犬が尿路結石を一度起こしてしまうと、再度、尿路結石を引き起こしてしまう可能性が高くなると言われています。そんな結石持ちの犬も、肥満になってしまえばダイエットを行う必要があります。

そこで今回は、尿路結石を経験したことのある犬の最適なダイエット方法について解説していきたいと思います。

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尿路結石とは?


尿路結石とは、尿を排泄する際に尿の通り道となる「尿路」に結石が出来てしまい、尿路を塞いでしまうことで激しい痛みが生じてしまったり、最悪の場合には尿毒症を引き起こしてしまう可能性もある病気です。

尿路結石には「尿結石」や「尿石症」など、いろいろな呼ばれ方をする場合がありますが、尿結石の原因となる「結石」の種類や、結石ができてしまう場所によってもその呼称が分けられます。

尿路結石、または尿道結石は「尿路(尿道)」に、膀胱内に結石ができる場合は「膀胱」に、尿管結石は「尿管」に、といったように、結石ができる箇所で呼称は異なるものとなります。

また、結石は食生活や生活環境によっても発症してしまうものですので、尿路結石の治療や予防策として食事管理が大事なポイントになってきます。そのため、ダイエットを行う際には、食事の管理にも気をつけなければなりません。

そこでまずは尿路結石について知識を付ける必要がありますが、中でも最も犬に多く見られる尿結石が「ストルバイト結石」です。

ストルバイト結石について

ストルバイト結石は尿のph値がアルカリ性に傾きすぎることで引き起こされる尿結石で、実に犬の尿結石の内、60%〜80%がこのストルバイト結石であると言われています。

尿をアルカリ性に傾かせてしまう要因となるのが、食事によるものや細菌感染によるものです。また、水を極端に飲まないような環境下でもストルバイト結石を引き起こす場合があります。

ストルバイト結石の治療は食事療法によって結石を溶解させることが可能です。基本的にはアルカリ性に傾いたph値を酸性に傾かせ、適正なph値に落ち着かせることで結石を溶解させていきます。

とはいえ、今度は酸性に傾かせすぎると別の悪影響が引き起こされてしまいますので、あくまでもph値のバランスを取るということが重要なポイントとなります。

シュウ酸カルシウム結石について

「シュウ酸カルシウム結石」は、尿のph値が酸性に傾きすぎることで、尿中のカルシウムと結合してしまい発症する結石です。

シュウ酸カルシウム結石の主な要因は、食事の管理によるものです。原因となるのはシュウ酸を摂取しすぎることですが、通常であればシュウ酸は「便」とともに体外へと排出されていきます。

しかし、シュウ酸を多く摂取しすぎてしまうことで、排出されきれなかったシュウ酸が尿中へと含まれるようになり、尿中のカルシウムと結合することでシュウ酸カルシウム結石が引き起こされるのです。

残念ながらシュウ酸カルシウム結石は食事療法などで溶解させることが出来ませんので、外科治療を行って除去するしか方法がありません。

ストルバイト結石の気をつけるべき食材


尿路結石と結石について簡単に説明してきましたが、いずれにも言えるのは食事の管理をしっかりと行わなくてはならないということです。

また、ダイエットに関しても食事の管理が大切になってきますが、尿路結石を引き起こしている場合や、これまでに尿路結石を経験してきた犬はもちろん、ダイエットを行うにあたって気をつけておくべき食事の管理もあります。

まず、ストルバイト結石に関しては尿のph値をアルカリ性ではなく、一度、酸性に傾かせることがポイントとなりますので、手っ取り早く酸性に傾かせることができる動物性タンパク源を与えることが、ストルバイト結石の解決策の一つとなります。

ただし、単純に動物性タンパク源ばかりを与えていたのでは、尿路結石ではなく肝臓に負担をかけてしまうことに繋がりますので、動物性タンパク源と植物成分のバランスを取り、健康管理を行う必要があります。

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シュウ酸カルシウム結石の気をつけるべき食材

シュウ酸カルシウム結石の場合は、シュウ酸を摂取しないように気をつけることが大切ですので、シュウ酸を含む食材を与えないことが予防策となります。

特にシュウ酸を含む食材には「ほうれん草」や「レタス」が挙げられ、栄養価の高い「さつまいも」や「ブロッコリー」もシュウ酸を多く含む食材としてあげられます。このほか、「バナナ」にもシュウ酸が多く含まれていますが、実のところシュウ酸をほとんどの食材に含まれます。

また、動物性タンパク質や脂肪分の多い食事、ナトリウムの多い食事も注意が必要です。

ドッグフードの原材料表記をチェックし、こうした成分ができるだけ低いものを摂取させることが、シュウ酸カルシウム結石を予防する対策となります。

結石で異なる栄養素

ダイエットを行う際には手作り食をして、カロリーの低い食事を飼い主さんが作る場合もあるかと思いますが、上記でも解説したとおり、カロリーの低さに加えて結石にならないように食材を選ぶことも大事になります。

また、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石は同じ結石でも、気をつけるべき食材・栄養は異なるということも上記でわかったかと思います。

ダイエットを行う際にはダイエットフードや手作り食など、様々な方法でカロリー減を目指すべきですが、しっかりと尿路結石についての知識を付けるようにし、避けるべき食材・取り入れるべき食材を把握しなければなりません。

そのためには、まずは愛犬の尿路結石がどのタイプなのかを把握する必要があるのです。結石のタイプを把握することで、与えてはいけない食材や摂取量に気をつけなければいけない栄養素も見えてきますので、「弱点」を理解することは大切です。

プロ目線から見たダイエット方法と尿路結石の栄養


ダイエット食を手作りで行う際には、ある程度の栄養学を得ることが必要です。一方で、ダイエットを行う際にダイエット用のドッグフードを与える際には、ドッグフードの原材料表記に加えて、成分表記もチェックするようにしましょう。

成分表記には「リン」や「カルシウム」などの成分値も表記されていますし、タンパク質や脂質、カロリーなどのダイエットに必要な情報も表記されています。

同じダイエット用ドッグフードであっても、フードメーカーによって成分は全く異なりますので、必ずチェックしなければなりません。これが尿路結石を意識しないのであれば、ダイエットだけの成分で考えれば良いことですが、さらに尿路結石にも配慮したバランスで管理しなければなりませんので、通常のダイエットよりは少し難しいとは言えます。

ただし、慣れてくればポイントもつかめますし、飼い主さん自身も愛犬の尿の色や臭いでも判断ができるようになってきますので、まずはできるだけ挑戦してみることが大切です。

ダイエットは症状が落ち着いてから

愛犬の肥満は放って置くと病気を引き起こしてしまいますので、できるだけ適正体重を維持できるよう、日頃からダイエットなどを交えて体重のコントロールを行う必要があります。

しかし、尿路結石の状態によっては、ある程度、症状が落ち着いてからダイエットを行うようにしましょう。健康維持のためにダイエットを行うのに、尿路結石の状態を悪化させてしまっては意味がありません。

まずは愛犬の体調を万全にすることを心がけるようにし、ダイエットは愛犬が完全に健康な状態になってからおこなうことをおすすめします。

基本的にダイエットも尿路結石も、食事の管理で対処できる場合がほとんどですので、まずは愛犬の食の管理をきちんとこなし、体調や病気を引き起こさないような栄養管理を理解・実践していくようにしましょう。

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