猫に多く見られる下部尿路疾患に配慮したキャットフード「メディプロ」と、高タンパクで動物性タンパク源を豊富に含んだ「カナガン キャットフード」はどちらの方がおすすめのキャットフードなのでしょうか。
そこで今回は、カナガン キャットフードとメディプロの特徴や原材料を比較、よりおすすめなキャットフードはどちらなのかを検証してみたいと思います。
メディプロについて
日本の老舗ペットフードメーカーで知られる「ペットライン」が展開しているプレミアムフードシリーズ「メディプロ」。メディプロは臨床栄養学を用いたペットフード開発を行っているシリーズで、製品はペット専門店のみの取扱いとなっています。
特徴となるのは猫に多い「下部尿路疾患」に配慮された内容で、猫の年齢に合わせて最適なphを維持できるようコントロールする事を目的としたキャットフードとなっています。
下部尿路疾患は年齢によって発症する確率も変わってきますが、年齢にかかわらず大事なのは日頃からの予防です。メディプロは毎日の食事から下部尿路疾患を予防するという目的を持ったキャットフードとなっています。与えていれば必ず下部尿路疾患を予防することが出来るというわけではありませんが、少なからず要因となるものを予防することに期待が持てそうです。
下部尿路疾患について
猫の健康トラブルで多く聞かれる「下部尿路疾患」。「F.L.U.T.D(Feline Lower Urinary Tract Disease)」とも略される尿路疾患ですが、尿結石を始めとした猫の泌尿器系の症状を総称して下部尿路疾患(F.L.U.T.D)と呼ばれます。
下部尿路疾患は猫の病気の中でも3番目に多い疾患とも言われており、特にオス猫に多く見られる疾患とも言われています。
オスのほうが尿疾患が多く見られる理由としては、オスとメスの尿道の違いによるものです。オスの尿道はメスよりも細く、またメスよりも長い尿道を持っています。尿道が細いために尿石ができてしまうと詰まりやすくなるというのが大きな理由で、オス猫は特に注意してあげなければなりません。
FLUTDの症状について
下部尿路疾患の症状には、いつもよりも尿をしにくそうに排泄していたり、決まった場所以外の場所で排泄を行うことがあるなど、日頃から注意深く観察していれば直ぐに気がつくことのできる初症状が見られるようになります。
また、尿自体もいつもより濃い色の尿をする場合や、排泄後に陰部を舐める仕草などが見られるでしょう。この時、排泄した場所や猫の陰部がキラキラと結晶がひかっているような様子が見られれば、それは尿結石を疑ったほうが良いかもしれません。
尿結石は実際に尿中に結石が出来てしまう症状ですので、尿中の結石が反射して、いつもよりもキラキラした尿が見られるようになります。また、場合によっては血尿なども見られる事があります。血尿が見られる場合には実際に炎症が起きている場合がありますので、早急に動物病院で診断を受けることをおすすめします。
カナガン キャットフードについて
「カナガン(CANAGAN)」はイギリス原産のペットフードメーカーの一つで、動物性タンパク源を豊富に使用した高タンパクなフードが特徴となっているペットフードです。
猫は本来、肉食の動物ですので猫が最も必要とする栄養は動物性タンパク源から摂取するのが理想的と言えます。カナガン キャットフードは70%が動物性タンパク源、30%が植物成分から構成されるキャットフードで、猫にとってより自然な栄養素を摂取できる、毎日の猫の健康維持に最適なキャットフードとなっています。
また、使用される原材料はすべてヒューマングレードの原材料、合成添加物の不使用など、キャットフードの品質自体も高品質で安全な物となっています。
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両フードの原材料を比較
では両フードの原材料を比較してみましょう。
【カナガン キャットフード 原材料】
乾燥チキン35.5%、骨抜きチキン生肉25%、サツマイモ、ジャガイモ、鶏脂4.2%、乾燥全卵4%、チキングレイビー2.3%、サーモンオイル1.2%、ミネラル類(硫酸亜鉛一水和物、硫酸第一鉄水和物、硫酸マンガン一水和物、硫酸銅(II)五水和物、亜セレン酸ナトリウム)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE)、アルファルファ、クランベリー、タウリン、マンナンオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、リンゴ、ニンジン、ホウレンソウ、海藻、カモミール、セイヨウハッカ、マリーゴールド、アニスの実、コロハ
【ペットライン メディプロ phサポート+ 10ヶ月齢から 成猫用 原材料】
