猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「アメリカンカール」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
アメリカンカールとは
アメリカンカールといえば、くるんと後ろ向きにカールした耳を持つ猫で、性格もユニークな見た目の通り愛嬌があって、初心者の方でも飼育しやすい猫です。
アメリカンカールは、大人になっても、甘えん坊で子供のようなところがあり、「ピーターパンキャット」と呼ばれています。人が大好きで体全体で甘えてくる姿を見ると、「このまま大人にならないで!」と思ってしまいそうですね。
アメリカンカールのルーツ
アメリカンカールのルーツは、1981年にアメリカのカリフォルニアのルーガ夫妻の元に迷い込んだ猫であると言われています。ルーガ夫妻は、耳が大きくカールした長毛の黒い猫を「シュラミス(黒い美人)」と名付けました。
ルーガ夫妻はこの耳に特徴ある美しい被毛の猫に惹かれ、交配を始めたところ、4頭生まれたうちの2頭の耳がカールされていたため、この耳は遺伝性であることが分かり、1983年に愛好家やブリーダーによってアメリカンカールの品種確立を目指し、計画繁殖が始まりました。
その後、1991年にはアメリカの猫登録団体「CFA」に公認されることとなり、アメリカンカールは、原産国のアメリカでは異例のスピードで新猫種として確立されました。現在のアメリカンカールは全て、このシュラミスの子孫であると言われています。
アメリカンカールと「短毛種」の登場
アメリカンカールの被毛には、短毛タイプと長毛タイプ存在しており、今となっては珍しくはなくなったものの、アメリカンカールに短毛種・長毛種それぞれが存在すると認められる以前では、他の猫種で認められることはありませんでした。
アメリカンカールのルーツとなったシュラミスは、長毛種のアメリカンカールでしたが、この時点では短毛種は存在していませんでした。短毛種のアメリカンカールは、シュラミスから誕生した「メルセデス」がルーツとなっており、後に短毛種のアメリカンカールが作出されたのです。
アメリカンカールが初めて、異なるコートを持つ猫種と認められてからは、他の猫種においても、同じ猫種で短毛種・長毛種が存在すると認められるようになったため、アメリカンカールが新たな歴史を切り開いたと言っても過言ではないでしょう。
アメリカンカールとアメリカンショートヘアの違いは?
アメリカンカールと言う名前を聞くと、「アメリカン・ショートヘアー」の耳が反り返った亜種と思われるかもしれませんが、前述の通り、アメリカンカールはアメリカン・ショートヘアーとは何の関係もなく、アメリカで誕生した、耳がカールした猫と言った意味で、アメリカンカールと名付けられています。
アメリカンカールと、アメリカン・ショートヘアーが混同されるもう一つの要因には、その毛色も関係しているのかもしれませんね。後述にもありますが、アメリカンカールは全ての毛色が認められており、中でも人気が高いのがシルバータビー等の毛色です。
一方、アメリカン・ショートヘアーに関しても、全ての毛色が認められており、人気が高いのがシルバークラシックタビーの毛色。
見る人が見れば、ボディタイプなども違うので全く別と分かりますが、初めて見る人にとっては、耳以外の違いを見つけるのも大変かもしれませんね。
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アメリカンカールの性格
好奇心旺盛で明るい性格のアメリカンカールは、犬のようなところがあり、とても愛情深く、人に寄り添い、人と遊ぶことがとにかく大好きです。また、利口で賢く躾も楽です。あまり強く言い聞かせなくても理解できるでしょう。
アメリカンカールは、甘えん坊なところもありますが、自立心も持ち合わせていますので、留守番も上手にできるでしょう。しかし、同時に寂しがり屋で我慢強いところもあるため、あまり留守番が多いと、我慢をしてストレスを溜めることもあります。
留守がちの家庭では、多頭飼いをして、留守番仲間を作ってあげるのも良いかもしれませんね。
アメリカンカールの「短毛」と「長毛」の手入れについて
短毛タイプと長毛タイプが存在するアメリカンカール。もちろん、それぞれのタイプによっても、被毛の特徴やお手入れの仕方も変わってきます。
短毛タイプのアメリカンカールは、短く厚く密生した「ダブルコート」の被毛を持ちます。被毛の手入れは基本的には楽で、1日1回スキンシップも兼ねて、ブラッシングしてあげるのが良いでしょう。
長毛タイプのアメリカンカールは、絹のような触り心地の良い「シングルコート」の被毛を持ちます。また、僅かに生えそろった短めのアンダーコートを持つダブルコートのアメリカンカールもいます。長さはセミロングからロングまで様々です。
長毛タイプは、ブラッシングを怠ると毛玉になりやすいため、毛球症(毛繕いの際に、飲み込んだ自分の体毛が消化器官内に留まり、吐くことも排便することもできなくなる状態)や皮膚病の予防のためにも、しっかりと毎日ブラッシングするようにし、抜け毛を取り除いてあげましょう。
様々なアメリカンカールの毛色
アメリカンカールの被毛は、「ブラック」「ホワイト」「レッド」「シルバータビー」「クリームタビー」など、基本的に全ての毛色が認められています。中でも人気のある毛色は、アメリカン・ショートヘアと同じく、「シルバー・クラシックタビー」でしょう。
「タビー」とは縞模様や斑点模様の事を指しており、シルバー以外のカラーでもタビーが入っている毛色は特に人気が高い毛色になっています。
アメリカンカールは、しっかりとした繁殖が始まってからはまだ歴史も浅く、遺伝性疾患が生まれる可能性は否定できません。そのため、アメリカンカールを健全な品種とするためにも、今は遺伝子プールを広げる目的で、雑種猫との交配も認められているのです。こうして、様々な毛色を持つアメリカンカールが誕生しているわけです。
アメリカンカールの体重はどのくらい?
