どうしても太りがちな避妊手術後の犬。ホルモンバランスが変わったり崩れたりすることで太りやすい体質になってしまう避妊後ですが、避妊後の犬のダイエット法として適しているのはどのような方法なのでしょうか。

そこで今回は、避妊手術後の犬のダイエットについて解説していきたいと思います。

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避妊手術後、なぜ太る?


将来的に病気のリスクを大幅に減らせる事から、避妊手術を行ったという犬も多いことでしょう。メス犬特有の「乳腺腫瘍」や「子宮蓄膿症」は、高齢になるにつれて発症リスクが高まりますので、行うのであれば麻酔によるリスクが低い年齢に行うべきです。

しかし、この避妊手術は病気のリスクを減らすというメリットがある反面、太りやすくなるというデメリットも抱えます。

この太りやすくなる原因に挙げられるのは、本来であれば繁殖の準備を行うために使っていた、エネルギーの使い所が無くなってしまうためです。そのため、必然的に消費できず、余分となったエネルギーが脂肪に蓄えられ、肥満を引き起こすのです。

避妊手術を行う前に使っていたエネルギー量を100とすると、生殖機能がなくなることでおおおそ30%も余分となるようです。つまり、これまでは生殖機能に30%のエネルギーを使っていたということになります。

このように生殖機能に使われるエネルギーは思っているよりも多いため、避妊手術後も同じ生活・同じ食生活を送っていると、当然ながらカロリーオーバーの状態になっていくわけです。

30%のカロリー過多に

このように、それまでは必要となっていたエネルギーを持て余してしまうような状態になるため、肥満は引き起こされてしまうわけですが、避妊手術後に太りやすいと言われる原因は、これだけではありません。

避妊手術を行う前は生理現象として「性欲」がありますが、避妊手術を行うことでホルモンバランスが変化し、それまで性欲によって抑制されていた「食欲」が増加します。ここでもまた、性欲があることでバランスが保たれていた食欲が、性欲が無くなることでバランスが狂い、食欲のバランスが増加するわけです。

30%のエネルギーを余しているのにかかわらず、さらに食欲も増加する状態になりますので、当然ながら太りやすい体質へと変わっていってしまうわけです。

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避妊手術後は性格も穏やかになる傾向に


避妊手術を行うことで性格が穏やかになるというのも、避妊手術後に太りやすくなる要因であると考えられています。

避妊手術を行う前は活発に走り回っていたという犬も、避妊手術を行うことで穏やかな性格に変わり、運動量も減少するという犬が多いようです。術後の性格の変化には個体差がありますが、その多くは穏やかな性格に変わると言われています。

こうして考えると、避妊手術を行うことで犬の体には様々な変化が生まれていることがわかります。

しかし、一方の飼い主さんとしては手術も無事に終え、愛犬の体にこのような変化が起きているとは知らずに、これまでと何ら変わりのない生活を送らせる事となるわけです。見た目にはわかりませんが、愛犬の体の中では、このような変化が起きていると言うことを、まずは理解していきましょう。

ドッグフードの成分をチェック

避妊手術後は、食事の管理も改めて見直す必要もありますし、運動量も見直す必要があります。極端に運動量を増やす必要はありませんが、食事で摂取するカロリーと愛犬の消費カロリーを考慮して、適切な運動量・適切にカロリーを消費できる生活を送らせなければなりません。

そのポイントとなるのが、やはりドッグフードの種類を見直してみたり、給餌量のコントロールを行うことです。ただし、急激な変化は愛犬の健康を損なう可能性もありますので、あくまでも徐々に変えていくようにします。

そして、はじめにチェックしておきたいのが、これまで与えていたドッグフードの成分です。ドッグフードのパッケージには必ずカロリーや原材料が表記されていますので、まずはカロリーをチェックしてみましょう。

安易に給餌量だけを減らさないようにしましょう

今回は例として「ニュートロ 小型犬用 成犬用 チキン&玄米」を与えていたとしましょう。

この場合、100gあたりのカロリーはおおよそ365Kcalとなります。ここで、前述の通り、おおよそ30%の余分なエネルギーを考慮し、30%OFFにしてみると255.5Kcalという計算になりますが、そう簡単な話ではありません。

というのも、単純に食事の量「だけ」で管理するのであれば摂取カロリーを控えればよいだけのことですが、これではカロリーが抑えられるものの、他の栄養素が不足してしまいます。

単純に給餌量だけを減らしてしまっては、本来、犬が1日に摂取するべき栄養を摂取できなくなるため、病気を引き起こしたり、体が弱くなってしまうだけなのです。ダイエットを行うからと言って、このように極端な方法を行うのは避けましょう。

散歩の量を増やしてカロリー消費


避妊手術後の犬はどうしても太りやすい体質になりますので、しっかりと運動を行うことも重要になってきます。性格がおとなしくなったとは言え、運動量を減らすのは間違いです。

しっかりと運動を行い、消費カロリーを増やし、しっかり食事を摂取する。

避妊手術後の犬が理想となるスタイルは、このような方法になります。しっかりと運動を行うのは、健康な体づくりのためにもなりますし、愛犬のストレスの解消にもつながるもの。ただでさえ食欲が増加しているわけですから、しっかりと運動を行って、食欲を抑えてあげる事も大事なケアとなります。

ダイエットとなると、どうしても食事の量だけに気が行きがちですが、避妊手術後の犬は特に太りやすいため、消費カロリーを増やしてあげることがダイエットを成功させる大前提と言えます。

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プロ目線から見た避妊手術後のダイエット

なかなか運動量を増やしてあげられないという飼い主さんもいらっしゃることでしょう。本来であれば、これまで30分の散歩時間だったところを、1日1時間にしてあげてもよいのですが、なかなか時間が取れないと言うケースもあるでしょう。

そんな時には月に1〜2回、ドッグランで思い切り走らせてあげることもおすすめです。避妊手術後は性格も穏やかになりますので、他の犬と上手に付き合えなかったという犬でも、術後は上手に付き合えるようになるでしょう。

いきなりドッグランに行って試すのではなく、散歩中に違いを観察してみましょう。ドッグランで楽しく遊ぶことが出来れば、運動量も増やせますし、ストレスの解消にも繋がります。

術後でもなかなか上手に付き合えない犬は、家庭内でも遊ぶ時間をしっかり作ってあげてください。ざっくりいうと「欲」が一つ無くなってしまっているわけですから、新たに楽しみを作ってあげることが大切です。

ボール遊びや引っ張り合いでも構いませんので、しっかりと毎日、愛犬と向き合う時間を作ってあげるだけでも、カロリーは消費されますので是非取り入れてみてください。

まとめ

避妊手術後はどうしても太りやすい体質になってしまいますので、運動をしっかり取り入れ、徐々にカロリーを落としながらドッグフードを与えていくようにしましょう。

なお、術後はすぐに体調が戻るわけではありません。1週間〜2週間は愛犬の体調や様子をしっかりと確認するようにしましょう。また、愛犬の給餌量をコントロールする際にも、2ヶ月〜3ヶ月の期間を設けて、段階的に行うようにしましょう。

具体的には術後の体調が安定しましたら、運動量を増やしてみて、1週間毎に体重を計りながら徐々に給餌量を減らしていくようにします。ある程度、体重の増減がなくなってきますので、それで適正なカロリーを把握できるようになるでしょう。

いくらダイエットとは言え、体調を崩してしまっては元も子もありません。愛犬の健康維持を第一に考えるようにし、適切な運動量、適切な給餌量で飼育してあげましょう。

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