犬の皮膚病のひとつの「アカラス症」。主な症状は脱毛してしまうことですが、悪化してしまうと、その範囲は数箇所から全身へと広がっていきます。アカラス予防のポイントは「免疫力」にありました。今回はこのアカラス症について解説していきたいと思います。

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「アカラス」とは?

犬の皮膚病のひとつで、「アカラス症」という病気があります。皮膚病には、痒みを伴うものもあれば、痛みも伴うもの等さまざまな症状がありますが、外的要因である場合には「ダニ」や「ノミ」といった寄生虫によるものが目立ちます。
内的要因には、食物アレルギーや環境アレルギー等が挙げられ、アレルギーが原因でかゆみを伴った症状や脱毛を伴うような皮膚病を発症したりする場合もあります。
このアカラス症に関しては、「アカラス」と呼ばれる寄生虫が原因となる病気で、脱毛が主な症状となり、痒みを伴う皮膚の病気を発症させます。また、アカラスの根本となる原因には、「イヌニキビダニ」が犬に寄生することで起きてしまいます。
犬の免疫力が十分である場合には無症状ですが、体の免疫力が下がっている時にイヌニキビダニが悪さをし、アカラスなどの皮膚にトラブルを起こす病気を引き起こすという事がわかっています。

アカラス症の症状について


アカラスによる脱毛の症状は、局所的に起きるものもあれば、全身にその症状が現れる場合もあり、症状が悪化することで、皮膚が化膿したり出血を伴ったりもしてしまいます。
アカラス症の病状が進行していくと、脱毛やかゆみ、化膿といった症状の他にもフケを伴うようになり、肌はカサカサになっていきます。やがて、症状は全身へと広がっていき、ひどい状態になると目の周りなども含めた全身が、アカラス症となっていきます。
命に関わる病気ではありませんが、アカラス症は非常にしつこい病気でもあります。場合によっては一生涯にわたって治療が必要になる場合もあり、油断はできない病気でもあります。では、具体的な対処法について見てみましょう。

かゆみを伴うアカラス症の症状

前述のとおり、アカラス症を発症すると、脱毛の症状が現れ、脱毛のほかにも、体を痒がったり、患部が荒れてきたりといった症状も見られます。
症状は「全身性」「局所性」「四端性」の3つのタイプに分けられ、それぞれに発症する箇所が変わっています。しかし、前述の通り病状が進行していくと、はじめは局所性でも、全身に症状が広がる恐れもあります。
これは、身体中に痒みがあるために体を掻きむしってしまい、その行為がアカラス症の範囲を広げてしまっていることに関係します。掻いてしまうことで感染を広げ、肌はかきむしるためにボロボロになっていくのです。
犬に「かくな」と指示しても、それはなかなか難しいことです。かゆみがあれば、本能的に掻きむしってしまうために、感染は拡がり、治療も完治も難しくなるのです。

寄生虫「イヌニキビダニ」とは?

アカラス症の原因となるイヌニキビダニ。感染経路の多くは、母犬からの感染が挙げられます。
イヌニキビダニは犬の毛穴に寄生するダニで、実際のところ特段珍しいものではありません。ほとんどの犬の毛穴にはイヌニキビダニが寄生しており、これは犬にかかわらず人間の皮膚にも寄生しているダニなのです。
免疫力が安定していれば、犬の毛穴に寄生しているイヌニキビダニも少数であるため、特別な動きは見せませんが、これが免疫力が下がることでイヌニキビダニが異常繁殖しはじめ、やがて目に見える症状を引き起こし始めるのです。
イヌニキビダニはわずか体長0.2ミリ〜0.3ミリほどの寄生虫ですが、こうして異常繁殖をしてしまうことで、治療が大変なアカラス症を発症することとなるのです。

アカラス症の原因について

アカラス症は子犬〜若年の犬や老犬が発症しているケースが多く見られる病気です。これは、犬の免疫力が下がっている時に、アカラス症を発症するためで、子犬や若年の犬が免疫力が低い為に、発症するという理由が挙げられます。
しかし、若年で発症する場合には、徐々に回復する場合も多く、また、免疫力の低くない犬は発症しない・無症状である場合が多いのも特徴的です。あくまでも、犬の免疫力が下がってしまったために、アカラス症を発症してしまうのです。
ただし、成犬でも発症する場合はあります。この場合も、免疫力が下がっている場合になりますが、病気による免疫力の低下、主に「糖尿病」や「甲状腺機能低下症」「アトピー性皮膚炎」といった、体の免疫力が下がる病気を引き起こしている場合に、合併症としてアカラス症を発症する場合があるのです。

