キャットフードに「クランベリー」が配合されているものがありますが、実はクランベリーは下部尿路疾患に効果を発揮するものとして、猫用に限らず、人間用としても活用されている食材です。今回はこのクランベリーについて解説していきたいと思います。

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クランベリーは下部尿路疾患に有効?


最近のキャットフードには「クランベリー」が原材料に含まれている商品が少しずつ増えて来ているようです。このクランベリー、実は猫に多く見られる病気のひとつ「下部尿路疾患」に対して有効的な原材料としても注目をあつめるものなんです。

クランベリーには尿のph値を酸性に向かわせる効果があり、猫に多く見られるストルバイト結石を予防するのにも適した食材なのです。そのため、おやつなどでもクランベリー配合のものが多くなってきています。

といっても、ただやみくもにクランベリーを与えていたのでは意味がありません。そこでまずは、猫の結石はどうして作られるのかを理解していきたいと思います。

猫の下部尿路疾患について

「尿路結石」や「尿毒症」などを始めとした下部尿路疾患の原因となるのが、尿のph値の偏り。

猫の体内ではたえず尿のph値は動き続けており、食べるものによっても尿のph値がアルカリに傾いたり、酸性に傾いたりしています。ph値は酸性を表すph0から、アルカリ性を表すph14までの数値で表されますが、猫の健康的なph値は6.5前後と言われています。

主に食後は尿のph値がアルカリ性に傾き、運動している時や寝ている時には酸性へと傾いていきますが、問題はph値がどちらか一方に傾き続けてしまうことです。

その要因には様々なものがありますが、飼い主さんが猫の栄養管理をある程度は管理していなければ、猫が下部尿路疾患を引き起こしやすくなると言っても良いでしょう。

ストルバイト結石はアルカリ尿で引き起こされる

尿のph値は前述の通り、一日の中でもアルカリ性と酸性とを行き来しているものですが、食事で塩分量が多かったり、ほとんど水分を取らない等の生活をしていると、徐々にアルカリ性に傾き始めてしまいます。

尿のph値がアルカリ性に傾き続けてしまう事で、「尿道炎」や「膀胱炎」「ストルバイト結石」などの下部尿路疾患を引き起こしやすくなります。
ph値がアルカリのままでいると、雑菌が繁殖しやすい環境が整ってしまうために尿道炎などを引き起こしてしまう結果となるのです。

本来であればph値は前後しているものなので、尿中の環境も適度に変わるため、こうした雑菌が繁殖する環境にはなりにくいのですが、一定の状態にあることで様々な悪影響が生じ始めてしまうのです。

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酸性に偏ることで発症するシュウ酸カルシウム結石

一方、猫の尿のph値が酸性に傾き続けてしまうと「シュウ酸カルシウム結石」を引き起こしてしまいます。ただし、猫の結石で多く見られるのは、アルカリ性に偏ることで発症する「ストルバイト結石」が占めており、2番めに多いと言われるのがシュウ酸カルシウム結石です。

ストルバイト結石の場合は食事療法で結石を溶かす事が出来ますが、シュウ酸カルシウム結石に関しては食事療法で結石を溶かすことができないとされています。

また、シュウ酸カルシウム結石は7歳以降の高齢猫に多く見られる結石としても知られ、予防策としてはアルカリ性にph値を傾かせる、通常のph値にさせることが重要となります。

同じ結石でも、アルカリ性のものと酸性のものがありますので、最善策としてはph値を安定させることが大事となります。

クランベリーの効果とは?


キャットフードにクランベリーが配合される理由には、クランベリーが尿のph値を酸性に保つ作用があるためです。

クランベリーに含まれる「キナ酸」と呼ばれる成分は、肝臓へと取り込まれることでキナ酸から「馬尿酸」と呼ばれる成分に変化します。この馬尿酸は、尿のph値を酸性へと保つ効果を持ち、酸性に弱い菌などは馬尿酸によって殺菌されていきます。

このように、尿が酸性に保たれる事で、ストルバイト結石の成分となる結晶が作られにくくなるだけでなく、ストルバイト結石の原因のひとつでもある「細菌感染」を予防する効果もあるのです。

実際、ペット用だけでなく、人間用にもクランベリーは注目されており、膀胱炎の予防にクランベリーのサプリメントやクランベリージュースが利用されているのです。

ナチュラルバランス「キャット・リデュースカロリーフォーミュラ」

ナチュラルバランスはアメリカのペットフードメーカーで、全米でも一番大きな動物園で知られるサンディエゴ動物園にいるネコ科の動物へのフードに採用されるなど、その実績もお墨付きと言ったフードメーカーで知られます。

原材料に関しても、米国肉類検査サービス(FSIS)で管理されている食肉の使用や、オーガニック原料の認定機関で知られるUSDA認定の原材料を使用しているなど、食の安全にも定評のあるフードメーカーです。

ナチュラルバランスの「キャット・リデュースカロリーフォーミュラ」にもクランベリーが配合されています。リデュースカロリーフォーミュラは、カロリーを抑えめにした減量に向けたキャットフードで、子猫を除く全年齢の猫に対応しています。

