「バセット・ハウンド」はどのような犬種でどのような特徴や性質、飼育上で気をつけなければいけない事があるのでしょうか?犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は犬種の一つ「バセット・ハウンド」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
バセット・ハウンドとは
バセット・ハウンドといえば、胴長短足でたるんだ皮膚、床まで着くほど長く垂れ下がった耳、目は窪んで、まるで「あっかんべー」されているようなユニークな風貌。どこを取っても見飽きることはありません。
しかし、決して笑いを取るために、この犬種を作ったわけではなく、かつては立派な狩猟犬として、人のために従事していたのです。
こんなバセット・ハウンドは、今や有名な靴のブランド「ハッシュパピー」のブランドイメージにもなり、映画やドラマなどのメディアなどで取り上げられ、世界中に知れ渡った犬種であると言えます。
バセット・ハウンドのルーツ
バセット・ハウンドのルーツは、16世紀後半にフランスの修道院の僧たちが、狩猟犬として使っていた足の短い犬種を交配して作られたと言われています。その後、ヨーロッパの国々で王族貴族から寵愛を受け、数世紀に渡り繁栄してきました。
バセット・ハウンドの猟は、主にアライグマやウサギ、キツネやキジなどを捕っていたのですが、猟の仕方は他の狩猟犬とは少し変わっていて、獲物の匂いを嗅ぎながらゆっくりと後を追い、その後ろを猟師が付いていくというものでした。獲物を突き止めても、胴長短足のバセット・ハウンドが素早く動けないことを良いことに、獲物を油断させ、銃で狙いやすくするという猟方法でした。
バセット・ハウンドは1866年にイギリスに渡り、「ブラッド・ハウンド」の血を加えたことにより、サイズがさらに一回り大きく改良され、後に様々なドッグショーへ出陳するようになり、アレクサンドラ王妃の目に止まったことで、人気を博したと言われています。
ちなみに、「バセット・ハウンド」の名前の由来は、フランス語で低い「bass」という意味から、体高が低いことや、吠え声が低いことにちなんで名付けられました。
バセット・ハウンドの性格
バセット・ハウンドは、とても穏やかでのんびりした性格を持ち、友好的で争うことも好まないので、子供や他の犬種とも仲良くでき、多頭飼いにも向いています。また、とても優しく、家族に対しても愛情深く、従順なところもあるので、躾もしやすく、素晴らしい家庭犬となるでしょう。
見た目からも穏やかさや、のんびりした雰囲気が伺える、なんともほのぼのとしたバセット・ハウンドですが、「嗅覚ハウンド」に分類される嗅覚が非常に発達している犬種ですので、とにかく臭いを嗅ぐことが大好きです。
上手に欲求を満たしつつ、躾も取り入れたような遊びや訓練を取り入れることで、ストレスも溜まらずに楽しく躾を行うことが出来ますので、一緒にコミュニケーションを行いながらトレーニングしてみましょう。
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バセット・ハウンドの大きさ
バセット・ハウンドの大きさは体高が33cm〜38cmほど、体重は20kg前後と、このサイズの犬種にしては体重が思い犬種です。
中型犬に分類されますが、体重はかなり重たいので、抱っこをするにも大変な思いをするでしょう。また、胴長短足の体で、のしのしと歩く様子も可愛らしいですが、家の中にいると意外と大きく感じられる犬種でもあります。
後述でも触れますが、足腰に負担がかかるような環境は、ヘルニアを引き起こす要因にもなってしまいます。あまり狭苦しい環境や、荷物や家具があって歩きにくいような環境は、胴長短足で体重も重いバセット・ハウンドにとっては大変な生活環境です。なるべく、スペースは広めにとり、のびのびと行動できるような生活スペースを維持しましょう。
「臭い」への執着が強いバセット・ハウンド
とても優れた臭覚と集中力を持ち合わせているバセット・ハウンドですが、頑固な一面もあり、散歩途中に気になる匂いを嗅ぐと、一目散にその匂いに向かい、飼い主さんの声も届かず、コントロールがきかないこともあります。
たまに時間があれば、その匂いの先に付き合ってあげるのも良いと思いますが、体が大きいだけに、幼少期からコントロールできるよう、先述のような形で躾をすることも必要になります。
また、常に臭いを嗅いでしまう習性があるので、どうしても垂れ下がった耳や毛も汚れがち。散歩中はスヌードなどが欠かせなくなる犬種でもあります。汚れをそのままにしていると、部屋が汚れるばかりか、病気を引き起こしてしまう可能性もありますので、常に清潔に保つようにしましょう。
バセット・ハウンドの被毛
バセット・ハウンドは、「ダブルコート」の被毛を持ち、硬く短い毛の「オーバーコート(上毛)」と柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の2種類の被毛で覆われています。被毛のカラーは「トライカラー(黒と白と茶の3色)」「レモン&ホワイト」などがあります。
被毛の手入れは比較的簡単で、汚れた時は、固く絞ったタオルで拭く程度で良いでしょう。
