犬の寄生虫による病気、フィラリア症は、「ノミ」や「ダニ」をはじめとした「寄生虫」による病気や症状は様々なものがありますが、寄生虫による被害を予防するためにも、どのような知識や予防策を知ることが大事なのでしょうか?今回は犬の寄生虫のひとつ「フィラリア」による症状や予防法について解説します。

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寄生虫とは

「寄生虫」は、犬の世界でももちろん、人間界でも存在するもので、この寄生虫が体内や体に「寄生」することで、様々な悪影響を体に及ぼすものです。

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「ダニ」や「ノミ」など、この寄生虫には様々な種類が存在し、犬や人間にも様々な寄生虫を原因とした病気が存在します。

こうした寄生虫が、体のどこかを住処にするわけですが、そこは寄生虫にとっては食料の宝庫でもあり、繁殖の場でもあるわけですが、この寄生虫が増えていくことによって、やがて犬の体も衰弱していき、最悪の場合は命の危険も及ぼす影響を持ちます。

知れば知るほどに気持ちが悪くなるかもしれませんが、こうした寄生虫による悪影響を未然に防ぐためにも、しっかりとした知識を持ち、対策をとれるようにしましょう。

寄生される心配もグッと減り、また万が一寄生された場合も、早期発見・早期治療を施すこともできます。

「フィラリア症」とは

寄生虫の種類は様々なものが存在するものの、昔から犬を苦しめる寄生虫の代表と言えば「フィラリア」の名前が挙げられるでしょう。

このフィラリアという寄生虫は「犬糸状虫(いぬしじょうちゅう)」とも呼ばれており、成虫で約20cm前後ほどの大きさになります。

名前からもわかるように、犬が宿主となる寄生虫ですが、蚊を媒介して他の犬はもちろん、猫などにも寄生することがわかっています。

犬に感染した場合はフィラリアが増殖するために、抗原検査で90%以上の確率でフィラリアを発見することが可能となりますが、猫に寄生するフィラリアは1匹前後と、非常に少なく、抗原検査を行っても、1匹前後となると、発見することが非常に困難となります。

このように、フィラリアと聞くと犬のイメージが強いですが、猫の場合は感染しても無症状、もしくは突然死してしまうという場合もあるため、犬に比べ発見が遅れる・発見することができない事が多いために、あまり理解が広がっていないのかもしれません。

フィラリアに感染するまで

フィラリアに感染するまでの経路には、犬を宿主としたフィラリアがミクロフィラリアを産むことから始まります。順をおっていくと、

【1】フィラリアに感染している犬の体内で、フィラリアの成虫が幼虫を産むことで、やがて犬の血液中へと幼虫が浮遊するようになります。この血中を浮遊する幼虫が「ミクロフィラリア」です。

【2】蚊が、このフィラリアに感染している犬の血液を吸うことで、ミクロフィラリアは蚊の体内へと活動の場を移します。蚊の体内で成長するミクロフィラリアは、10日程で脱皮をし、感染幼虫へと変わります。

【3】感染幼虫を持つ蚊が、他の犬の血を吸う事により、今度は蚊の体内から刺した犬の体内へと移動・感染し、フィラリア感染が発生するのです。

【4】その後、寄生してから肺動脈へと到達するのに、おおよそ3〜4ヶ月を要し、その後成虫へと成長します。成虫になると、またミクロフィラリアを産み血中へと浮遊します。

そして、【1】へと繰り返していきます。

このようにして、フィラリアは感染を増やしていき、犬や猫などの命を奪っていくのです。

この連鎖を食い止めるためにも、フィラリアの予防接種が大事になってくるのです。

フィラリアの予防接種を受けることで、【3】の段階で100%駆除することが可能となりますので、毎年必ず受けるようにしましょう。

犬フィラリア症は人にもうつる?

前述の通り、フィラリアは人間の世界にも存在する寄生虫です。一言で「フィラリア」と言っても実はいくつかの種類が存在しており、中でも人間にしか寄生しないフィラリア(糸状虫)が「バンクロフト糸状虫」と呼ばれる寄生虫です。この他、「マレー糸状虫」「オンコセルカ」など、フィラリアの種類は多種にわたります。

そして、犬のフィラリア症である「犬糸状虫」に関しては、決して犬だけに寄生する寄生虫ではなく、世界でも100例近くとやや少ないものの、犬糸状虫も人へと寄生するということがわかっています。

フィラリア症に感染した犬から、人へと感染する際にも、やはり蚊が媒介するわけですが、「トウゴウヤブカ」と呼ばれる蚊が寄生虫を媒介することがわかっています。

フィラリア症の日本の状況は?


日本で犬糸状虫による人への寄生が発見されたのは、1964年のことでした。それまでは「糸状虫」による寄生は数例報告されていたものの、初となる犬糸状虫の寄生から、1980年代に入ってからは徐々にその数を増やしていきました。

前述の通り、一言でフィラリア症といっても幾つかの種類が存在するわけですが、「フィラリア症」というくくりでみると、それまで国内でも100例ほどが確認されています。

こうした事態を受け、1967年までに3回のフィラリア撲滅のための活動が行われ現在の日本においては寄生が認められる例はありませんが、気候の熱い国々では未だ感染例が後を絶たない状況です。

犬から人への寄生は稀ではあるものの、絶対に寄生しないわけではありません。これを予防するためにも、犬のフィラリア症を予防する必要があるのです。

症状とは?

