ビション・フリーゼを飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もいると思いますが、ビション・フリーゼを飼う上で気をつけなければいけない事はどんなことでしょう?今回は「ビション・フリーゼ」について、特徴や性質をチェックしてみましょう。
ビション・フリーゼとは
ビション・フリーゼの名前は、「フリーゼ」は縮れた毛、もじゃもじゃの毛という意味で、「ビション」は飾るという意味から来ています。
一見すると、同じくもじゃもじゃの毛で知られる「プードル」ともそっくりで、見間違える人も多いと思いますが、実際抱いてみると、意外にも筋肉質でずっしりしていて、抱きごたえがあります。
トリミングでは、アメリカで考案された独創的なカット「パウダー・バフ(ビション特有のアフロヘアー)」が有名でしょう。
アフロヘアーカット以外にも、テディベアカットや口の周りにバリカンを入れてみたり、様々なオリジナルのトリミングを楽しめる犬種でもあります。
ビション・フリーゼのルーツ
ビション・フリーゼは、「バーベット(バルビーとも呼ばれる)」という、打ち落とした鳥を水の中へ回収する大型のウォータードッグ(水中作業犬)と、マルチーズなどの白い小型犬を掛け合わせたことによって「バービションズ」という犬種が作られたのがルーツになっており、後に省略して「ビション」と呼ばれるようになりました。
当時、ビション・フリーゼの血統は、
- 「ビション・マルチーズ」
- 「ボロニーズ」
- 「ハバニーズ」
- 「テネリフェ」
の4種類に分けられ、この中の「テネリフェ」をスペインの船乗りが、スペインのカナリア諸島のテネリフェ島に持ち込みました。この犬種が後の「ビション・フリーゼ」になったと言われています。
その後、14世紀以降にイタリアやフランスに持ち込まれ、上流階級の人たちの間で破格の値段を付けられ、取引されるようになりました。
この頃、ビションにリボンを付け、香水入りの水でシャンプーをされていたのは有名な話です。
しかし、何故かその後、ビションの人気は下火となり、富裕層の高額な愛玩犬から、一般家庭のどこにでもいる、誰でも手に入るような普通の犬となり、道行く人々に芸をしたり、サーカスなどで大道芸人たちに愛され何とか生き延びました。
「芸は身を助く」とはこのことですね。
そして、第一次・第二次世界大戦後、それぞれ絶滅の危機に陥りますが、何とか危機を乗り越え、1950年代にアメリカに持ち込まれたことによって、ようやくビション・フリーゼとして落ち着き、1960年代に綿帽子のような大きな頭「パウダー・パフ」というカット方法で急激に人気が高まります。
そして1971年には、アメリカで設立された愛犬家団体「AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)」に認定されました。
ビション・フリーゼの性格
ビション・フリーゼはとても賢く、明るくて愛情深い性格です。飼い主さんに従順で、子供や他の犬種とも仲良くできます。
しかし、それゆえ、人や他の動物に対して気を遣い、ストレスを溜めてストレス性疾患に陥ることもあります。
まるで、人間の世界のようですね。人間と違って言葉を発さない分、普段から愛犬とアイコンタクトを取ったり、コミュニケーションを欠かさないようにしましょう。
また、ビション・フリーゼは、先述したように昔はサーカスなどの大道芸で使用されていた歴史を持ち、芸達者とも言われています。
色々な芸を覚え、どんどん吸収していくので、犬も飼い主さんも躾が楽しくなるでしょう。家族でオリジナルの芸を見つけられるのも、この犬種ならではかと思います。
ビション・フリーゼの大きさ
ビション・フリーゼの大きさは、体高がおおよそ30cmほど、体重はおおよそ6kgほどとなっています。小型犬ではありますが、ややずっしりとした印象の犬種です。
ビション・フリーゼと同じくモコモコとした被毛で人気のトイ・プードルと比較される事も多いですが、ビション・フリーゼはトイプードルとは違って華奢な体格ではなく、頑丈でがっしりとした体つきで、適度に力強い筋肉を持ちます。
そのため、ある程度しっかりとした運動量が必要となってきます。目安としては1日30分ほどの運動で十分でしょう。ただし、それなりの骨格と筋力を持っているため、室内を自由に動き回るだけでは、日頃の運動量が足りるということはありません。
気分転換やストレス発散のため、外での散歩をしてあげると良いでしょう。また、時々ドッグランなどで走らせることでもストレス解消につながることでしょう。
スポンサードリンク
ビション・フリーゼの被毛
ビション・フリーゼの被毛は、硬めでカールされた「オーバーコート(上毛)」と絹糸のように柔らかく密集した「アンダーコート(下毛)」の2種類の被毛からなる「ダブルコート」です。
この被毛は毛は抜けづらいのですが、頻繁にブラッシングをしないとすぐ毛が絡まり、毛玉を作りやすくしますので、こまめにブラッシングをしましょう。
ビション・フリーゼの被毛のカラーは「白」一色か、または白地に、
