犬の目が外に飛び出してしまう病気で知られる「チェリーアイ」。正確には目ではなく、目の第三のまぶたとも呼ばれる部分が炎症する事で発症する病気です。遺伝によるものなど、チェリーアイの様々な原因と症状について解説していきたいと思います。

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「第三眼瞼腺逸脱(チェリーアイ)」について

「チェリーアイ」という病気をご存知でしょうか。「第三眼瞼腺逸脱」とも呼ばれるチェリーアイは、瞬膜と呼ばれる目の裏側の幕が炎症を起こしてしまい、腫れ上がってしまう病気で、目が大きく腫れ上がったようにも見えるその特徴的である症状が、さくらんぼのようにも見えることから、チェリーアイと呼ばれています。

「瞬膜(第三眼瞼)」とは


普段、何気なく見ている犬の目ですが、目を守るのは上まぶた(上眼瞼)、下まぶた(下眼瞼)だけではありません。前述でも触れた瞬膜は「第三眼瞼」ともよばれ、目の内側の赤い膜の部分(ちょうど鼻側の付け根部分ですね)をさします。
上まぶた、下まぶた、そして3つ目のまぶたでもある瞬膜も、犬の大事な目を守っているのです。この瞬膜の役割は、主に犬の「角膜」を保護するために必要なまぶたでもあり、また、目が必要以上に乾燥しないように、眼球へと水分(涙)をいきわたらせているのです。
通常、犬が目を開けている時には、瞬膜は内側に閉じられていますが、たまに犬が居眠りをしているときなどに、目の内側から赤い膜が出てきているのを見たことがないでしょうか。これが瞬膜なのですが、普段はあまり目立たない程度にしか見えていない膜でもあります。

チェリーアイの症状

チェリーアイは、この瞬膜(第三眼瞼)の裏側にある、「第三眼瞼腺」と呼ばれる腺組織が、瞬膜の外へと飛び出してしまっている病気です。通常であれば内側にある第三眼瞼腺ですが、外へと飛び出してしまうことによって刺激を受けてしまい、やがて炎症を起こしてしまうことで腫れ上がってしまうのです。
また、チェリーアイを発症することで、目の結膜や角膜へも影響が起きてしまい、結膜炎や角膜炎、流涙症といった病気も併発してしまいます。犬自身も、チェリーアイの状態が気になってしまい、目をこすってしまったり、まばたきが多くなるなどの症状が見られるようになります。

チェリーアイは他の犬にうつる?

同居犬がいる場合、チェリーアイは他の犬たちにもうつる病気なのでしょうか。
チェリーアイに関しては他の犬にうつるという事はありません。チェリーアイは病気ではありますが、あくまでも「症状」ですので、チェリーアイが伝染していくということはありません。
ただし、チェリーアイを引き起こしている要因が、何かしらの感染症や目に炎症を起こすようなものであれば、同居犬もチェリーアイになるリスクはあるでしょう。この場合、チェリーアイがうつるのではなく、チェリーアイを引き起こしている「原因」がうつるということです。
チェリーアイは先天性・後天性のいずれかの原因で発症します。仮に他の犬もチェリーアイを発症したのであれば、後述する後天性の要因であることが予測されます。

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チェリーアイの好発犬種とは

チェリーアイは先天的である場合、後天的である場合、いづれかの場合で発症します。中でも、先天的である場合には、1歳を迎える前に発症するケースが多いのが特徴です。
遺伝的な問題を抱えている場合が多いのですが、「アメリカンコッカースパニエル」「イングリッシュ・コッカー・スパニエル」「ビーグル」「バセット・ハウンド」「シーズー」「ペキニーズ」「ボストン・テリア」「ラサ・アプソ」といった犬種に多く発症する病気です。
これらの犬種に多く見られる原因には、通常であれば第三眼瞼腺が、目の周りにある骨の膜「眼窩骨膜」へとつながれているはずなのに、好発犬種に関してはこの骨膜とつながれる力が弱いため、チェリーアイを発症しやすいということが判明しています。

チェリーアイはチワワに多い?


