犬の種類には様々な特徴や気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「アラスカン・マラミュート」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
アラスカン・マラミュートとシベリアン・ハスキーの違い
アラスカン・マラミュートと言えば、一見オオカミのような風貌でクールなイメージがあり、シベリアン・ハスキーとそっくりで見分けが付かない方も多いのではないでしょうか。両者とも、古くから「そり」を引く犬として、人間と共に生活してきた犬種です。
見た目はそっくりですが、体重15~25kgのハスキーに対して、体重25~35kgと、一回り大きいのがマラミュートで、そり犬の中では一番大きい犬種と言われています。
目の色に関しては、両方ともダークカラーですが、ブルーやバイカラーの色も認められているハスキーに対し、マラミュートはダークカラー一色のみです。そして、尻尾に関しては、垂れ下がった尻尾のハスキーに対し、日本犬ほどではありませんが、マラミュートは軽く巻き上がっています。
アラスカン・マラミュートとシベリアン・ハスキーの「耳」にも注目!
アラスカン・マラミュートとシベリアンハスキーの違いについては、両犬種の耳の付け位置にも違いが見られます。
シベリアン・ハスキーに関しては、両耳が近く、比較的高い場所に、中央寄りに前を向くように耳が付いているのに対し、アラスカン・マラミュートの両耳は離れており、比較的低い位置に、外を向くように耳が付いています。
両犬種とも系統が「スピッツ」であるため、非常によく似た外見をしていますが、このように耳の付き方が違ったり、大きさが違ったりと、実は相違点もたくさんあるんです。このように一見見分けが付きにくい犬種かもしれませんが、じっくり観察すると、様々な違いが見えて面白いですね。
そんなアラスカン・マラミュートも、一時期は絶滅の危機もあった犬種なんです。
アラスカン・マラミュートのルーツ
アラスカン・マラミュートのルーツについては定かではありませんが、アラスカの北西部のノートン・サウンドで、エスキモーであるマラミュート族により飼育され、犬ぞりや漁業、アザラシやホッキョクグマなどの狩猟になくてはならない存在だったようです。
1869年、アラスカで金鉱が発見されてから、アラスカに多くの人が押し寄せるようになり、このような人々の娯楽として、犬を使った荷引きレースが開催されるようになりました。人々は、レースに勝てる犬を作ろうと、盛んに異種交配が行われ、一時期は純血のアラスカン・マラミュートが絶滅の危機に陥ることとなったのです。
その後の1920年頃、ニューイングランド・ドッグレースの愛好家が、数頭の素晴らしいアラスカン・マラミュートを見つけて保存運動が始まり、再び繁殖されるようになりました。第二次世界大戦では、寒さに強く力のあるアラスカン・マラミュートは重宝され、軍用犬として活躍していたようです。
アラスカン・マラミュートの性格
とても優しく、飼い主さんや家族に対して従順なアラスカン・マラミュートは、集団行動を好む性格のため、子供や他の犬種、小動物などのペットまでも同じ家族と見なし、協調性を持って共に生活をすることができます。しかし、一方で家族以外の人や犬に対して警戒心を持つところがありますので、幼少期から様々な人や犬と接する機会を設けると良いでしょう。
アラスカン・マラミュートは独立心が強く、頑固な面があり、、自身が納得しなければ頑として従わないところがあります。そのため、しっかりと服従訓練をする必要がありますが、群れで暮らしてきたアラスカン・マラミュートの性質を生かし、飼い主さんが群れのリーダーとなって、一貫性を持って接することが大切です。
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アラスカン・マラミュートの被毛
アラスカン・マラミュートの被毛は、硬くて長めの「オーバーコート(上毛)」と柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の2種類のダブルコートで成り立っていて、この被毛はアラスカのような厳寒な地でも体を守るために役立っています。
また、アラスカン・マラミュートの被毛は、年に二回の換毛期があり、春と秋になると、とても毛が抜けやすくなりますので、こまめにブラッシングをして、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。
アラスカン・マラミュート被毛のカラーは、「ライトグレー」から「ブラック」までの黒系のカラーと、「セーブル」から「レッド」までの赤系のカラーがあり、単色は「ホワイト」のみになります。下腹や足先、顔にホワイトのマーキングやスポットが入り、アンダーコートにおける混色は認められています。
アラスカン・マラミュートを飼う際に気を付けたい注意点とは
アラスカン・マラミュートを飼育するにあたって、一番の問題は温度管理になるでしょう。
アラスカン・マラミュートは、極寒の天候でも耐えうる厚い被毛に覆われているため、寒さには強い反面、暑さにはとても弱い犬種です。日本の風土は高温多湿の気候であるため、アラスカン・マラミュートにとって日本の夏は、住みにくい環境とも言えるでしょう。