アカラスの治療法について


子犬・若年の犬が発症しても、自然治癒で収まる場合もあるアカラス症。しかし、アカラス事態を死滅させることはできません。そのため、症状を抑える治療となります。免疫力が上がったため、繁殖ができなくなった為に、自然治癒される場合もありますが、これもまた、全滅しているわけではないのです。
アカラス症の基本的な治療は、駆虫薬を使用してのアカラス駆除が基本となります。しかし、犬の免疫力の状態や体調によって、アカラス症を再発する場合もあります。完全な死滅ができないために、免疫力が下がる度に症状が現れる場合もあるので、継続的に治療を行う必要があります。
また、原因が病気等でわかっている場合には、免疫力を下げる根本となるものを完治させることで、アカラス症も発症しないで済みますので、原因を突き止め、その原因を治療することも大事になります。

アカラス症の治療には「薬浴」も

アカラス症の治療効果としては高くはないですが、「薬浴」も効果のある治療方法として挙げられます。
効果としては駆虫薬には及ばないものの、かゆみを伴った体や、「膿皮症」を併発してしまっている体にも良い効果を与える薬浴。アカラス症の治療には、薬による治療も大事ですが、体を常にきれいな状態に整えてあげることも大事な治療となります。
しっかりと体を洗浄し、きれいな体の状態で治療を行い続けたほうが、より高い治療の効果をえることが出来るでしょう。ただし、薬浴に使用される薬剤「アミトラズ」は副作用のあるものです。万全を期すためにも、動物病院で薬浴をした方が良いでしょう。
自宅内でケアを行いたいのであれば、「サリチル酸」や「イオウ」の成分を配合したシャンプーを使うのがおすすめです。

シャンプーは「サリチル酸」のものを選びましょう

自宅内での薬浴は難しいですが、自宅内でシャンプーなどのケアを行う際にはサリチル酸を配合したシャンプーを利用するようにしましょう。サリチル酸のシャンプーは、皮膚の雑菌の繁殖を防ぐことにも効果があり、殺菌作用もあります。
アカラス症を患っている際には、通常のシャンプーを行うようにはせず、あくまでも「皮膚」をしっかりといたわるように行います。患部や身体全体をぬるま湯で湿らせるようにし、サリチル酸のシャンプーをすり込むように浸透させましょう。
急激な熱さや冷たさは、荒れた皮膚の刺激になってしまいますので、常にぬるま湯で洗浄するようにしましょう。シャンプーを浸した後は、20分程度は浸したままにします。その後、洗い残しがないようにしっかりとシャンプーを洗い流してあげましょう。

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アカラス症は根本となる食事から

アカラス症を発症してしまうと、かゆみや脱毛を治療するために、上記でも挙げてきたような対症療法が行われますが、前述の通り、アカラス症自体は免疫力を向上させなければ、根本的な解決には至りません。
そのため、日頃の食事の管理をしっかりと行い、免疫力を付けることがアカラス症を完治させるために必要なのです。食事療法は体内の循環を行う治療法となるため、早急な効果は得られませんが、長期的に治療することを考えれば、しっかりとした栄養管理、足りていない栄養を補うような食事の管理を心がけるのが良いでしょう。
食事の管理をいつまでもおろそかにしていると、ただでさえ完治させにくいアカラス症も、いつまでも表面上の治療を施しているだけになってしまうのです。

アカラス症にならないために


一度発症してしまうと、長い期間悩まされてしまう可能性もあるアカラス症。抗生剤の投与などによる治療が行われますが、根本となるものがわかれば、アカラス症を発症しないでも済みます。
また、早期発見・早期治療することでも、脱毛症状も最低限に抑えられますので、ちょっとおかしいなと思った場合には、すぐに動物病院に診てもらうようにしましょう。
母犬からもらう形で発症するアカラス症ですが、そのほとんどは発症せずに一生を過ごす場合が多いです。免疫力はストレスといった要因でも低下する恐れがありますので、出来る限り犬にストレスのかからないような生活を送らせることや、食事の管理も気をつけたい所です。
まずは、アカラス症というよりも、病気にならないような健康つくりをすることが、アカラス症を予防することにもつながります。常に元気に過ごせるような環境作りができるように、今一度考えてみましょう。

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