「カルシウム」を摂取する事は、愛犬の骨や歯を丈夫にする為に大事な事ですが、実はこのカルシウムだけを過剰に摂取していても、病気を引き起こすこともあるのです。今回はカルシウムの正しい摂取の仕方について解説していきます。

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カルシウムの摂り方


カルシウムは誰もが知るとおり、丈夫な骨や歯を作る為に欠かせない栄養素です。しかし、実はそう思ってカルシウムばかりを摂取させていても、カルシウムは骨に吸着されるわけではないのです。「カルシウム=骨」というイメージがありますが、単純にそういう訳にはいきません。

また、カルシウムを過剰に摂取しすぎてしまうことでも、逆に体に異常が現れたり、病気を引き起こしてしまうこともあり、不足しすぎても病気を引き起こしてしまうのです。

これはカルシウムに限らず、多くのビタミンや栄養素は他の栄養素と協力し合うことで、初めて良い効果をもたらす場合が多いのです。そのためには、しっかりとカルシウムを摂取することも大事ですが、バランス良く摂取するという事にも注意しなければいけないのです。

カルシウムとリンのバランス

カルシウムを摂取する際には、まずはバランスの取れた状態で摂取する必要があります。そこで必要になるのが「リン」です。

カルシウムは、カルシウム単体では体内に吸収されるわけではなく、リンとのバランスが非常に重要になるのです。目安としてはリン1に対し、カルシウムは1.2〜1.4が理想とされています。このバランスが崩れてしまうと、犬の体に異常を引き起こしてしまうこととなるのです。

このように、カルシウムとリンのバランスが取れることで、ようやく骨へと吸着されるため、サプリメント等でカルシウムを摂取する際にはリンとのバランスを維持する事が大事です。ですので、カルシウムばかりを摂取していても意味はなく、むしろ病気を誘発しているようなものなのです。

カルシウムが不足すると?

カルシウムとリンのバランスが崩れ、カルシウムが不足してしまうとどうなるのでしょうか。

犬の体からカルシウムが不足してくると、元気がなくなり、食欲不振などの症状が見られます。さらにカルシウムが不足すると「低カルシウム血症」と呼ばれる状態になり、筋肉の硬直や意識を失うなどの重篤な症状が現れ始めます。

しかし、低カルシウム血症に陥る程にカルシウムが不足するのは病的な状態とも言えるため、通常の生活ではなかなか考えにくい状態と言えます。低カルシウム血症を引き起こす具体的な例で行くと、中毒症状を起こしてしまうような食べ物を食べたり、出産後の授乳でカルシウムが大きく減少してしまうといった場合が挙げられます。

こうした要因以外で考えると、低カルシウム血症を引き起こす別の疾患を抱えている可能性が高いです。

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体内でのバランスが重要なカルシウム

体内のカルシウムは99%がリンと結合し、骨を形成しています。血中におけるカルシウムの濃度「血清カルシウム濃度」が、12mg/dL以上の場合は「高カルシウム血症」と判断され、尿結石といった症状が見られるようになり、数値が高い場合(18mg/dL)には命にかかわる不整脈や腎不全といった病気を引き起こすこともあります。

逆に血清カルシウム濃度が9mg/dLを下回るような場合には「低カルシウム血症」と判断されます。実際には9mg/dL~7.5mg/dL程の数値であれば無症状であると言えますが、この時点では元気が無くなったり、食欲の減退、神経症状などが見られるようになります。

さらに数値が低下し、6.7mg/dLを下回ってくると症状は深刻なものとなるでしょう。具体的な症状としては先述の通り、筋肉が硬直してしまったり、白内障や痙攣、テタニーと呼ばれるカルシウムやマグネシウムの低下による特有の痙攣が見られるようになります。

カルシウムの過剰摂取による悪影響

このとおり、カルシウムはバランス良く摂取する必要がありますが、カルシウム不足を恐れて、カルシウムを過剰に摂取することでも、高カルシウム血症を引き起こすこととなります。

代表的な例は先述の通りですが、骨を作るイメージのあるカルシウムは、カルシウムを過剰に摂取しすぎることで、逆に骨をもろくする事につながってしまうのです。

カルシウムの過剰摂取は骨に異常を発生させることに繋がり、肥大性骨形成異常や股関節の異常、手足の湾曲、背骨などの変形など、多くの骨異常を引き起こす要因となってしまうのです。特に、子犬や成長期の犬がカルシウムの過剰摂取になると、骨が変形したまま成長してしまうため、成犬になっても変形を治すことは困難となってしまいます。

カルシウムの必要量について


では、再度カルシウムのバランスについて振り返ってみましょう。カルシウムはリンやマグネシウムとのバランスが大事と説明してきました。また、その割合もリン1に対して、カルシウムが1.2〜1.4ほどの割合が理想的。

一方、低カルシウム血症や高カルシウム血症では、具体的な数値としてカルシウムの不足量・過剰量を紹介してきました。しかし、実際のところ、犬が必要としているカルシウムの必要量については、犬種やサイズ、年齢なども関係しており、具体的な必要量というのは定かではないのです。