特に、炎天下での散歩や、真夏の車内に長時間置き去りにするなどの行為は、アラスカン・マラミュートの命にもかかわるものです。こうした行為は絶対に避けるよう、注意しましょう。
また、自宅内ではクーラー等の環境を整えるようにし、暑い夏を乗り切れるように工夫することが重要です。飼い主さんが思っている以上に、アラスカン・マラミュートの毛は熱を閉じ込めやすいので、温度管理には気を使うようにしましょう。
アラスカン・マラミュートがかかりやすい病気
【股関節形成不全】
股関節形成不全とは、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす病気です。
肥満体型は股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。
【胃捻転】
胃捻転とは、胃の内容物が発酵し、発生したガスで胃がパンパンになり、その胃が捻転してしまう病気で、主に大型犬に多く見られ、致死率も高い病気です。
ついさっきまで元気に走り回っていると思ったら、急にぐったりとし、早急に処置をしないと、最悪の場合死に至る可能性もあります。予防としては、食事の後しばらくは安静にさせることや、水のがぶ飲みは避けること、早食いさせない事など、十分に気を付けてあげましょう。
【白内障】
白内障とは、先天的・もしくは外傷や病気の併発による後天的な理由によって引き起こされ、眼球内にある水晶体が白く濁ってしまう目の病気です。白内障を発症すると、視力が低下するため、急な物音に驚いたり、壁伝いに歩いたり、物にぶつかって歩くといった行動が見られ、場合によっては失明してしまう場合があります。
アラスカン・マラミュートに必要不可欠な運動
アラスカン・マラミュートとよく似たシベリアン・ハスキーは、短距離疾走が得意なのに比べ、長距離疾走を可能とする強靭な体力と、持久力を持つアラスカン・マラミュート。
犬ぞりで活躍していただけあって、アラスカン・マラミュートは運動量を多くとる必要がある犬種なのです。運動不足になってしまうとストレスが溜まってしまい、噛む・吠える・物を破壊するなど、様々な問題行動を起こしてしまう場合もあります。
そのため、アラスカン・マラミュートを飼育する際には、ストレスが溜まらないような生活を送らせる必要があり、十分な運動をさせてあげなければいけないのです。これは大型犬全般に言えることですが、大型の犬種は多くの運動を必要としますので、飼い主さんもそれなりの覚悟、それなりの時間を犬に費やす必要があります。
ソリ犬だったアラスカン・マラミュートの運動量は?
では、アラスカン・マラミュートに必要な運動量は、どの程度なのでしょうか。さすがに簡単には、犬ぞりを行うこともできませんので、日常生活で行える運動を考える必要があります。
基本的には、毎日2~3回、それぞれ1時間程度の散歩が理想的となります。さらに、毎日の散歩以外にも、自由に運動ができるような広い庭や、ドッグランで走らせる事も大事になってきます。この他、水の中を思いっきり泳がせるなどして、アラスカン・マラミュートの運動欲求を満たしてあげる事が大切です。
このように、アラスカン・マラミュートは非常に多くの運動量を必要としますが、運動不足になり、ストレスが溜まることで、問題行動を起こしてしまう場合もある反面、毎日このように運動を共に行えれば、従順な性格を持つ犬種なので、信頼も大きくなり、かけがえのないパートナーとなる犬種でもあるのです。
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気になるアラスカン・マラミュートの価格とは?
アラスカン・マラミュートを実際に迎え入れようと、ペットショップに探しに行っても、見つからない事がほとんどでしょう。国内ではアラスカン・マラミュートのブリーダーも限られるため、一般的には流通している犬種ではありません。
そのため、相場に関しても変動が大きく、一概に価格があるわけではありませんが、おおよそ20万円以上と考えていたほうが良いでしょう。とはいえ、20万円というのも最低価格のライン。50万を越えてもおかしくはないでしょう。
アラスカン・マラミュートを迎え入れるのであれば、ブリーダーと直接やりとりするか、ペットショップとやり取りがある、アラスカン・マラミュートのブリーダーがいるようであれば、ペットショップに購入の意思を伝えると言った方法しかないでしょう。
一般のルートでは手に入る犬種ではないので、飼育するハードルも高いですが、購入するハードルも高い犬種でもあります。
アラスカン・マラミュートと暮らすために
利口で優しく穏やかなアラスカン・マラミュートの性格は、そもそも家族に従順で、人に危害を加えるような性格ではありません。しかし、運動不足などによってストレスが溜まってしまうことで凶暴化してしまい、手が付けられなくなることもあります。
そのならないためにも、幼少期から主従関係を作り、飼い主さんがリーダーであることをしっかりと認識させることが重要です。
この時、ただ厳しいだけのしつけではなく、運動や遊びなどを取り入れ、アラスカン・マラミュートとスキンシップを計りながら、「愛情」と「厳しさ」の、メリハリのあるしつけをすることが大切となってきます。
飼育が大変な分、アラスカン・マラミュートは愛情を返してくれる賢い犬種です。しっかりと時間を取って向き合いながら、大切に育ててあげるようにしましょう。
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