「バセンジー」という犬の特徴や性質、飼育する上で気をつけなければいけない事はどのような事でしょうか?「バセンジー」と一緒に暮らすために、知っておいた方が良いことを、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
バセンジーとは
吠えない犬として定評があるバセンジーは、欧米では「人類にとって理想の犬」とも言われているようです。また、吠えない他に、綺麗好きなところや、見知らぬ人には素っ気ないところは、まるで猫のような性格でもあります。あの動物研究家のムツゴロウさん曰く、「バセンジーは、1/3が犬、1/3が猫、1/3が猿」とも述べているようです。
犬のようでも、猫のようでも、猿のようでもあるバセンジーとは一体、どんな犬種なのでしょうか。
バセンジーのルーツ
バセンジーは、紀元前から存在している、とても古い犬種であると考えられており、古代エジプトの美術品や壁画などにも描かれていたり、ファラオにバセンジーを献上したという記録も残されています。
1895年、イギリスの探検隊が中央アフリカの奥地であるコンゴに分け入った際に、この地域で野性的な生活をしていたピグミー族に、狩猟犬として飼育されていたバセンジーを発見しました。この地域では、狩猟犬として優れていたバセンジーは、「コンゴ・テリア」や「コンゴ・ドッグ」とも呼ばれていたようです。
バセンジーは他の狩猟犬とは違って吠え声を出さないため、狩猟をする際は首に木製の鈴が付けられ、ハンターはその鈴の音を頼りにバセンジーを追っていたと言われています。
19世紀後半、バセンジーは何度もイギリスへ持ち込まれようとしましたが、この頃、未知の伝染病と言われていたジステンパーに多くのバセンジーが感染し、全頭が死亡してしまったために失敗に終わりました。
その後もようやく渡航に成功したものの、バセンジーは他の犬種と発情事情が異なり、年に1度しか発情しないため、なかなか繁殖もうまくいかなかったようです。それからは徐々にではありますが、1930年代になってから、イギリスで数を増やし、国外へ持ち込まれるようになりました。
バセンジーの性格
バセンジーは、飼い主さんや家族に対して愛情深く、とても甘えん坊ですが、見知らぬ人や犬に対しては、強い警戒心を持ち、攻撃的になることがありますので、幼少期から家族以外の人や犬に会わせるなど、様々な環境に慣らせておくと良いでしょう。
実は、独立心があり、頑固な性格を持ち合わせているバセンジー。狩猟犬としての資質もありますので、好奇心旺盛で気が強く、活発なところがあり、まるでテリア種のようだとも言われています。
幼少期から散歩で他の犬に出会うようにしたり、ドッグランに連れて行く習慣を付けると、コミュニケーションを取るのが上手な子に育っていきますので、外が楽しいところだと言う認識を付けるようにすると良いでしょう。
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バセンジーのしつけについて
バセンジーは頭が良い犬種なのですが、少々ワガママになる傾向があり、しつけに関しては多少時間がかかることもあるかもしれません。途中で諦めず、飼い主さんがリーダーシップを取るようにして、根気良くしつけていく必要があります。
また、バセンジーは綺麗好きなところがあり、自分の寝床などがオシッコなどで汚れることをとても嫌がります。
このような性格の子のトイレのしつけは、早く覚えることが多いので、比較的楽でしょう。自分に付いた臭いが気になり、しきりに舐めて臭いを消そうとしたり、自分から風呂場へ行って、飼い主さんにシャワーを催促することもあるようですよ。
頭の良い犬種なので、しつけが入ってしまえば飼いやすい犬種にはなりますが、バセンジーと飼い主さんとの絆が強くなるまでは、少々苦戦する場合もあるかもしれませんね。
バセンジーは吠えない犬?
額にシワを寄せた困った顔がチャーミングなバセンジーは、とても表情が豊かです。基本的に、犬は吠えることで何かを伝えようとしますが、バセンジーはあまり吠えることが少ないと言われる犬種ですので、このように表情で愛犬の意思を汲み取ってあげることが大切です。
しかし、バセンジーもやはり犬。吠えない犬とは言われますが、当然、犬なので全く吠えないわけではありません。そんなバセンジーですが、たまにヨーデルのような声で鳴くことがあるんですよ。
バセンジーの表情から何を求めているかを汲み取るのは、ある程度の期間を一緒に過ごしていなければわかりません。表情を汲み取るようになれる頃には、バセンジーと飼い主さんとの間にしっかりとした絆が生まれていることでしょう。そのためには、日頃からのコミュニケーションが大事になるのです。
バセンジーは抜け毛が多い?少ない?