アメリカンカールの平均的な体重は、おおよそ3kg〜5kgといったところ。ボディタイプは、筋肉質でボディはやや短く、頭部は丸みがあるくさび形をした「セミフォーリンタイプ」となっています。
セミフォーリンタイプの猫種には、アメリカンカール以外にもトンキニーズやエジプシャンマウ、スフィンクスと言った猫種がいます。一方、前述でも出てきたアメリカン・ショートヘアーのボディタイプは「セミコビータイプ」。
セミコビータイプは、スコティッシュフォールドやブリティッシュ・ショートヘアーといった猫種がおり、特徴としては肩や腰の幅が広いガッシリとした体と、短めの尻尾と足先の丸みが特徴です。
アメリカンカールくらいの体重ですと、日本で飼育するにも適したサイズであるため、アメリカン・ショートヘアー同様に、日本でもアメリカンカールは人気の品種となっています。
アメリカンカールの耳
アメリカンカールの子猫は、生まれたばかりの時は普通の耳で、生後2~10日くらいで耳に軟骨が入り、先端がカールしていきます。生後4ヶ月くらいまでは安定せず、それまでは耳のカール具合は、立ち耳に戻ったり、カールされたり頻繁に変化します。
また、アメリカンカールの耳がカールされる確立は、全体の50%と言われており、当然立ち耳のままの子も多く存在します。
同じ耳に特徴のあるスコティッシュフォールドは、遺伝性疾患が多いことで知られていますが、アメリカンカールは疾患を持って生まれる確立が低いとされています。これはシュラミスのように、アメリカの土着猫だったアメリカンカールは多様な遺伝子を持つため、純血猫としてはとても頑丈とされているからです。
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アメリカンカールを飼育する上で気を付けること
アメリカンカールは、様々な猫種と交配が行われているので、今のところ遺伝性疾患はなく、健康で丈夫な子が多いようです。
しかし、特徴的な耳を触り過ぎると耳の軟骨を傷付けてしまうこともありますので、むやみに触るのはやめましょう。
また、この特徴的な耳の構造のせいで、外耳炎を発症することもあるようなので、暑い夏や湿気が多い季節は特に気を付けて、こまめな耳掃除が必要です。
アメリカンカールの販売価格はどのくらい?
アメリカンカールは、日本でも人気の高い品種ですので、ペットショップなどでも見かける機会も多いことでしょう。アメリカンカールの平均価格は、おおよそ15万円前後といったところ。高くとも30万ほどとなっています。
また、月齢によっては価格も落ちている事もあり、7万〜8万で販売されていることもあるでしょう。人気の品種ですので、探すのには苦労しないと思いますが、お目当ての毛色を探すとなると、ペットショップよりもブリーダー直販で探してみたほうが効率が良いかもしれません。
また、ブリーダー直販で迎え入れる際には、親の情報などもすぐに確認できますので、病気に関してのリサーチや、飼育の仕方についてのアドバイスなども得られやすいのでおすすめです。
アメリカンカールと暮らすために
アメリカンカールは、遊び好きであり、大型種類ではないものの運動量がやや多いため、上下運動ができるようなキャットタワーなどを置いてあげると良いでしょう。
また、飼い主さんや家族と遊ぶことが大好きなので、スキンシップも兼ねて、「猫じゃらし」や「ボール」などで遊んであげるととても喜びます。
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