパードの評価基準の一つに、尻尾が断尾されているか、生まれつきボブテイル(尻尾が短い)という基準があります。

もちろん、こうした基準はドッグショーなどに出場する際には大事になることですが、ペットとして飼うにあたっては何の問題もない事です。オーストラリアン・シェパードがボブテイルである事を知らなければ、びっくりすることもあるかもしれませんね。

オーストラリアン・シェパードがかかりやすい病気

オーストラリアン・シェパードは、遺伝性の疾患が多い犬種です。特に眼の疾患が多く、「コリー眼異常(CEA:Collie Eye Anormaly)」という遺伝による病気に気を付けなくてはいけません。
視神経や強膜など、目を構成する組織に色々な形成異常が起きるこの病気は、軽傷の場合には普通に目が見え、判断がつきにくいケースもあれば、若齢のうちに発症し、症状が進行して失明することもあります。

また、この病気を発症した場合、繁殖に用いる事は避けた方が良いでしょう。その他にも、「進行性網膜萎縮」や「遺伝性白内障」などの遺伝による眼の疾患にも気を付けましょう。

そして、「股関節形成不全」という大型犬に多い骨の病気にも注意が必要です。股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす病気です。
肥満体型は、股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。

オーストラリアン・シェパードの寿命

大型犬種であるオーストラリアン・シェパードの寿命は、おおよそ13歳前後。大型犬としては一般的な寿命となっています。特に何の問題もなければ、しっかりと寿命を全うしてくれることでしょう。

しかし、一つ気を付けておきたいのが、フィラリアの予防薬として使われる「イベルメクチン」に関してです。

オーストラリアン・シェパードは、このイベルメクチンに対して中毒症状が起きる可能性があり、イベルメクチンを使用するのは危険とされています。これは、オーストラリアン・シェパードだけではなく、コリーやシェルティー、ボーダーコリーなど、主に牧羊犬として知られる犬種に多く見られるものです。

フィラリア程度の量なら問題ないという説もありますが、可能性を考えるなら、獣医さんとよく相談された方が良いでしょう。

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オーストラリアン・シェパードのブリーダー


オーストラリアン・シェパードは、日本国内では比較的マイナー犬種といえますので、ペットショップなどで見かけることはほぼ無いと言って良いでしょう。

そのため、オーストラリアン・シェパードを迎え入れる際には主にブリーダーからの直販という形になりますが、ブリーダーから迎え入れる際には、しっかりと信頼のおけるブリーダーかどうかを判断することが大事になります。

特に、ブルーマールによる遺伝子疾患には要注意です。ブルーマールのオーストラリアン・シェパードを迎え入れる際には、両親のカラーを確認するのは必須と言えるでしょう。

前項に続きますが、ブルーマール同士の交配によって誕生した、ブルーマールのオーストラリアン・シェパードは、非常に高い確率で遺伝子疾患を抱えているため、一般的な寿命を全うできない事が多いため、そのような交配を行っているブリーダーからは、オーストラリアン・シェパードはおろか、他の犬種も迎え入れるべきではないでしょう。

オーストラリアン・シェパードの販売価格

オーストラリアン・シェパードの相場価格はおおよそ15万円〜30万円といったところです。ペットショップに並ぶ犬種ではないため、その金額もまちまちといったところです。

前項でも触れましたが、ブルーマールのオーストラリアン・シェパードは人気の毛色であるため、ブルーマールである場合にはやや割高になる傾向があります。人気のカラーであるがゆえに、無理な交配を行うブリーダーも存在するため、ブリーダーから迎え入れる際には、確実に信頼できるブリーダーであるかどうかが大事になります。

いくら価格が安くとも、結果として高く付いたり、残念な結果を招いてしまう場合もありますので、オーストラリアン・シェパードを迎え入れる際には金額を重視するよりも、ブリーダー選びが必須の条件と言えるでしょう。

オーストラリアン・シェパードと暮らすために

オーストラリアン・シェパードは、とても賢い犬種です。運動欲求の他にも、知力欲求も満たしてあげないと、ストレスから問題行動を引き起こすこともあるため、普段の近所の散歩やドッグランで走らせるだけでは、肉体的な運動欲求を満たすことができても、知的欲求は満たされません。

そのため、広い敷地内で飼い主さんも一緒になってフリスビーで遊んだり、アジリティのようなドッグスポーツをするなど、身体も脳も刺激になるような運動を取り入れましょう。

また、賢いゆえ、訓練やしつけなどの吸収は早いのですが、反面、いたずらなどの悪いこともすぐ覚えてしまいます。幼少期から「良いこと」と「悪いこと」をしっかり教える必要があるでしょう。悪いことをしたからと、乱暴に扱ったり、威圧的な態度で接すると、神経質になったり、攻撃的な犬になることもあります。

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