ドッグフードメーカーの中でも特に有名な「ヒルズ」のサイエンス・ダイエット プロ。専門ショップで販売されるサイエンス・ダイエット プロですが、動物性タンパク質を60%配合した「カナガン」と比較すると、どちらの方が良質なドッグフードと言えるのでしょうか。

そこで今回は「カナガン チキン」と「サイエンス・ダイエット プロ」の成分値や品質内容を徹底比較してみたいと思います。

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カナガンとは


イギリス原産のドッグフード「カナガン」は、動物性タンパク源60%、植物成分40%の割合で作られている、高タンパクが特徴のドッグフードです。タンパク質は筋肉を作るのに必要であったり、健康な体を維持するためにも重要なものですが、中でも犬は動物性タンパク質を多く必要とする雑食性の肉食動物です。

犬の先祖であるオオカミは獲物を狩ることで動物性タンパク源を摂取し、獲物の胃袋に入っている微量の食物繊維から植物成分を摂取していました。犬は完全な肉食動物ではありませんが、動物性タンパク源を多く必要としている点は同じく、動物性タンパク質と植物成分の割合は6:4というのが理想的。

カナガンはこの6:4の割合で作られたドッグフードで、植物成分の4割には果物類や野菜類、ハーブ類などが含まれます。

グレインフリーであるメリット

カナガンのもう一つの特徴となるのがグレインフリー(穀物不使用)である点です。

前述の通り、犬は動物性タンパク源と食物成分から栄養を摂取することが理想的ですが、穀物類に関してはかなり僅かな量でも問題がないと考えられています。また、穀物類は消化するのに時間がかかる消化のしにくい原材料であり、犬もまた穀物類を消化するのが苦手としています。

ドッグフードの価格が分かれる部分はこの穀物類の含有量でも変わる場合が多く、安価なドッグフードの多くは主原料に穀物類を、高単価のドッグフードは主原料に動物性タンパク源を使っているのがほとんどと言えます。

穀物類は優れた炭水化物の宝庫であり栄養価も高いものですが、犬にとってはそこまで必要とはしていないものであり、かつ穀物類は単価も安いのでフード自体のコストも下がることから、販売価格も安価である場合が多いです。

ヒルズのサイエンス・ダイエット プロとは

ペットフードメーカーの中でも特に有名なフードメーカーの一つに挙げられる「ヒルズ」ですが、ペットショップで見かけるヒルズの製品には「サイエンス・ダイエット」と「サイエンス・ダイエット プロ」があるのをご存知でしょうか。

価格的には「サイエンス・ダイエット」の方が安価ですが、「サイエンス・ダイエット プロ」は基本的にプロショップ向けのラインナップで、ホームセンターではなくペットショップで購入することの出来るラインナップが「プロ」の方になります。

ペットショップでも両ラインナップを購入することが出来ますが、「サイエンス・ダイエット プロ」と「サイエンス・ダイエット」の違いに関しては、健康維持のための栄養バランスを適切に調節されたものが「サイエンス・ダイエット」、より細かく愛犬の状態に合ったドッグフードを選ぶことが出来るのが「サイエンス・ダイエット プロ」のラインナップとなっています。

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健康ニーズから選べるラインナップ


サイエンス・ダイエット プロは年齢でドッグフードを選ぶだけでなく、愛犬の健康ニーズ、つまり愛犬の気になる点や予防・向上を行いたい「部位」からドッグフードを選ぶ形となります。

そのラインナップには「脳」「皮膚」「関節」「腎臓・心臓」「発育」「活力」「避妊・去勢」「体重管理」と、愛犬が陥りやすいトラブルに細かく対応したラインナップが揃います。今回は比較として成犬用の「活力」を代表してご紹介していきたいと思います。

上記のようにサイエンス・ダイエット プロにはいくつかの種類がありますが、活力は愛犬が必要としているビタミンやアミノ酸、必須脂肪酸をバランスよく配合したドッグフードで、日頃から生活する上で大事な要素となる活力を維持するためのラインナップとなります

カナガンとサイエンス・ダイエット プロの原材料を比較

ではカナガンとサイエンス・ダイエット プロの原材料を比較してみましょう。

【カナガン チキン 原材料】
骨抜きチキン生肉26%、乾燥チキン25%、サツマイモ、エンドウ豆、ジャガイモ、エンドウタンパク、アルファルファ、鶏脂3.1%、乾燥全卵3.1%、チキングレイビー1.6%、サーモンオイル1.2%、ミネラル(硫酸第一鉄水和物、硫酸亜鉛一水和物、硫酸マンガン一水和物、硫酸銅(II)五水和物、無水ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)、ビタミン(ビタミンA 16,250IU/kg、ビタミンD3 2,400IU/kg、ビタミンE 240IU/kg)、グルコサミン1000mg/kg、メチルスルフォニルメタン(MSM)1000mg/kg、リンゴ、ニンジン、ホウレンソウ、オオバコ、海藻、フラクトオリゴ糖、コンドロイチン700mg/kg、カモミール、セイヨウハッカ、マリーゴールド、クランベリー、アニスの実、コロハ