品質も安心できるもので、クランベリーを配合するキャットフードなので、下部尿路疾患の予防としてもオススメのキャットフードです。

【ナチュラルバランス リデュースカロリーフォーミュラ 原材料】
チキンミール、新鮮な鶏肉、玄米、ポテト、ニンジン、ダックミール、ラムミール、オートミール、鶏脂肪(トコフェロール・ビタミンEで酸化防止)、自然鶏肉風味、フィッシュミール、ドライエッグ、ビールイースト、亜麻仁、レシチン、塩化カリウム、塩化コリン、イヌリン、タウリン、ほうれん草、パセリフレーク、クランベリー、リジン、L-カルニチン、ユッカ、ケルプ、亜鉛蛋白、ビタミンE、ナイアシン、マンガン蛋白、銅蛋白、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸銅、一硝酸チアミン(ビタミンB1)、ビタミンA、ビオチン、ヨウ化カリウム、D-カルシュウムパントテン酸塩、リボフラビン(ビタミンB2)、ピリドキシン塩酸塩(ビタミンB6)、ビタミンB12、硫酸マンガン、ビタミンD、葉酸(ビタミンB)

オリジン「6フィッシュキャット」

プレミアムフードの中でも最高ランクを争う品質の良さで知られる「オリジン」。オリジンのキャットフード「6フィッシュキャット」にもクランベリーが配合されています。

オリジンのフードの原材料を見ていただければわかりますが、「肉類」や「ミール」といった記載ではなく、素材の名称がそのまま原材料に表記されており、完全天然素材にこだわり抜いたペットフードメーカーです。

それゆえに、ネックとなるのは価格ではありますが、安心料には代えがたいものがありますので、気になる方はぜひお試しいただきたいフードです。尿路結石などの問題も、フードやおやつの栄養バランスも問題になっているので、より自然の食事に近いオリジンのフードは、根本的なフードの問題から解決してくれる可能性も高いです。

【オリジン 6フィッシュキャット 原材料】
新鮮丸ごとサーモン(14%)、新鮮丸ごとニシン(12%)、乾燥サーモン(12%)、乾燥ニシン(12%)、乾燥タラ(12%)、新鮮丸ごとカレイ(3%)、新鮮骨なしウォールアイ(3%)、新鮮骨なしノーザンパイク(3%)、新鮮骨なしレイク・ホワイトフィッシュ(3%)、サーモン油(3%)、ニシン油(3%)、ヒヨコ豆、赤レンズ豆、緑レンズ豆、グリンピース、えんどう豆繊維、キャノーラ油、日干しアルファルファ、アルファルファ、乾燥昆布、カボチャ、バターナッツスクワッシュ、ホウレン草、ニンジン、リンゴ、梨、クランベリー、チコリー根、タンポポ根、カモミール、ペパーミントリーフ、ジンジャールート、キャラウェイシード、ターメリック、ローズヒップ、フリーズドライニシン、フリーズドライメルルーサ、フリーズドライカレイ

サプリメントでもクランベリーを摂取

クランベリーを配合したキャットフード以外にも、クランベリーはサプリメントでも摂取することが可能です。

クランベリーを配合しているサプリメントにもいくつかの種類がありますが、クランベリー単体というサプリメントはなく、ほかのハーブなどと一緒になったものがほとんどです。また、クランベリーという名称よりも、尿路結石を予防するといったような商品名になっている物が多いようです。

例えば、クランベリー同様に泌尿器系のトラブルに効果があるとされるハーブ「エキナセア」も、クランベリーを配合するサプリメントに入っているケースが多いです。

これは、クランベリーとエキナセアの相性が良いためで、クランベリーの効果をより良いものにし、一緒に摂取することでより高い効果が期待できるためです。

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効果は期待しても、適量が大事


どの栄養素にも言えますが、その成分ばかりを摂取していても過剰摂取となり、かえって体調を崩してしまう要因になりますので、しっかりと適量を見極めて与えることが大事になります。

前述の通り、クランベリーは尿のph値を酸性に傾けてくれる効果のあるものですが、クランベリーばかりを摂取していると酸性に傾きすぎてシュウ酸カルシウム結石を引き起こす要因にもなるのです。

サプリメントやキャットフードは用量を守っていれば過剰摂取になる事はありませんが、これらを同時に与え続けるのはあまり得策とは言えません。

キャットフードにもクランベリーが配合されてて、さらにサプリメントを与える前に、まずは尿のph値を確認するなどして、しっかりと栄養管理をしてから与えるようにしましょう。なんとなくで与えていては、逆効果になる恐れがあります。

さいごに

下部尿路疾患にクランベリーが有効だとは驚きですね。もちろん、下部尿路疾患を発症してしまってからでは遅いですが、こうしたキャットフードを選ぶことで、下部尿路疾患を予防することはできますので、ちょっと心配・・という飼い主さんはぜひ試してみてはいかがでしょうか。

キャットフードとしては比較的高額なラインナップを紹介しましたが・・病気になってからの事を考えると、まずは予防線を張るという意味でも、主食を変更していく価値は有ると思いますよ!

※内容は2017年2月時点での情報になります。原材料、商品名等の内容は変更している場合があります。

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