猫のウィルス・伝染病が原因となる病気「猫白血病ウィルス」について

免疫力が低い猫が発症することで、命をおとしてしまう場合もある「猫白血病ウィルス感染症」。猫白血病ウィルスというウィルスに感染することで発症する病気ですが、今回はその感染ルートや症状、予防策について解説していきたいと思います。

猫白血病ウィルス（FeLV)とは

人間の病気でも知られる白血病。この白血病という病気は猫の世界にも存在し、「猫白血病ウィルス」と呼ばれています。また、猫白血病は「FeLV（Feline Leukemia Virus)」と略される場合もあります。

猫白血病ウィルスは、免疫力の弱い猫が感染してしまうと、命を落としてしまう可能性もある恐ろしい病気で、特に免疫力の付いていない子猫が感染してしまうと、50％〜100％の確立で命を落としてしまいます。中でも、生後間もない子猫に関してはほぼ100％の確立で命を落としてしまいます。

この恐ろしい病気の猫白血病ウィルスですが、どのような経路でウィルスが感染してしまうのでしょうか。

猫白血病ウィルスの感染経路について

猫白血病ウィルス感染症は、外猫や野良猫が持つ病気としても知られます。この猫白血病ウィルス感染症は、猫白血病ウィルスに感染することで発症する白血病ですが、その感染ルートには猫同士の喧嘩が指摘されます。具体的には、すでに猫白血病ウィルスに感染している猫と喧嘩をすることで咬傷感染してしまうことで感染が認められるのです。

また、猫白血病ウィルスに感染している猫にグルーミングをされることでも感染し、同じ食器を使用することでも感染が認められることから、猫白血病ウィルスは咬傷感染だけではなく、唾液からも感染することがわかっています。この他、尿や排便、血液、乳汁などでも感染が認められます。

子猫が発症すると、非常に高い確率で命を奪われてしまう猫白血病ウィルスですが、子猫に関しては唾液からというよりも、母子感染によって感染が認められます。猫白血病ウィルスに感染している猫が出産することで、生まれた子猫たちはすぐに命を奪われてしまうのです。

猫白血病ウィルスの症状について

この猫白血病ウィルスは、実は免疫力が十分に付いている成猫が感染しても、無症状のまま一生を終える事も少なくありません。また、感染症を発症しても完治することも珍しくはありません。しかし、あくまでも免疫力が付いている成猫に限られた話で、子猫や免疫力の下がるような病気を発症している場合には、非常に危険が伴います。

猫白血病ウィルス感染症の症状には、初期症状に元気の減退や発熱、貧血、リンパ節の腫れ等が見られるようになります。これは、猫白血病ウィルスの急性症状と呼ばれる初期症状で、感染後約1ヶ月程で発症します。症状自体は長くとも1ヶ月程度で終息しますが、その後も体内に潜み続けています。

その後、慢性症状と呼ばれる症状がおよそ1〜2年後に訪れます。体重が著しく落ちたり、下痢などの症状も見られ、症状が重症化することで、白血球減少症、慢性口内炎、腎臓病、リンパ肉腫といった病気を引き起こす場合もあります。

こうした病気を発症してしまうことで免疫力の低下も招いてしまい、その予後はあまり良いものではありません。50％を越える高い確率で2年〜5年以内に命を落としてしまう数字もでていることから、猫白血病ウィルスの恐ろしさがわかるかと思います。

猫白血病ウィルスの治療について

残念ながら猫白血病ウィルスに対する直接的な治療はありません。そのため、発症している症状に対して治療を行っていくこととなりますが、急性症状を発症した際には輸血を行ったり、猫用のインターフェロンを投与することで、猫自身の免疫力を高めていきます。こうして免疫力を高めることで、自然治癒力をつけ、猫白血病ウィルスを退治していくのです。

初期症状のタイミングで完治する場合もありますが、完治することができなければ、すぐには症状はみせないものの猫白血病ウィルスが体内に潜むこととなります。そして慢性症状を発症するタイミングで何かしらの病気を発症してしまうことで、非常に危険な状態になってしい、その多くは延命治療などを施した後に命を落とす結果となります。

猫白血病ウィルスに対しての治療薬はありませんが、感染を未然に防ぐためのワクチンが開発されています。毎年接種する混合ワクチンにも含まれており、こうした最悪の事態になる前に、ワクチンで予防措置を行う必要があります。

まとめ

命に関わる事態になりかねない猫白血病ウィルス感染症。主に外に出歩く猫がウィルスを持ち帰ってしまい、先住猫などにも感染を拡げてしまうこともありました。最近では、自宅内だけで飼育する家庭も増えてきているため、昔ほど外に出して飼っている猫もすくなくなりましたが、外界にはこうした目に見えない危険がたくさんあるのです。

今もなお、こうして外と自由に行き来できるような飼育の仕方をしている場合には、すぐにやめるようにしましょう。猫にストレスが溜まってしまうかもしれませんが、愛猫の命を守るためには必要な行動かもしれません。

猫白血病ウィルス感染症で命を落としてしまう、不幸な猫を減らすためにも、猫は自宅内で飼育するようにし、毎年の予防接種も確実に接種するようにしましょう。こうすることで、猫白血病ウィルスに感染するリスクも大幅にさがり、また、飼育環境も常に清潔な環境を保つようにし、様々な病気から身を守るようにしましょう。