【ヒルズ サイエンス・ダイエット プロ 小型犬用 健康ガード 活力 1〜6歳 原材料】
チキン、米、マイロ、小麦、大豆、大麦、動物性油脂、植物性油脂、チキンエキス、亜麻仁、ポークエキス、トマト、ニンジン、ホウレンソウ、柑橘類、ブドウ、オート麦ファイバー、乳酸、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、ミネラル類(ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、ヨウ素)、アミノ酸類(タウリン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)

カナガンの主原料は「骨抜きチキン生肉」、続いて「乾燥チキン」と続きます。一方のサイエンス・ダイエット プロの主原料も「チキン」ですが、続く原料は「米」「マイロ」「小麦」と穀物類が続きます。

決定的に異なるのが「穀物」を使用しているかしていないかの差となりますが、両フードには決定的に考え方の違いが見て取れます。とはいえ、前述の通り犬は雑食性の肉食動物です。主原料は両フードともチキンではありますが、動物性タンパク源を多く含むカナガンの方が、犬にとっては栄養豊富なドッグフードと言えるかもしれません。

また、消化の良さという点から見ても、穀物を多く含むサイエンス・ダイエット プロよりも、肉の含有量の多いカナガンの方が消化吸収が良いかと思います。

原材料で比較していくとサイエンス・ダイエット プロよりもカナガンの方が良質であると思われます。ただし、価格に関してはカナガンの方がやはり肉の含有量も高いので、価格自体もカナガンの方が高いでしょう。

カナガンとサイエンス・ダイエット プロの成分を比較

続いてカナガンとサイエンス・ダイエット プロの成分値を比較していきます。

【カナガン チキン 成分】
粗タンパク質:33.00%、脂質:17.00%、粗灰分:9.00%、粗繊維:3.50%、水分:8.50%、オメガ6脂肪酸:2.80%、オメガ3脂肪酸:0.90%、リン:1.42%、マグネシウム:0.10%、ナトリウム:0.60%、カルシウム:1.86%、カリウム:0.60%、エネルギー(100gあたり)/約361.25kcal

【ヒルズ サイエンス・ダイエット プロ 小型犬用 健康ガード 活力 1〜6歳 成分】
粗タンパク質:24.9%、脂質:15.7%、粗繊維:2.8%、水分:10%、オメガ6脂肪酸:4.16%、オメガ3脂肪酸:1.01%、マグネシウム:0.145%、ナトリウム:0.30%、カルシウム:0.96%、カリウム:0.75%、エネルギー(100gあたり)/約367kcal

大きく違うのはタンパク質の量です。カナガンは動物性タンパク質を多く含むドッグフードですので、当然、タンパク質の量も33%と高め。対してサイエンス・ダイエット プロは24.9%と、平均的なタンパク質の量になっています。

脂質に関してはカナガンが17%、サイエンス・ダイエット プロが15.7%。カロリーはカナガンが361Kcal/100g、サイエンス・ダイエット プロが367Kcal/100gとサイエンス・ダイエット プロの方がやや高カロリーな内容になっています。

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プロ目線から見たフードの比較


全体的なバランスを見ると、より成犬におすすめなドッグフードはカナガンの方がおすすめという評価になります。特に活発な成犬はより多くのタンパク質を必要とします。

ただし、今回比較しているのは「成犬」としての比較となりますが、これが高齢犬となると、カナガンのタンパク質量はやや多すぎる内容ですので、サイエンス・ダイエット プロのタンパク質量の方が合っているかと思います。

特に動物性タンパク源を消化するためには腎臓の働きが大事になりますが、高齢化するとともに消化能力も弱まり、あまり多くの動物性タンパク源を消化させると体にも負担がかかってきてしまいます。

多くのドッグフードでも、高齢犬用のタンパク質量は〜25%ほど。30%を超えるタンパク質はやや高すぎるわけです。今回の比較では成犬としての比較ですが、カナガンは全年齢対応のドッグフードであるため、成犬まではおすすめですが、高齢に差し掛かる頃には別のドッグフードに切り替える必要が出てくるでしょう。

まとめ

カナガンとサイエンス・ダイエット プロの比較をしてきましたが、全体的な内容としてはカナガンがおすすめと言えます。ただし、前述の通りカナガンを推奨するのは成犬まで。高齢犬になる頃には愛犬の健康状態を確認し、体調が万全なうちに他のフードに切り替えることをおすすめします。

もちろん犬によっては高タンパクなままでも問題のない犬もいますが、腎臓の病気は一度発症すると危険な状態に陥る場合が高いですので、症状が起きる前に低蛋白なドッグフードに切り替えるのがおすすめです。

成犬であれば高タンパクなドッグフードがおすすめなのですが、愛犬の状態を飼い主さんがしっかりと確認し、よりベストなドッグフードを選んであげるのが良いでしょう。

サイエンス・ダイエット プロに関しては穀物類が多く使用されていますので、消化の状態や肥満度、食いつき等にも注意が必要になります。良い視点のラインナップが揃うだけに残念なところですが、活発な成犬にとってはカナガンの方がおすすめのドッグフードと言えるでしょう。

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