ドッグフードでは「AAFCO」が定義しているカルシウムの必要量を参考にカルシウムが配合されていますが「2.5%以下」など、割合として定義されているため、具体的な数値ではないのです。

カルシウムのサプリでバランスを取る

カルシウムは必要不可欠な栄養素ということはわかっているものの、その具体的な必要量がわかるわけではないので、どのように摂取したらよいかも迷ってしまいますね。

カルシウムは基本的にはドッグフードでも摂取できているため、病気などを起こしていなければ不足することも、過剰になることも考えにくいです。しかし、プラスアルファでカルシウムを与えたいと考えるのであれば、しっかりとカルシウムが体に吸収されるよう、バランス良く摂取することが必須条件となります。

そして、バランス良くカルシウムやリンを摂取できるのがサプリメントなのです。ドッグフードからでもカルシウムを摂取しますが、サプリメントを与えることでより多くのカルシウムを摂取することになるため、しっかりと消化吸収できるサプリメントを選ぶ必要があります。

では、具体的にどのようなサプリメントがあるかを見てみましょう。

現代製薬「ドッグマロー・レオ」

豚の骨髄(マロー)のエキスやビール酵母、チーズ等が配合された、バランスよくカルシウムを摂取できるサプリメントが現代製薬の「ドッグマロー・レオ」です。成分にはカルシウムの吸収に必要とされるビタミンD3も配合されており、効率よくカルシウムを摂取することが出来ます。

ビタミンD3はカルシウムのバランスを整えてくれるビタミンでもあり、骨の健康維持に働きかけるビタミンです。ドッグマロー・レオは、カルシウム、リン、ビタミンD3のバランスが取れていますので、効率よく体内でカルシウムを吸収することができ、カルシウム不足をしっかりと補うことができる商品です。

製品自体は粉末状なので、ドッグフードにふりかけて与えることもできるので、錠剤だと上手に食べてくれない場合などに与えやすいものです。チーズも配合されているので、高タンパク・高カルシウムの食事を与えることも出来るので、普段の食事で上手に栄養を取れていない場合などにもオススメの製品です。

【現代製薬 ドッグマロー・レオ 原材料】
チーズフード、砂糖、乾燥ビール酵母、マローエキスパウダー、リン酸カルシウム、保存料(デヒドロ酢酸 Na)、ビタミンD3

【現代製薬 ドッグマロー・レオ 栄養成分】
粗たん白質 4.5%以上、水分 10.0%以下、粗脂肪 4.6%以上、カルシウム 12.0%以上、粗繊維 0.1%以下、リン 15.2%以上、粗灰分 56.2%以下、代謝エネルギー(ME) 100g当たり 141kcal

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現代製薬「カルシウム・プラス」

同じく現代製薬の「カルシウム・プラス」も、バランス良くカルシウムを摂取できる製品で、ドッグマロー・レオと比較すると、カルシウムの摂取に注力した製品でもあると言えます。製品はタブレット状ですので、おやつとして与えたり、ドッグフードに混ぜ込んで与えることが出来ます。

基本的にはタブレット状でも問題なく食べてくれる犬であれば安心ですが、なかなか食べてくれない場合にはタブレットを砕いたり、粉末状にしてあげる必要があるかもしれません。

カルシウム、リン、ビタミンD3のバランスもしっかりと取れているので、普段の食事でカルシウムが不足している場合などに、おやつ代わりとしてカルシウムを与えることができる製品です。

【現代製薬 カルシウム・プラス 原材料】
マルチトール、トレハロース、カゼインホスホペプチド(乳由来)、酵母エキス、
大豆胚芽抽出物(イソフラボン含有)、リン酸カルシウム、甘味料(D-ソルビト
ール)、微結晶セルロース、増粘安定剤(HPC)、ステアリン酸カルシウム、ビタ
ミンD3

【現代製薬 カルシウム・プラス 栄養成分】
粗たん白質 3.1%以上、水分 10.0%以下、粗脂肪 0.75%以上、カルシウム 13.0%以上、粗繊維 4.6%以下、リン 10.1%以上、粗灰分 47.8%以下、代謝エネルギー(ME)1 粒当たり 0.68kcal

まとめ


カルシウムを単体で摂取しても、犬の健康維持に直結はしないということがお分かりいただけたかと思います。ビタミンなどの栄養素は、体の中ではパズルのようにそれぞれが繋がっているため、1つだけ特別に接種していても効果を発揮しない事が多いです。カルシウムも同じことが言えますが、効率よくカルシウムを摂取するにはリンやビタミンD3といった存在は不可欠なものです。

病中や病後、妊娠などを経験するとカルシウムの量も低下してしまうため、飼い主さんが意識的にカルシウムを摂取させる必要がありますので、カルシウムの摂取に関してバランスが取れていなければ意味がないと言うことを理解していることが重要です。

※内容は2017年3月時点での情報になります。原材料、商品名等の内容は変更している場合があります。

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