「チベタン・スパニエル」という犬は、見た目も性格も愛くるしい犬のようです。そんな「チベタン・スパニエル」ですが、どのような特徴や性質、飼育上気をつけなければいけない事などがあるのでしょうか?犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「チベタン・スパニエル」についてチェックしてみましょう。

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チベタン・スパニエルとは

「チベタン・スパニエル」ってご存じですか?

鼻ペチャで下顎が出ていて、とっても愛嬌のある顔をしてますよね。同じ鼻ペチャのペキニーズや狆、パグとも血縁関係があると考えられています。

また、犬種名に猟犬という意味の「スパニエル」が入っていますが、猟犬として使用されたことはなく、愛玩犬として知られています。

チベタン・スパニエルのルーツ


チベット原産であるチベタン・スパニエルのルーツは定かではありませんが、紀元前1100年頃に作られた中国の彫像にチベタン・スパニエルが描かれていると言われていることから、古くから存在していたと考えられています。

チベタン・スパニエルは、チベット仏教と深い関わりを持ちますが、チベット仏教では獅子は仏陀の化身として尊ばれており、その容姿に似たチベタン・スパニエルも、福をもたらし、魔除けになる小さな獅子として僧院で大切に扱われていました。山岳部の集落が見渡せるように建てられた僧院の、最も高い塀に座って見張り番をしていたチベタン・スパニエルは、オオカミや侵入者が来た時は吠えて知らせていたようです。

1898年にイギリスに持ち込まれたチベタン・スパニエルですが、発情期が少ないという特徴を持つため、この犬種の繁殖はとても難しく、世界的にも稀少犬として知られていました。その後、1920年代になってグリーク夫妻により本格的に繁殖が行われましたが、第二次世界大戦の戦禍の中、たった1頭の「キー(Skyid)」という名前のチベタン・スパニエルが生き残り、この血統が現代の子孫に引き継がれています。

チベタン・スパニエルと狆は血縁関係?

冒頭でも触れましたが、チベタン・スパニエルと原産国が日本で知られる犬の「狆」は血縁関係にあるのでしょうか。

狆は原産国が日本であるものの、祖先犬を辿るとチベットの犬にたどり着くようです。正確な記録は残されていないものの、狆の祖先となるチベット犬が新羅(中国:現在の韓国〜北朝鮮のあたり)から日本へと渡ってきたのが西暦732年(奈良時代)のこと。これが狆に関係する最古の記録となるのです。

このチベット犬がチベタン・スパニエルであったかどうかはわかりませんが、紀元前1000年もの歴史を持つチベタン・スパニエルなので、その可能性は非常に高いといえるでしょう。

容姿に関してもどこかしら似ているので、狆にはチベタン・スパニエルの血が流れていると言われるのもうなずけます。

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チベタン・スパニエルの性格

チベタン・スパニエルは、穏やかで落ち着きがあり、とてもマイペースな性格なので、愛犬とののんびりとした暮らしを望むのなら、最高のパートナーとなるでしょう。

また、一度信用した家族には深い忠誠心を持ち、愛情を持って接しますが、見知らぬ人や犬には、強い警戒心を持ち、吠えることがありますので、家族以外の人や犬に会わせるなど、様々な環境に慣らせておくと良いでしょう。

多くの運動量を取るよりも、少しの時間、外へ散歩したり、家族みんなでゲームをしたり、飼い主さんと家でまったりすることを好むチベタン・スパニエル。気分屋さんなところもあり、まるで猫のようだとも言われています。古い歴史を持ちながら、未だ稀少犬として知られていますが、もし、出会えたとしたら、一緒にのんびり、ゴロゴロしてみたいものですね。

チベタン・スパニエルのしつけについて

実は、独立心があり、頑固な性格も持ち合わせているチベタン・スパニエル。だからと言って、過度に厳しくしつける必要はありませんが、甘やかして育ててしまうと、我が強く、ワガママになってしまうことがありますので、幼少期から主従関係をはっきりさせるようにしましょう。

幼少期から主従関係や、良いことと悪いことを教えていく必要がありますが、何度怒られてもへこたれないところもあるチベタン・スパニエル。そんな頑固な一面も覗かせる犬種ですが、根気良く教えていきましょうね。

しつけに関してはやや苦戦する場合もありますので、ドッグトレーニングなどに参加してみるのもひとつ。チベタン・スパニエルは家族には従順なところがありますが、警戒心も強いため、他所の犬に対して感情的になる場合も。幼少期から色々な経験をさせておきましょう。