- 「クリーム」
- 「アプリコット」
- 「グレー」
の斑点が入ることもあります。
ドッグショーでは、ハッキリした色の斑点やブラックの被毛は好ましくないとされています。
ビション・フリーゼのトリミング
ビション・フリーゼを飼うためには、トリミングを毎月行わなければならないという覚悟がなければいけません。また、家庭内でも前述の通り、最低限のブラッシングを行う必要があります。
見た目も可愛らしく、美しい容姿のビション・フリーゼを維持するためには、こうした努力がどうしても必要となるとともに、ビション・フリーゼの健康的な皮膚・被毛を維持するのに欠かせないのです。
また、ビション・フリーゼのトリミング料金もやや高めなので、経済的にも大変な犬種でもあります。地域によっても変わりますが、おおよそ6,000円以上はするでしょう。高い地域ですと1万円を越えることも珍しくはありません。
見た目も美しい犬種は、それなりに大変な手入れが必要になるということを理解しておきましょう。
ビション・フリーゼの暑さ対策
ビション・フリーゼに限らず、長毛種の犬は暑さに弱いのがほとんどです。ビション・フリーゼに関しては被毛もおしゃれにカットしている場合が多いですが、暑い夏にはしっかりとした対策を行わなければ熱中症などの症状を引き起こしてしまう場合もあります。
そんなビション・フリーゼの暑さ対策ですが、被毛を短めにカットしたり、サマーカットなどのカット方で思い切り短くしてしまう方法もあります。
また、室温を一定に保つために、クーラーの設置は必須となるでしょう。ただし、外が暑いからと言ってすぐに部屋の温度を下げようとせず、ある程度は暑さに耐性をつけさせることも必要です。逆にクーラーの効かせ過ぎは健康な体を維持するのにもマイナスとなってしまうのです。
ビション・フリーゼがかかりやすい病気
ビション・フリーゼがかかりやすい病気が「膝蓋骨脱臼」です。この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。
最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。愛犬が散歩中スキップしたり、足を上げて歩くような素振りを見せた場合は危険信号です。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。また、異変を感じたら飛び跳ねたりする行動をやめさせるようにしましょう。
散歩の時やご飯の時など、嬉しい時にはついつい飛び跳ねてしまう子もいますが、足腰の負担を減らすためにも、できるだけこうした行動は制御するようにしましょう。
スポンサードリンク
ビション・フリーゼと皮膚病
ビション・フリーゼの垂れ下がった耳は、耳の中まで毛で覆われています。立ち耳の犬種に比べると、垂れ下がった耳の犬種は通気性が良くないため、耳の中が蒸れたり、カビや雑菌などが繁殖しやすく、「外耳炎」などの原因になります。
暑い夏や湿気が多い季節は特に気を付けて、こまめな耳掃除が必要です。定期的に耳を裏返して、汚れがないか、臭いは無いかなど確認するようにしましょう。
そして、常に涙があふれ出る「流涙症」という病気もあります。流涙症を発症してしまい、あふれた涙のせいで涙やけになったり、目の周りの皮膚炎になることもあります。
ビション・フリーゼは全体的に被毛が白い分、涙やけで赤くなると目立ってしまいます。日頃から目のチェックをして、目の周りは清潔に心掛けましょう。
ビション・フリーゼの価格はどのくらい?
ビション・フリーゼは、ペットショップでも目にする機会がある犬種です。かなりメジャーというわけではありませんが、人気犬種の一つではありますので定期的にペットショップで販売される場合があります。
価格に関しては平均で20万円前後ほど。高い個体でも30万円を越えることはまれでしょう。また、ビション・フリーゼのブリーダーに関しても探すのは難しくはないでしょう。
ブリーダーから迎え入れるのは、親の顔を確認できるだけでなく、ビション・フリーゼについての専門知識も得られますので、ブリーダーから迎え入れるメリットは多いです。ペットショップでも相談はできますが、ブリーダーの知識とはまた違った相談ができるでしょう。気軽に相談できるような、自分とあったブリーダーさんを探すのも一つかもしれませんよ。
ビション・フリーゼの特徴や性格は?【ルーツと飼い方はコレ!】のまとめ
ビション・フリーゼは、純血種の中では特殊な遺伝子的疾患も少なく、健康的な体質と言えます。この犬種は長生きする子も多く、中には21歳まで生きた子もいるようです。
しかし、「病気をしないから」「丈夫だから」と健康な子こそ、何か危険信号があっても見逃してしまいがちです。あとで最悪な事態にならぬよう、年に一度は健康診断をして、愛犬の健康状態を把握しておきましょう。
日頃から健康的な生活を送っていても、体の中で起きている異常は、症状が発生してから現れてくるもの。症状が見られる前に、早期発見・早期治療を行えるようにしましょう。
スポンサーリンク