チェリーアイは後天的な要因によっても発症する場合があります。その原因には、目への強い衝撃や外傷、目の奥に腫瘍が出来てしまった等の原因が挙げられます。目に怪我を負ってしまうことで、瞬膜が傷ついてしまい、炎症を起こした結果、チェリーアイを発症すると言うわけです。
先天的な問題でチェリーアイを発症する犬種は前述の通りですが、上記に挙げたような後天的な要因でチェリーアイを発症しやすいと言われているのが「チワワ」や「ブルドッグ」「パグ」といった、前に飛び出したような形で比較的に目が大きな犬種が挙げられます。
特にチワワは、家庭内でも目に怪我を追ってしまう機会が多い犬種とも言えるでしょう。愛犬がチワワで、あまりに涙の量が多いようであれば、チェリーアイを含め、何かしらの目のトラブルを抱えている可能性もあるでしょう。

チェリーアイの治療について

チェリーアイを発症してしまった場合には、状態に分けた治療法が行われます。症状が軽症であった場合には、対症療法として炎症で大きく腫れてしまった部分を抑えるため、点眼薬の投与による治療が行われます。しかし、あくまでもまだ軽症である場合に限られます。
ある程度の大きさまで炎症してしまっている場合、「第三眼瞼腺切除」もしくは「第三眼瞼腺埋没」いずれかの手術が行われます。第三眼瞼腺切除手術は、文字とおり、飛び出してしまっている瞬膜を切除する手術となります。
しかし、前述の通り、瞬膜は涙をいきわたらせている役割も果たしているため、切除することによって十分な機能を果たすことができなくなってしまい、ドライアイなどの症状を引き起こしてしまいます。

チェリーアイの「第三眼瞼腺埋没手術」とは

チェリーアイの「第三眼瞼腺切除」対して、「第三眼瞼腺埋没手術」に関しては、第三眼瞼腺を第三眼瞼に縫い付けてしまうことで、目が外に飛び出さないようにする手術となります。
ドライアイを引き起こす可能性もある第三眼瞼腺切除よりも、第三眼瞼腺埋没手術の方がリスクも少ないので安心ですが、慢性的に炎症してしまっている場合には、瞬膜の機能も低下してしまっているため、切除手術も考えられるようになるでしょう。
チェリーアイの状態によっては手術の選択肢も限られる場合がありますが、チェリーアイはくせになりやすい病気でもあり、再びチェリーアイを引き起こす場合もあるため、慢性的となってしまっている場合には切除手術となる場合もあるでしょう。

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チェリーアイの治療費はいくらくらい?

チェリーアイを治療する際には、どの程度の治療費を見込んでおけばよいのでしょうか。
チェリーアイの具合や愛犬の状態によっても治療費が変わってきますが、軽度である場合には検査費用に加え、点眼薬などが処方され、あとは予後の様子を確認するために通院という形で、1万円前後ほどで収まる場合もあるでしょう。
一方、重度のチェリーアイである場合には、手術が必要となるため、治療費に関してもある程度覚悟する必要があります。
重度である場合には、前述の通り切除手術や埋没手術という形が取られると思いますが、入院も含め、7万円〜8万円は用意しておく必要があります。また、術後の経過も確認するため、何度か通院する必要もあるでしょう。

チェリーアイは初期に発見することも可能


チェリーアイという病気は、日頃から愛犬の様子だけでなく、顔を見る機会があれば気がつくことの出来る病気でもあります。
チェリーアイの元となっている「瞬膜」は、ピンク色の目の根本にある部分ですが、この部分が腫れ上がるように膨らむのがチェリーアイの症状です。また、チェリーアイを引き起こしている原因が後天的である場合には、初期症状として結膜炎などの病気を発症している可能性が高いです。
日頃から愛犬の顔を見ていれば、目の様子が違うなと感じたり、見慣れてくると瞬膜の状態で体調のバロメーターを図ることも可能となります。何かしらの目の異変を感じたのであれば、チェリーアイを引き起こしてしまう前にすぐに動物病院で検査するようにしましょう。

チェリーアイを予防するために

チェリーアイを未然に防ぐという対策はありません。特に注意すべきは、チェリーアイを引き起こすような病気にならないことです。また、先天的な原因である場合に関しても、早期発見・早期治療が最も望まれます。
チェリーアイは、第三眼瞼線がむき出しになってしまうことで、様々な影響を受けてしまいます。そのため、できるだけ早くに見つけ、すぐに動物病院に行くことが、それ以上、症状を大きくしない事に繋がるでしょう。
普段から、愛犬と目を合わせて接することで、こうした病気をすぐに気が付くことが出来ます。愛犬としっかりと目線を合わせて交流するようにし、こうした病気にすぐに気が付くことの出来る飼い主さんになるようにしましょう。

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