犬の抜け毛がひどくて、脱毛症状が見られるといった場合、もしかすると「脱毛症」が疑われるかもしれません。犬の脱毛症には、様々な原因が関係していますが、まずは原因を突き止める所からはじめてみましょう。今回は脱毛症とその原因について解説します。
「脱毛症」とは?
「脱毛症」とは症状の名称ですが、様々な病気の症状として脱毛症を発症する場合があり、前述のとおり、外的な要因である場合や、内的要因である場合があるため、その原因の究明が必要となります。
脱毛症を発症すると、発疹や痒みを伴う場合が多く、患部をかきむしってしまうことで皮膚が傷つき、フケが多く出てしまいます。また、脱毛の症状も進み、その範囲は広がっていくばかりです。この状態が進んでいくと、患部は傷つき、やがて化膿したり、カサブタができたりしてしまい、皮膚がブヨブヨになったりしてしまい、皮膚炎を起こしてしまうのです。
一概に、どれが原因かというのがわかりにくい症状ですが、現在抱えている病気や、免疫力の低下によって引き起こされる場合が多いので、日頃からの犬の体調管理が必要になってきます。
また、単に「換毛期」と呼ばれる毛の生え変わりの時期という場合もあります。換毛期である場合には、全体的に毛が抜けて、抜け毛の量も多くなりますが、病気が原因である場合には、局所的なものも多いので、見分けは付けやすいでしょう。では、実際に脱毛症を発症する原因には、どのようなものがあるのか見てみましょう。
ダニやカビが原因となる場合
犬が外遊びをしてきたり、散歩の最中に草むらへ入っていったり、他の犬とじゃれてきたりと、日常の生活を送っていても、脱毛の原因が潜んでいます。こうした行動で脱毛が見られる場合には、「ダニ」が原因となる場合が多いでしょう。
「疥癬」や「耳ダニ」「ツメダニ」といったように、ダニやカビが原因となる病気を発症している他の犬と触れ合うことでも、脱毛症を発症してしまいます。ダニは宿主から移動し、簡単に寄生することができますし、カビは目に見えていないだけで、空気中を含め、至る所に存在しています。
しかし、ダニやカビが原因となっていても、犬の抵抗力・免疫力が高ければ、無症状である場合も多いのです。子犬や老犬が脱毛症を発症することが多いのですが、こうしたものも免疫力の低下によるものなのです。
日頃から、犬の体調管理に気を使うようにし、免疫力を下げないようにすることが大事なのです。また、外へ遊びに出かけた後には、シャンプーなどのお手入れをすることも大事です。クッションやじゅうたんなどにも住み着いてしまいますので、外から遊んで帰った際には、すぐに綺麗にしてあげることが望ましいでしょう。
ホルモンの病気による原因
病気が原因となって脱毛症を発症する場合には、「ホルモン」の病気による場合も考えられます。ホルモンバランスが崩れてしまうと、体の様々な部分のバランスも崩れていき、その症状の一つとして脱毛症を発症する場合があるのです。
脱毛症を伴うホルモンの病気には、「甲状腺機能低下症」や「クッシング症候群」「糖尿病」といった病気が挙げられますが、いずれの病気もホルモン過剰分泌によるもの・低下によるものと、ホルモンバランスの乱れが原因となって、脱毛症を発症するものです。
ホルモンの病気が原因となる場合には、犬の食生活を見直す必要もあり、また、環境の整備も整える必要があります。長期的な治療が必要になる場合が多いので、まずはホルモンバランスを整える事で、脱毛症を抑えられる場合もあるでしょう。
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アトピーが原因となる場合
犬にも「アトピー」と呼ばれる皮膚炎の病気は存在します。症状は人間と同じ感じですが、脱毛症も引き起こしてしまいます。アトピーの原因には、環境によるものや、食物アレルギーによるものなど、様々な原因が関係しているのです。
食物アレルギーの場合には、病院でパッチテストを受け、どの成分・食べ物がアレルギーを引き起こすのかを確認することが出来ます。これが原因とわかれば、その食べ物を摂取しないことで、脱毛症を防げる場合もあるでしょう。
また、環境が要因となる場合には、環境整備が重要になります。大変ではありますが、愛する愛犬のため、アレルゲンを無くした環境を作るようにし、治療を行う必要があるでしょう。その原因がカビ等の場合には、常に清潔な状態で飼育する必要があります。脱毛症のみならず、他の病気も引き起こしかねませんので、飼育環境は常に綺麗にするようにしましょう。
心因性が原因となる場合
心因性とは、ストレス等が原因となる場合をさし、病気で脱毛が起こる場合とはまた別の要因となります。人間で言えば、円形脱毛症のようなイメージとなりますが、犬の体や心に過度のストレスがかかることで、脱毛の症状が現れる場合もあるのです。
体に特に異常がない場合には、心因性も疑われます。最近、全然かまっていなかったり、これまで習慣的に行ってきた「何か」をしていないなど、心当たりは無いでしょうか。犬は、人と過ごすことで幸せを感じる動物です。また、人と何かをすることで、より満足感を得られる犬も多いです。
病院に行っても病気が見つからない場合、今一度、犬との生活を振り返ってみると原因がわかるかもしれませんよ。
脱毛症の治療法について
脱毛症を発症した際には、まず第一に原因の究明をしてみましょう。原因がわからなければ、脱毛症も抑えることは難しいでしょう。そのため、まずは原因となる病気や要因を片付けるようにしましょう。
直接的な治療では、痒みを抑える薬や、カビやダニなどの駆除剤も使用されるでしょう。病院で診察してみれば、原因は突き止めることができるので、自分で対処しようとせず、すぐに病院に行くことをおすすめします。
その原因がダニ等によるものの場合、家の家具などにも住み着き、ズーノーシス(人畜共通感染症)の病気だった場合には、飼い主自身も皮膚病を発症する事も考えられるのです。こうした場合を回避するためにも、自然治癒に頼らず、病院にすぐに行くようにしましょう。
脱毛症にならないために
病気が原因である場合にも、ダニやカビが原因である場合にも、やはり犬自体の抵抗力・免疫力が低下してしまっている場合には、脱毛症や他の病気にもかかりやすいです。
常に飼育環境を清潔にしていることは、当たり前の事ではあります。こうした当たり前の事に加えて、犬の健康管理もしっかりと行っていきましょう。
脱毛症に限らず、犬も偏った食生活や環境に置かれていれば、病気になってしまいます。その結果が脱毛症なのであって、まずはこうした病気にならないような生活を心がけることが必要となるのです。
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