犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「チャウ・チャウ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
チャウ・チャウとは
「チャウ・チャウ」と言えば、ライオンのような風貌で、愛嬌のあるしかめっ面の中に埋もれた小さな奥目がチャーミングです。
また、後ろ足が真っ直ぐで、まるで竹馬に乗っているような歩き方も可愛いのですが、このような足になったのも、実は理由があるのです。
こんなチャウ・チャウですが、人間の食用として繁殖されていました。今回はチャウ・チャウについて、そんな歴史や性格、一緒に暮らす秘訣など解説していきましょう。
チャウ・チャウのルーツ
チャウ・チャウのルーツは定かではありませんが、中国広東省で2000年以上の歴史を持ち、チャウ・チャウは、シベリアかモンゴル原産のスピッツ系の犬種とチベタン・マスティフを掛け合わせて作られたという説があります。
または、中国の古代犬種ハン・ドッグを闘犬用に改良したものがシャー・ペイ、食用に改良したものがチャウ・チャウであるという説もあります。実際に中国では「犬食文化」が存在していることから、この説は有力と考えられていますが、チャウ・チャウの特徴的な青舌の由来が分からず、決定打に欠けており、ハン・ドッグが青舌であった可能性もあるため、現在調査中のようです。
食用犬としてのチャウ・チャウ
チャウ・チャウは、中国で古くから番犬やソリを引いたり、猟犬として使用されていたこともありますが、「食用」としての需要が最も多かったようです。チャウ・チャウの肉は食用とされ、骨は漢方、毛皮はコートとして使用されました。食用にするにあたり、太りやすくするために、後ろ足が棒状に改良されているようです。
現在でも中国では犬食文化があるため、チャウ・チャウを食用として食べる人もいるようですが、世界中で犬食文化の是非については論争が起こっており、犬を食べることをやめた人もいますが、一部地域では未だ伝統料理として食べ続けている人もいるようです。
日本では一時期、テレビの影響で、チャウ・チャウの人気が高まり、過剰繁殖が繰り返されたことがありました。チャウ・チャウは本来繁殖が難しく、個体数が少ない犬種です。そのせいで疾患が多い個体や、攻撃性のある個体が産まれていたこともありました。
「チャウ・チャウ」という名前の由来は、18世紀の終わり頃、チャウ・チャウは、イギリスの「東印度会社」の船でヨーロッパに渡りましたが、この時、会社の積荷明細に「東洋の骨董品・珍しい装飾品」という意味の「チャウチャウ」という言葉で記載されていたためと考えられています。
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チャウ・チャウの性格
チャウ・チャウは、飼い主さんや家族に対しては、とても忠実で誠実ですが、「生まれつきの番犬」とも呼ばれており、飼い主さん以外の人や犬に警戒心を持ち、攻撃的になることもあります。また、独立心が強く、頑固なところもあるため、幼少期からたくさんの人や犬と接する機会を作り、社交性を養うことが大切です。
飼い主さんや家族にも無愛想で、無表情、面倒くさがり屋のマイペース。一見飼い主さんでも、嬉しいのか、怒っているのか、全く気持ちが読めないことがあるようです。そんなチャウ・チャウですが、一度信頼した飼い主さんや家族に対してはとても愛情深い性格なのです。こんな分かりづらいところが、チャウ・チャウの魅力なのかもしれませんね。
チャウ・チャウの被毛
チャウ・チャウは、長毛の「ラフコート」と短毛の「スムースコート」があります。(スムースコートは、シャン・ドッグとも呼ばれています。)どちらも「ダブルコート」の被毛で、柔らかく密生した「アンダーコート」を持ち、寒さから体を守るのに役立ちます。ラフコートは、ライオンの鬣のような首毛が特徴的です。
チャウ・チャウの被毛のカラーは、「ブラック」「レッド」「ブルー」「フォーン」「クリーム」「ホワイト」で、シェードが入るものもありますが、斑点やパーティカラーは認められません。
チャウ・チャウがかかりやすい病気
【股関節形成不全】
股関節形成不全とは、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす骨の病気です。
肥満体型は、股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。
【眼瞼内反症】
目瞼内反症とは、下瞼が内側に反り返ってしまう状態のことで、要は逆さまつ毛のことです。軽度の場合は、下まつ毛を抜くことで治まりますが、重度の場合は瞼の整形手術を行います。
毛が目に入らないように、顔の周りにある毛を纏めてあげること、そして、日頃から目ヤニや涙が出ていないかなど、目のチェックは欠かさず行いましょう。
【鼻腔狭窄】
鼻が短い犬種に多く、鼻の穴が潰れて狭くなり、呼吸がしづらくなる鼻の病気です。チャウ・チャウにも多い病気で、原因は先天性によるものと、鼻の中の粘膜が炎症を起こし、鼻の穴が腫れて狭くなったことで、鼻腔狭窄を引き起こしてしまうといった、後天性によるものがあります。
鼻腔狭窄の主な症状は、いびきが酷くなる事や、ブーブーと鼻を鳴らして呼吸をしたり、よく鼻水を飛ばしたりといった症状が見られます。また、鼻で呼吸がしづらいため、口で呼吸するようになったり、軽く運動しただけでも酸欠状態になってしまうのです。このような症状に気が付いたらすぐ動物病院で診てもらいましょう。
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チャウ・チャウと暮らすために
チャウ・チャウを飼う上で気をつけなければならないのが、チャウ・チャウの特徴でもある「短吻種(目の前から口までの長さが短い犬のこと)」だと言う事です。短吻種の犬種は、体の構造的に呼吸器の機能が弱く、麻酔を行う場合は若干リスクが高くなるので配慮が必要です。
また、短吻種の犬種は「体温調整が苦手」な犬種でもあります。熱中症には十分気を付けましょう。そして、熱や気圧の変化にも弱いことから、飛行機での輸送を断られる場合があるので、飛行機を利用して旅行に行く際は、予め航空会社で確認するようにしましょう。
そして、チャウ・チャウの後ろ足が真っ直ぐに改良されていること、チャウ・チャウが食用として飼育されていたので、太りやすい体質を持つことから、通常の大型犬よりも「股関節形成不全」を発症しやすいため、チャウ・チャウを飼育する際は、特に体重管理に気を付ける必要があります。
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