アフリカのような暖かい気候の原産であるバセンジーは、「シングルコート」という被毛を持ち、寒さから体を守るアンダーコートを持ち合わせていませんので、寒さには弱い犬種です。
また、バセンジーは短毛種の犬ですが、柴犬などの同じ短毛種の犬種と比べると比較的、抜け毛が少ない犬種と言えるでしょう。そのため、手入れや掃除は楽な犬種です。
とはいえ、最低限のお手入れは必要になります。バセンジーのブラッシングに関しては週に1回程度でも問題ありませんので、スキンシップも兼ねて、ラバーブラシなどでムダ毛のブラッシングや艶出しのためのブラッシングを行うようにしましょう。
不潔な状態になるのを嫌う犬種ですので、抜け毛が少ないからと行って被毛のケアを行わないのではなく、常に綺麗な状態を保てるようにケアしてあげるのが大事です。
バセンジーの被毛
バセンジーの被毛のカラーは、「ブラック&タン&ホワイト」「ブラック&ホワイト」「レッド&ホワイト」「ブリンドル」「ブラック」「タン&ホワイト」などがあり、足と胸、尻尾の先端にホワイトが入っています。
被毛の質は非常に滑らかな毛質で、きれい好きなバセンジーは自分の被毛についている汚れを、猫のように舐めて毛づくろいを行う習性もあります。そのためか、バセンジーは体臭が少ないとも言われており、抜け毛も比較的少ないことから、室内飼いに向いている犬種と言えるかもしれません。
また、アフリカ生まれのバセンジーは寒さに弱い犬種ですので、冬には洋服を着せてあげるなどのケアも大事になります。お腹が弱めな犬種でもありますので、お腹周りは特に冷えないよう、便の状態と合わせてケアしてあげましょう。
バセンジーはどのくらいの大きさ?
バセンジーの大きさは、体高がおおよそ43cmほど、体重がおおよそ11kgほどの犬種です。四肢は長めで筋肉質、バランスの整った体型をしている犬種でもあります。
体はそんなに大きくないのですが、活発なところがありますので、1日1時間程度の散歩をするなど、多めの運動量が必要です。バセンジーに限らず、犬は運動量が少ないと、ストレスが溜まり、噛んだり、物を壊すなど、犬特有の問題行動を引き起こすことがありますので注意しましょう。
また、本来の狩猟犬としての気質が強く、散歩で猫や鳥などを見掛けた際は、全力で追っかけることがありますので、散歩中はリードを離さないようにしましょう。
飼い主さんがある程度コントロールすることは大事ですが、本能的な部分はなかなか制御するのが難しいところではあります。こうした習性もしっかりと理解し、事前に回避するのも飼い主さんの努めとなるでしょう。
バセンジーがかかりやすい病気
【ファンコニー症候群】
ファンコニー症候群とは、腎臓の尿細管と呼ばれる組織の機能が動かなくなってしまう腎臓の病気で、バセンジーが好発犬種とされていることから、遺伝的な要因で発症しやすいと考えられています。
異常な量の多飲多尿であったり、尿が薄い、脱水や失禁のような症状から始まり、徐々に進行すると、体重減少、元気消失という様子が見られますので、このような症状が起きたら、病院での診察が必要になります。しかし、実際にファンコニー症候群を診察できる病院が少ないようなので、バセンジーを飼育する際は、この病気の他にも、バセンジーの遺伝的疾患を診察できる病院を予め探しておくと良いでしょう。
【バセンジー腸疾患】
バセンジー腸疾患とは、食べ物に含まれるタンパク質やアレルギー物質、細菌やウィルスなどが原因で、腸にアレルギー反応を引き起こしてしまう腸の病気です。腸が傷付いてしまい、栄養や水分をうまく吸収できなくなってしまうため、下痢や嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状が見られます。
予防については、アレルギーが原因になるような物質を排除したり、愛犬の体に合ったドッグフードを選んだり、細菌やウィルスが繁殖しないよう、まめに掃除して生活環境を整えてあげることが大切です。
バセンジーの値段はいくらくらい?
バセンジーは比較的、日本でも珍しい犬種になりますので、ペットショップでも扱っている所は少ない犬種と言えるでしょう。そのため、バセンジーを迎え入れる際にはブリーダーからの直販という形になるでしょう。
とはいっても、バセンジーのブリーダー自体もやや少なめ。通常、犬の発情は、年に2回ありますが、バセンジーの場合、発情が年に1度しかありません。このような発情事情が原因で、バセンジーを繁殖している人が少なく、未だ登録頭数が少ないのかもしれませんね。
価格の相場に関しも安定しておりませんが、珍しい犬種ということで20万円前後と考えていたほうが良いかもしれません。中には10万円を切る価格で販売されているバセンジーもいるようですが、月齢のタイミングなどで価格も大きく変わるでしょう。
バセンジーと暮らすために
バセンジーと暮らすためには、バセンジーの特徴についてしっかりと理解することが大事です。
例えば、バセンジーの耳は、獲物を感知する以外にも、体内の熱を放散する役割があるため、他の犬種よりも比較的暑さに強いと言われます。アフリカのような暑い気候に対応するために、このように適応していったのでしょうね。
とは言っても、やはり真夏の炎天下での散歩は熱中症を引き起こすこともありますので、散歩など外出する際には涼しくなってから出掛けましょう。また、逆に寒さには弱い犬種なので、冬の散歩には上着を着せるなど、十分な寒さ対策をしてあげる必要があります。
なかなか散歩中にもバセンジーを飼っている人に会う機会も少ないと思いますが、同じ犬種同士の悩みを共有し合えるよう、しっかりとバセンジーについて理解し、バセンジーを飼っている人を見かけたら積極的にお友達になってみると良いかもしれませんよ。
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