フィラリア症の症状ですが、犬がフィラリアに感染した場合、初期症状が非常にわかりにくいために気が付かない事も多いようです。

特徴としては、咳が出始める・呼吸が苦しそうといった器官系の症状から、食欲の減退や元気の減退といった症状が見られます。

この時点では、ちょっとした症状にはなりますので、あまり気が付かないのも無理はありません。

さらに症状が進むと、お腹が膨らむ(腹水)といった見た目の症状から、おしっこが赤くなってくるといった症状があらわれはじめます。

この時点になると、様子がおかしいと感じ始めるでしょう。やがて、喀血や失神を起こしたりと、次第の病状がひどくなってきます。

この状態に入ると、フィラリアの成虫を摘出するための外科手術が必要になります。

フィラリアは犬の心臓に寄生してから約5〜6年もの間生存し続けます。

この間に慢性的な咳などで苦しめられる事となり、また、寄生するフィラリアの数が多ければ、血管が塞がれることになり、肺動脈が詰まることで急死する恐れも出てきます。

治療と予防策

フィラリア症の治療は、フィラリアの数等をはかるために抗原検査が行われます。

また、症状の状態によって「慢性フィラリア症」と「急性フィラリア症」に分けられます。

急性の場合は、状態を放おっておくと数日で死に至る事が多くなるでしょう。

この場合は、外科手術によってフィラリア成虫を摘出する手術となりますが、外科手術が状態によって難しいと判断されれば、薬剤の投与による治療になるでしょう。

しかし、薬剤の投与による治療で、急激にフィラリアを死滅させてしまった場合、肺動脈などを詰まらせてしまう恐れもあるため、慎重な投与が必要になります。

慢性の場合、フィラリア症を発症することで他の臓器にも影響を受け、肝臓や腎臓といった臓器に異変を来す場合が多く、フィラリア症のみならず、こうした病気を併発することで死に至る事となります。

いずれの場合も、早期発見・早期治療が望まれますが、フィラリア症にならないためには、フィラリアの予防接種が一番の予防策となります。

フィラリアの予防薬の摂取について

フィラリアの予防接種には注射によるものや錠剤を飲ませるタイプのもの、おやつタイプのもの、スポットと呼ばれる液状で背中に付着させるものなどがあります。

それぞれにメリット・デメリットがありますが、注射による予防接種は基本的に年1回の接種で完了します。しかし、中には注射を嫌がる犬もいるため、必ずしも注射だけに頼る必要はありません。

状態のタイプやおやつタイプの予防接種は、与えやすく、価格も安価である場合がありますが、フィラリア症の心配のある3〜6ヶ月間のあいだ、毎月接種させる必要があるため、手間にはなります。

スポットタイプは簡単に接種させることもできますが、皮膚の弱い犬は避けたほうが良いでしょう。また、スポットタイプも毎月投与する必要があります。

フィラリアの予防接種にはいくつかの方法がありますので、動物病院に行ってよく相談してみましょう。

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フィラリア予防薬の成分「イベルメクチン」


フィラリアを予防するための薬には「イベルメクチン」と呼ばれる成分が配合されている場合があります。このイベルメクチン、寄生虫の予防に多大な効果を与える頼もしい成分ではありますが、「コリー」種に使用する際には十分に注意する必要があります。

コリー種には、コリーを始め「シェットランドシープドッグ」や「ボーダーコリー」「オールドイングリッシュシープドッグ」「オーストラリアンシェパード」等が挙げられますが、これらの犬種はイベルメクチンに対してアレルギー反応を起こしてしまう恐れがあり、嘔吐や食欲不振、場合によっては昏睡状態に陥ってしまいます。

動物病院でも周知の事実ですので説明はあると思いますが、予防接種を受ける際に特段説明がなければ、念のためにイベルメクチンが含まれていないかを確認して見るようにしましょう。

フィラリア症の治療費はいくらくらい?


万が一、フィラリア症を発症してしまった場合には、治療費はどの程度かかるのでしょうか。これは、動物病院によっても価格が変わりますが、おおよそ7〜8万円は見ておいたほうが堅実でしょう。

また、前述の通り、フィラリア症の治療に関しては麻酔も使用するものですので、年令によっては大きなリスクを伴うことも忘れずに。

こういった自体になる前に、フィラリア症はしっかりと予防を行うことで簡単に阻止できるものです。予防接種に関しては年間でも1万円はかからず、注射以外の方法ですと年に5千円程度で済む場合もあります。

フィラリア症になってしまってからでは、取り返しのつかない事態にもなりかねませんので、しっかりと毎年、フィラリア症の予防対策を行うようにしましょう。

犬の寄生虫による病気、フィラリア症について!【必要な知識や予防策は?】のまとめ

フィラリア症の予防薬は、蚊が活発になるタイミングに合わせて毎月投与する形になりますが、住んでいる地域によってもその時期は変わります。

かかりつけの病院があれば、毎年はがき等が送られてきますし、かかりつけ医がいなければ、近くの病院に行って摂取タイミングを確認してみましょう。

非常に危険な寄生虫「フィラリア」。しっかりとした予防措置をとるだけで、こうした悲劇からも回避できるので、毎年接種する癖をつけ、何の気兼ねもなく外に遊びに行けるようにしたいですね。

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