また、年に2回の換毛期があり、その間は沢山の毛が抜けるため、犬アレルギーの人がいる家での飼育はあまりお勧めできません。
定期的なブラッシングをすることが望ましいですが、換毛期を迎えた時には、よりこまめにブラッシングをするようにし、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。
バセット・ハウンドがかかりやすい病気
バセット・ハウンドを飼育するにあたり、多く発症するのが「椎間板ヘルニア」です。バセット・ハウンドのような胴長の犬種は背骨に負担がかかりやすく、肥満になると、脊椎を支える筋肉が貧弱になり、ヘルニアを起こす確率が増えるのです。
要するに、バセット・ハウンドにとって、一番気を付けなければいけないのが肥満であり、この犬種にとって、肥満は体型的にも大問題となります。
また、高齢による「変性性脊髄症」にかかると、発症より三年で死に至る場合もあるとされています。
そして、バセット・ハウンドの耳は垂れ耳で、立ち耳の犬種に比べ通気性が良くないため、耳の中が蒸れたり、カビや雑菌などが繁殖しやすく、「外耳炎」などの原因となります。
暑い夏や湿気が多い季節は特に気を付けて、こまめな耳掃除が必要です。
最後に、「第三眼瞼腺逸脱」も注意するべき病気であると言えます。「第三眼瞼腺逸脱」とは簡単にいえば、チェリーアイのことです。涙を作る役割を持つ第三眼瞼腺が、瞬膜の縁を越えて外へ飛び出してしまい、炎症を起こし、結膜炎や角膜炎を引き起こすこともあります。
目を気にして擦ったり、瞬きの回数が増えたり、眩しくないのに目をショボショボするようになったら動物病院へ行き、診察を受けましょう。
大型犬に筆頭する体重のバセット・ハウンド
バセット・ハウンドは中型犬に分類されますが、体重は20kg前後ほど、場合によっては大型犬に筆頭するほどの体重のバセット・ハウンドも存在します。そのため、しっかりとした健康管理・体重管理は必須となるでしょう。
体重があまりに重くなってしまうと、歩くどころか、立ち上がるのも容易ではなくなるため、適正体重を保つことは、バセット・ハウンドにとって重要なポイントとなります。肥満になってしまうと、より運動も行えなくなり、肥満になっていく一方となってしまいます。
また、バセット・ハウンドはヘルニアを引き起こしやすい犬種でもありますので、日常生活でも常に足腰に配慮した環境が必要になります。肥満体型にならないよう、毎日の食事管理には十分に注意し、適度な運動を行うようにしましょう。
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バセット・ハウンドの運動量
バセット・ハウンドは、多くの運動量を必要としない犬種です。ただし、前述のように、体重は大型犬並みにある犬種ですので、しっかりとした足腰を作ることが必要になります。
年齢を重ねていくと難しくなってしまいますが、子犬〜若年の頃から足腰をしっかりと鍛えるためにも、しっかりと散歩をして、丈夫な足腰を作っていくことを心がけていきましょう。
足腰が弱いと、高齢になってから体を支えることが難しくなってしまい、ヘルニアを引き起こす要因にもなってしまいます。体重の管理も重要ですが、丈夫な足腰を作ることも大事です。
ただし、あまり激しい運動は避けるようにしましょう。1日1時間程度の運動量でかまいませんので、毎日歩く習慣や、動き回る習慣をつけるようにしましょう。
バセット・ハウンドのブリーダー
バセット・ハウンドは、日本国内では比較的珍しい犬種になりますので、ペットショップなどで見かける機会もそうありません。バセット・ハウンドを迎え入れる際には、ブリーダーからの直販という形が一般的となるでしょう。
バセット・ハウンドのブリーダーに関しては、関東に存在するブリーダーのみとなるようですが、出張可能ではありますので、探すのは難しくはないでしょう。ただし、犬舎を見たいとなると、直接関東に向かう必要があります。
バセット・ハウンドの価格に関しては20万円〜30万円といったところ。高くとも30万円をやや超える程度ではあるでしょう。なお、毛色や血統によっても若干、価格も変わってきますので、ある程度、知識を付けてから探すほうが良いかもしれませんね。
バセット・ハウンドと暮らすために
バセット・ハウンドといえば、たるんだ皮膚を持ちますが、たるんだ皮膚のシワは通気性が良くないため、雑菌や細菌が繁殖しやすくなっており、皮膚炎の原因にもなりますので、こまめに皮膚のシワを拭いてあげて、常時清潔な体を保ちましょう。
また、基本的には、無駄吠えが少ないバセット・ハウンドですが、吠え声が重低音で響く声質のため、集合住宅では近所迷惑にならないよう、注意をする必要があります。
バセット・ハウンドは床まで着くほど長く垂れ下がった耳を持つため、歩くと、自分の短い前足で自分の耳を踏んづけてしまうことも多々あります。その仕草が何とも可愛らしいのですが、散歩中に雨で道路が泥濘んでいる時は最悪です。そんな時のために、「スヌード(人間でいうヘアーバンド)」はお勧めです。
スヌードも、幼少期から慣らせておけば嫌がりません。今は、色々な色や柄も出ているので、オシャレ感覚で楽しめます。オシャレなスヌードを付けて、一緒に散歩に出かけるのもいいですね。
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