肥満状態のまま犬を飼育していると、徐々に身体にも悪影響が見られ始め、場合によっては椎間板ヘルニアなどの重篤な症状を引き起こしてしまい、歩くことができなくなってしまう場合もあります。
そこで今回は、ヘルニアにならないためのダイエット方法や、ダイエットで抑えておきたいポイントについて解説していきたいと思います。
ダイエットの重要性
犬も肥満になると様々な悪影響が体に現れてきます。人間でも同じことが言えますが、人間の肥満の方は慢性的な関節痛に悩まされたり、内臓系にも悪影響が見られる場合や、糖尿病等の病気を発症するリスクが高まります。
犬にとっても同じような症状が見られ、なおかつ犬種によっても様々な悪影響が見られます。犬にもミニチュア・ダックスフンドのように胴長・短足の犬もいれば、パグなどの鼻の短い犬種、シェットランド・シープドッグのような多くの運動量を必要とする犬種など様々です。
これらの犬種が肥満になると、犬種特有の様々な悪影響が現れ始めるため、愛犬の犬種の特徴をしっかりと把握しておく必要もあるのです。
中でも胴長・短足のミニチュア・ダックスフンドやコーギーといった犬種は肥満になると、関節にも多くの負担がかかってきたり、重い体重を支えるために背骨にも多くの負荷がかかってきてしまいます。そこで気をつけたいのが「ヘルニア」と呼ばれる症状です。
ヘルニアとは
人間にもヘルニアと呼ばれる症状が存在しますが、犬にもヘルニアと呼ばれる症状は存在します。
一言でヘルニアと言っても「椎間板ヘルニア」や「臍ヘルニア」「鼠径ヘルニア」など、患部によっていくつかの症状・呼称があります。この中でも、肥満によっても引き起こされるリスクが高まるのが「椎間板ヘルニア」です。
そもそもヘルニアとは、元の場所から患部がずれてしまっている状態の症状を指し、椎間板ヘルニアで言うと背骨にある「椎間板(ついかんばん)」と呼ばれる、骨と骨の間にあるクッションの役割を果たしているゼリー状の部位が、変形してしまっている状態です。
この変形してしまった椎間板が、背骨を通る脊椎を圧迫してしまい、強い痛みを生じさせてしまうため、歩くことが困難になってしまったり、起き上がることもできなくなってしまう場合があるのです。
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犬種による体型の違い
上記のように、肥満になると椎間板ヘルニアのような症状を発症してしまうケースもありますので、体重維持には十分に注意しなければなりません。
先程は特にミニチュア・ダックスフンドやコーギーと言った胴長・短足の犬種が注意と触れましたが、こうした犬種に限らずすべての犬種が気をつけなければならないのです。あくまでも胴長・短足の犬種は、より注意が必要であり、先天的にも引き起こす可能性が高いと言われているためです。
椎間板ヘルニアを発症してしまうと、痛みで歩くことが困難になるばかりか、場合によっては一生歩くことができなくなる場合もありますので、重症化すると外科手術が必要になってきます。
こうなってしまっては、ダイエットどころではありません。車椅子を使用しなければならないような事態になりますので、手遅れになる前に真剣に愛犬のダイエットに取り組まなければならないのです。
ダイエットは高齢になる前に
椎間板ヘルニアは高齢犬も気をつけなければなりません。犬も高齢になってくると様々な部位が弱り始め、椎間板も衰え始めてきます。そのため、高齢に加えて肥満体質である場合には、より高い確率で椎間板ヘルニアを発症してしまう可能性があるのです。
特にダイエットも高齢になってくると無理はできませんので、軽めの運動に加えて食事管理をしっかりと行わなくてはなりません。無理な食事の管理は栄養不足を招き、高齢の衰えた身体にも悪影響を与えてしまう場合もありますので、十分に体調管理・栄養管理を行った上でダイエットに望まなくてはならないのです。
ですので、高齢になる前にダイエットを行い、万全の体制で高齢を迎えるのが理想的な姿なのです。
摂取カロリーに注意
先程あげたミニチュア・ダックスフンドやコーギーなどの胴長・短足の犬種は、残念ながら太りやすい体質の犬種とも言えます。また、シェットランド・シープドッグのような運動量の多い犬種も、家庭内では十分な運動を行えていない場合も多いため、運動不足から肥満になりやすい犬種とも言えます。
運動量の多い犬種に関しては摂取カロリーを抑えるようにし、運動量を増やすことで体重のコントロールを行いやすいですが、コーギーなどの犬種は十分な栄養管理・食事の管理を行いつつ、身体に負担のかからないような運動をしっかりと行わなくてはなりません。
小型犬種であれば1度の散歩で30分程度の運動量でも十分ですが、中型犬・大型犬となれば1回に1時間程度の運動が必要になってきます。ダイエットをスムーズに行うにはしっかりと運動をさせる必要がありますが、すでに肥満状態であれば、少し体重を落としてから行う必要があります。
散歩程度の運動から始めましょう
冒頭でも触れたとおり、肥満状態の体では背骨や膝など、あらゆる部位に負荷がかかっている状態です。そのため、重い体で激しい運動を行うと、負担のかかっている部位にダメージが加わってしまい、怪我をしてしまったり椎間板ヘルニアのような症状を引き起こす要因となってしまいます。
体重が重いのに無理な運動は禁物。まずは食事の管理をしっかり行い、運動は散歩だけにしておきましょう。急激に走らせてみたり、無理に散歩時間を増やすのは避けましょう。
まずは愛犬の適正体重を把握し、どれくらい増加してしまっているのか、まずはどの程度ダイエットするのかといった具体的な目標を設定してみましょう。
犬種によっても適正体重はありますが、同じ犬種の中でも個体差はありますので、一概にこの体重がベストというものはありません。とはいえ、犬種図鑑などにもでている参考体重が、本来その犬種の「基本的な体型」である場合の体重となりますので、参考にしてみると良いでしょう。
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ボディコンディションスコア
犬種の平均体重を確認したら、今度は「ボディコンディションスコア」も確認してみましょう。ボディコンディションスコアは肥満度や痩せ具合を確認するための指標となるものですが、肥満状態である「BSC5」の状態は、肋に触れることが困難なほど太ってしまっている状態を指します。
また、上から愛犬を見てみましょう。腰のくびれは確認できるでしょうか。腰のくびれが確認できる程度であれば、しっかりと運動を交えてダイエットしても問題はないでしょう。
ただし、腰のクビレも確認できず、肋に触れることもできない状態であれば、まずは十分な食事の管理、おやつの与えすぎ等にも注意してダイエットを行わなければなりません。
最低限の運動は行う必要がありますが、せめて肋に触れることが出来る、腰のくびれが確認できる程度まで体重を減らし、徐々に運動量を増やしていく事を目指しましょう。
まとめ
椎間板ヘルニアは老化によっても引き起こされる症状ですが、肥満状態を頬って置くことでも発症してしまう可能性がありますので、愛犬が適正体重以上である場合、十分に注意しなければなりません。
ただし、肥満状態のまま運動を交えた過度なダイエットを行うのは危険です。まずはある程度まで体重を落とすことを心がけ、膝や背骨にも負担がかかりすぎない程度まで体重を落とすようにしましょう。
食事の管理だけでもある程度のダイエットは可能です。過度な運動だけに頼らず、日頃の生活習慣を見直してみたり、ヘルシーで健康的な食生活を送らせるように、飼い主さんと二人三脚で取り組んで行くことが大切です。
病気になってからや、高齢になってからでは思うような運動を行うことができません。まずは愛犬の肥満度を把握し、しっかりとダイエットに取り組んでみてください。
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