チベタン・スパニエルの被毛

チベタン・スパニエルは、真っ直ぐで長く、絹のような手触りの「オーバーコート(上毛)」と、柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の21種類からなる、「ダブルコート」の被毛を持った犬種で、尻尾や4本の足に飾り毛があるのが特徴です。

チベタン・スパニエルの被毛のお手入れに関してはそんなに難しくはなく、週に2回ほどのブラッシングで十分と言えるでしょう。ただし、それは室内で飼育している場合に限られます。チベタン・スパニエルは室外飼育向きの犬種ではありませんので、そうそう室外飼いというのも少ないでしょうが、室外ですと被毛も汚れたりしがちです。

室内で飼育する分にはお手入れも容易で、抜け毛もさほど多いわけではありませんので、掃除も大変ではないでしょう。

チベタン・スパニエルの毛色


チベタン・スパニエルの被毛のカラーは、「フォーン」「レッド」「セーブル」「ゴールド」「ホワイト」「ブラック」「ブラック&タン」「トライカラー」など、単色から混合色まで、あらゆる毛色が認められています。

一方、親戚となるペキニーズの毛色は「レッド」「ホワイト」「ブラック」「シルバー」等の毛色で、狆に関しては白地の家に黒もしくは茶色のブチが入ります。

それぞれ進化の過程で様々な毛色を手に入れていますが、ベースとなっているチベタン・スパニエルの毛色は非常に豊富で、あらゆるカラーが認められているのです。

多様なカラーが存在しますので、気に入った毛色を探すのも大変ですが、それもまたチベタン・スパニエルの良さと言えるでしょう。

チベタン・スパニエルがかかりやすい病気

【膝蓋骨脱臼】
膝蓋骨脱臼とは、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。

膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。特に、チベタン・スパニエルは、他の犬種よりも前脚が弓のように湾曲しているため、ソファやベッドから飛び降りる際に、体重が強くかかってしまい、骨折することもありますので注意が必要です。

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抜け毛の少ないチベタン・スパニエル

チベタン・スパニエルは前項の通り、関節や膝にダメージを受けやすい犬種ですので、飼育する際には飼育環境の整備も大事になってくるでしょう。

床は滑りやすいフローリングよりもカーペットやラグマットを敷くのが理想的といえます。また、ソファなどの段差を出来るだけ減らすようにすることも大事です。ソファにはどうしても登ってしまうと思いますが、降りる箇所にクッションとなる物を置いたりと、できるだけダメージを減らせるようにしましょう。

比較的抜け毛の少ないチベタン・スパニエルですので、掃除に関しては心配はありませんが、こうした部分には配慮する必要があります。カーペット等は掃除の心配もあると思いますが、膝へのダメージを減らすことを最優先にしてあげましょう。

チベタン・スパニエルのブリーダーや価格

チベタン・スパニエルはやや珍しめの犬種となりますので、ペットショップなどで見かける機会も少ないでしょう。チベタン・スパニエルを迎え入れる際には、ブリーダーからの直販が手っ取り早いと言えそうです。

チベタン・スパニエルの価格に関しては、おおよそ15万円〜25万円ほど。高くとも30万円を越えることは稀でしょう。

チベタン・スパニエルのブリーダーに関しては比較的少ないものの、全く存在しないわけではありません。インターネット等で調べると発見出来ますので、確認してみましょう。

ブリーダーから迎え入れるメリットは、より詳しい情報を得られるという点です。親の情報や性格、また珍しい犬種であるチベタン・スパニエルの相談にも乗ってくれるでしょう。

チベタン・スパニエルと暮らすために


チベタン・スパニエルを飼う上で気を付けなければならないのが、チベタン・スパニエルの特徴でもある「短吻種(目の前から口までの長さが短い犬のこと)」だと言うことです。短吻種の犬種は、体の構造的に呼吸器の機能が弱く、麻酔を行う場合は若干リスクが高くなるので配慮が必要です。

また、短吻種の犬種は「体温調整が苦手」な犬種でもありますので、熱中症には十分気を付けましょう。そして、熱や気圧の変化にも弱いことから、飛行機での輸送を断られる場合があるので、飛行機を利用して旅行に行く際は、予め航空会社で確認するようにしましょう。

チベタン・スパニエルのメスは、発情が不定期な子が多く、発情が年に1度だったり、発情がない年があったかと思えば、きちんと年に2回の発情がある場合もあるようです。このような不定期な発情が原因で、チベタン・スパニエルを繁殖している人が少なく、未だ登録頭数が少ないのかもしれませんね。

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