穀類(とうもろこし、コーングルテンミール)、肉類(ミートミール、チキンミール、チキンレバーパウダー)、油脂類(動物性油脂、ガンマ-リノレン酸)、魚介類(フィッシュミール、フィッシュエキス)、豆類(おから)、糖類(フラクトオリゴ糖)、卵類(ヨード卵粉末、卵黄粉末:グロビゲン)、セルロース、シャンピニオン、共棲発酵エキス(乳酸菌、納豆菌、酵母菌)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK3、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、ビタミンB6、葉酸、ビオチン、ビタミンB12、ビタミンC、塩化コリン、イノシトール)、ミネラル類(炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸鉄、亜鉛アミノ酸複合体、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、硫酸銅、ヨウ素酸カルシウム、硫酸コバルト)、アミノ酸類(メチオニン、タウリン)、酸化防止剤(ローズマリー抽出物、ミックストコフェロール)
カナガン キャットフードの主原料は「乾燥チキン」、次いで「骨抜きチキン生肉」が使用されています。この他、「サツマイモ」等の野菜類、「リンゴ」などの果物類、「カモミール」を始めとしたハーブ類が含まれます。
メディプロの主原料は「穀類(とうもろこし、コーングルテンミール)」、次いで「肉類(ミートミール、チキンミール、チキンレバーパウダー)」となっています。
原材料を比較してみると、カナガンのほうが圧倒的に動物性タンパク源の配合量も多く、品質的にも高いことがわかります。穀物を主原料としているキャットフードは少なくありませんが、猫にとってはあまり消化に良い原材料ではありませんので、消化吸収を考えると動物性タンパク源を多く使用しているカナガンのほうが良いと言えます。
両フードの成分を比較
続いて両フードの成分を比較してみましょう。
【カナガン キャットフード 成分】
タンパク質:37%、脂質:20%、粗繊維:1.5%、灰分:8.5%、水分:7%、オメガ6脂肪酸:2.99%、オメガ3脂肪酸:0.82%、リン:1.4%、マグネシウム:0.09%、ナトリウム:0.8%、カルシウム:1.58%、カリウム:0.7%、カロリー(100gあたり):約390Kcal
【ペットライン メディプロ phサポート+ 10ヶ月齢から 成猫用 成分】
タンパク質:31%、脂質:13%、粗繊維:4.5%、灰分:9%、水分:10%、リン:1%、マグネシウム:0.085%、ナトリウム:0.65%、カルシウム:1%、カロリー(100gあたり):約380Kcal
カナガン キャットフードのタンパク質が37%なのに対し、メディプロは31%。猫にとってタンパク質は需要な栄養素となりますが、メディプロは高すぎず低すぎずといったタンパク質なので、成猫にも与えやすい印象です。
対してカナガン キャットフードは高タンパクな内容ですので、活発な成猫には向いていると言えます。ただし、カナガン キャットフードは全年齢対応のきゃっとふーどであるため、高齢猫に与える際にも高タンパクな内容となってしまいます。
給餌量でコントロールすることが出来ますが、成分を見るとカナガン キャットフードは成猫向けのキャットフードとも言えます。
カロリーに関しては両フードとも平均よりやや高めの印象です。運動量の少ない猫や肥満傾向の猫にはあまりおすすめとは言えません。特にメディプロは穀物が主原料ですので、消化吸収にも不安が残ります。
プロ目線から見たキャットフードの比較
メディプロは下部尿路疾患対策として「ph値」を一定にコントロールする事をメインとしています。尿路疾患はこのpH値がいずれかに傾きすぎる、傾き続けることで発症してしまう疾患です。
この傾きを一定にコントロールすることで尿路疾患を予防する事は可能になるかと思いますが、この他にもマグネシウムの量やリン、カルシウムなどのバランスを維持することも重要となります。
動物性タンパクが豊富なフードはph値を弱酸性に傾かせ、また、高タンパクな食事は尿の排泄を促すと言われています。こうした点を考えると、カナガン キャットフードも十分に尿路疾患対策を行えるフードであるとも考えられます。
実際には尿ph値は常に前後してしまうものですので、食事だけのケアだけでは難しいというのが正直なところですが、尿路疾患対策を中心に考えれば、ph値を一定にコントロールさせるメディプロは一定の効果が期待できるキャットフードかもしれません。
まとめ
メディプロとカナガン キャットフードの比較を行ってみましたが、それぞれのフードに特徴があり、目的によってもおすすめが変わるというのが実際のところです。
しかし、キャットフードの質的には、やはりカナガン キャットフードの方がより高品質でありおすすめと言えます。猫の健康維持を考えると、より消化のしやすい肉を使用しているカナガン キャットフードの方が消化がしやすいのは明確です。
穀物を主原料としている点であまりおすすめとは言えないのが実際のところ。尿路疾患対策という点ではおすすめしたいところですが、やはり基本となるのは猫の健康維持です。
より消化によく、より栄養価の高いキャットフードという事で、おすすめしたいのはカナガン キャットフードという判断になるでしょう。また、カナガン キャットフードも下部尿路疾患対策として適している部分もありますので、まずは様子を見ながら与え続けていってもよいかと思います。
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