避妊手術を行うと太りやすくなるとは聞いていたものの、思っていたよりも肥満体質になってしまった。そんなお悩みを抱えている飼い主さんも少なくないのではないでしょうか。

そこで今回は、避妊手術を行ったメス犬に最適なドッグフードやダイエットについて解説していきたいと思います。

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避妊するとなぜ太る?


犬が太りやすくなる要因の一つに、「避妊手術」や「去勢手術」を行うことによるリスクが挙げられます。避妊手術を行う際には獣医師からも太りやすくなるという説明を受けるのが一般的ではありますが、避妊手術によって太りやすくなる原因となるのが「ホルモンバランス」の乱れによるものです。

単に避妊手術を行い、愛犬が太りやすくなったからと言ってダイエットを行っても、飼い主さんが愛犬の状態をしっかりと把握していなければ、思うようにダイエットも行うことが出来ないでしょう。

そのためには、簡単に犬の体や愛犬が置かれている状態について理解することが大切です。まずは犬の体のメカニズムについて少し理解を深め、避妊することで太りやすくなっている原理について理解していきましょう。

ホルモンバランスについて

聞き馴染みがある「ホルモン」とは、犬の体を常に安定した状態に保つために働きかける分泌物のこと。このホルモンを分泌する場所は「甲状腺」や「副腎」「膵臓」「下垂体」などのほか、「卵巣」や「精巣」からも分泌され、ホルモンが分泌される場所は「内分泌器官」と呼ばれています。

それぞれの内分泌器官によってホルモンの働きも変わりますが、体の状態を一定にするためのホルモンですので、それぞれのホルモンの分泌量が変化する(ホルモンバランスが崩れる)と、当然ながら体の状態を一定に保つことができなくなります。

ホルモンバランスが「崩れる」とも「乱れる」とも言われますが、犬の体にとってホルモンは重要なものであり、健康な体を維持するのに欠かせない分泌物なのです。

以前とは異なるエネルギー量

ホルモンバランスと避妊の関係ですが、避妊手術では上記でも触れた「卵巣」の摘出が行われます。卵巣には内分泌器官がありますので、卵巣が摘出されることで内分泌器官から分泌される「エストロゲン」や「プロゲステロン」と呼ばれるホルモンが分泌されなくなります。

これらのホルモンは妊娠をサポートする働き等がありますが、こうした働きを行うためには当然ながら体はエネルギーを消費しながら、働きを維持しています。因みにメス犬の場合、エネルギーの3割がこの生殖器に関わるものに消費されていると言われており、大きな割合を占めているわけです。

避妊手術を行うことでこのエネルギー消費が突如として無くなるわけですが、体は生殖器に使っていたエネルギーを持て余してしまうような状態になります。

また、ホルモンバランスが崩れることで「性欲」が無くなりますが、この欲が今度は「食欲」へと移行していく事で過食気味に。さらに前述の通り、避妊手術後はこれまでと同じエネルギー量ではなくなるため、食事量のコントロールを行わなければ当然ながらカロリーオーバーを招く事となるわけです。

避妊手術後のポイントとは


避妊手術を行う事による、愛犬の体の状態が把握できてきたでしょうか。ポイントとなるのは、

・食欲が旺盛になっている可能性がある
・エネルギー量が以前よりも少なくなっている

という点です。こうしてみてみると、単に避妊手術を行うことで漠然と「太る」というイメージとは異なってくるのではないでしょうか。

すでに肥満体質になってしまっている場合には、まずは愛犬の給餌量を把握しておくことが大事ですね。避妊前と同じ給餌量を与えているのであれば、当然ながら太ってしまうことでしょう。

また、食欲も増加している可能性がありますので、おやつをねだる回数が増えていたり、1度に与えるおやつの量が増えていたりはしていないでしょうか。おやつも当然カロリーがありますので、さらにカロリーオーバーの状態に追い込んでいる可能性があります。

まずは給餌量を再確認すること、おやつの与えすぎに注意することを徹底しましょう。

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ドッグフードの違い

給餌量のコントロールも大事ですが、与えているドッグフードの種類にも注目してみましょう。ドッグフードにも色々な種類が登場していますが、「ダイエット用フード」であったり「肥満犬用」「避妊・去勢犬用」などのフードがあります。

中には「避妊すると太りやすい」というイメージから、「避妊・去勢犬用」のフードもダイエット用フードのひとつと思われている方も少なくないようです。しかし、前述でも説明してきたとおり、避妊手術後の犬の体は以前とは同じではなく、必要エネルギー量も減っているという事から、「肥満」という事ではないと理解できるかと思います。

すでに肥満体質であればダイエットフードを与えることをおすすめしますが、ある程度、体重のコントロールが出来るようになれば「避妊・去勢犬用」のフードが最適であると言えるでしょう。

フードによるカロリーの違い


では具体的に「ニュートロ」のドッグフードを見てみましょう。ニュートロの一般的なラインナップである「小型犬用 成犬用 チキン&玄米」のカロリーは365Kcal/100gとなりますが、「避妊・去勢犬用 超小型犬用〜小型犬用 成犬用 チキン&玄米」のカロリーは350Kcal/100g、「減量用 超小型犬用〜小型犬用 成犬用 チキン&玄米」では295Kcal/100gとなっています。

このように、それぞれフードのカロリーも異なるものとなりますが、避妊・去勢犬用のドッグフードは一般的なラインナップのドッグフードよりもやや低カロリーな設計になっていることがわかります。

一方でダイエット用のドッグフードはグンとカロリーも下がっていることもわかりますね。

プロ目線から見た避妊後のダイエット

肥満になってしまっている場合には、ダイエットをしっかりと行う必要がありますが、ただ肥満になっている犬と、避妊によって肥満になってしまっている場合には少し理由が違っています。

避妊を行っていない犬が肥満になってしまっている場合は、食生活の改善や運動量を増やすことをおすすめしますが、避妊を行った犬がダイエットを行う場合には、改めて適正体重を把握すること、体重から1日に必要な摂取カロリーを改めて把握することも大事になります。

カロリーの計算方法については別記事でも紹介していますが、避妊手術を行うことで全く別の体質になっているという事を、飼い主さんも認識しておくことが大事かと思います。

食事の管理や運動量を増やすダイエットは基本となりますが、これまでと同じ感覚でいては、愛犬の体重だけでなく、栄養バランスも崩れることに繋がります。また、栄養バランスの崩れは健康維持にも悪影響を与えてしまいますので、食生活の管理は非常に大切なポイントとなってくるでしょう。

まとめ

避妊手術を行う前と、行った後では愛犬の体の状態も全く変わるということが理解いただけたでしょうか。

単にホルモンバランスの崩れで太っているという考えも、しっかりと意味を理解していなければ、より安全にダイエットを行うことも出来ません。避妊手術によって失われるもの、逆に増えてしまうものを理解し、愛犬のダイエットも安全に行う必要があります。

そのための準備が改めて必要カロリーを把握することであり、ドッグフードや給餌量の見直しとなります。また、最も大切なのが飼い主さんがどれだけ理解できているかという点です。

なぜ太るのか、なぜ食欲があるのか、もしくはなぜ運動量が増えたり減ったりしてしまったのかを把握することで、より愛犬の状態にあったダイエットを行えるようになるでしょう。

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