猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は猫種の一つ「アビシニアン」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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アビシニアンとは

アビシニアンといえば、しなやかで筋肉質な体とゴールドに光り輝く被毛で覆われ、細い足でつま先立ちをするエレガントな立ち姿は「バレエキャット」と呼ばれており、とても繊細で美しく鳴く声は「まるで鈴を転がしたようだ」とも言われています。

また、優雅で野性的である外見とは裏腹に、とてつもなく愛情深く甘えん坊さんです。いつでもどこでもスリスリしてくるアビシニアンなので、思いっきり愛情を注ぎたい人にはピッタリの猫であると言えるでしょう。

アビシニアンのルーツ


アビシニアンは、約4000年前の古代エジプトの壁画や彫刻に描かれた「聖なる猫」であるという説があり、「イエネコ」の中では最も古い猫と考えられています。
1868年、イギリスとアビシニア(現在のエチオピア)での戦争で、イギリス兵が帰還する際に持ち帰った「ズーラ」という猫がアビシニアンの始まりとされています。

その後、ブリティッシュ・ショートヘアなどの短毛種との交配を重ね、外見や色などが改良され、現在のアビシニアンの姿となりました。1871年に、イギリスで行われたキャットショーに初めて出陳し、1882年には、イギリスの猫血統登録団体「GCCF」で正式に公認となりました。

そして、戦争で絶滅の危機に瀕しながらも、ブリーダーの懸命な努力の甲斐あってこの危機を脱出し、第一次世界大戦中の1917年に北アメリカの猫血統登録団体「CFA」で公認されました。
日本で最初に登録されたのは1964年と言われています。

アビシニアンのルーツはエチオピア?イギリス?

アビシニアンの原産国を説明する時には、エチオピアなのか、イギリスなのかと悩まされるところです。前述の通り、アビシニアンは1868年の戦争時にイギリスへと持ち込まれた猫であるため、エチオピア、もしくはエジプトが原産と考えるのが一般的であります。

また、こうした事実は1874年に出版された本にも記載があり、アビシニアンが当時では珍しい猫であるという紹介とともに記載されていたことにも基づいたものなのです。

しかし、一方ではブリティッシュ・ショートヘアとの交配によって、現在のアビシニアンが誕生したという考え方もあるため、イギリスを原産とする考え方もあるのです。この場合、イギリスに持ち込まれた猫は「アビシニアン」ではなく、東南アジアを原産とするティックドタビーの猫という解釈になるようです。

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アビシニアンの性格

アビシニアンは、「犬」のようなところがあると言われており、遊び好きで運動神経抜群、人とコミュニケーションを取るのが大好きで、犬のようにボール投げや芸ができたり、名前を呼べば飛んでくる犬のような忠誠心もあります。また、「ツンデレ」という言葉とは程遠いくらいの甘えん坊で、猫は「自由気まま」な生き物であるという常識を覆してくれるでしょう。

アビシニアンは、利口で賢く、物覚えも早いのですが、好奇心も旺盛で、賢いがゆえ、イタズラも盛んで、ありとあらゆるイタズラを考えるところがあります。

しかし、賢いだけに繊細なとこもあり、強く叱り過ぎたり、体罰を与えると、トラウマになるという事もあるため、アビシニアンのように人が大好きという子は、厳しい躾よりも寧ろ無視をされることが一番堪えるといいます。

本人が悪いことをしたと実感を持っているなら、目を合わさず様子を見てみましょう。

アビシニアンの運動量


見た目からしても活発そうなアビシニアン。見た目のとおり、アビシニアンは非常に活発で好奇心旺盛な猫種として知られます。

そんなアビシニアンを自宅で飼育していると、遊びたくて色々な場所へと探検したり、走り回ったりと言った姿が見られるでしょう。アビシニアンを飼育する際には、ある程度、アビシニアンの好奇心を満たせるような環境でなければ、すぐにストレスが溜まってしまうことでしょう。

そのため、キャットタワーは必須のアイテムと言えます。また、出来れば窓際や高いところで落ち着けるような場所を用意してあげましょう。高いところから様子をじっと見るのが好きな猫でもあるので、こうした環境を作ってあげることで、好奇心を満たすことも可能となります。

アビシニアンの被毛

アビシニアンの特徴である「ティックドタビー」と言われる被毛は、1本の毛から2~6色の濃淡のグラデーションカラーになっており、太陽の光でキラキラ輝いてるように見えます。また、額にはM字のタビー(縞模様)が入っているのもアビシニアンの特徴です。

被毛の手入れは比較的楽で、スキンシップも兼ねて、1日1回ブラッシングをしてあげるのが良いでしょう。
アビシニアンの被毛のカラーは、「ルディ」「レッド」「フォーン」「「ブルー」などがあります。

アビシニアンとソマリ


アビシニアンと見た目がよく似ている猫種に「ソマリ」が挙げられます。ソマリは公認となってからまだまだ日も浅く、1978年に公認となった猫。歴史を遡ってみると、1963年にカナダで開催されていたキャットショーで、長毛のアビシニアンとして出陳されたのが最初でした。

アビシニアンとソマリは似ているのではなく、元々はアビシニアンであるのです。ソマリは、元々アビシニアンを繁殖する際に、稀に誕生していた長毛のアビシニアンでした。この長毛のアビシニアンを定着させるため、計画繁殖させて誕生させたのがソマリなのです。

そのため、ソマリの性格や気質、体格などに関してはアビシニアンと同じで、違う点と言えば被毛の長さだけなのです。

アビシニアンとソマリの子猫


では、アビシニアンとソマリの子はどのような風にして分けられるのでしょうか。

実は、子猫のタイミングではアビシニアンなのか、ソマリなのかも判断しにくいため、ある程度被毛が生えてきてからでなければ、確実にソマリだとは判断しかねるのです。この判断は、アビシニアンのブリーダーでも難しいのだそうです。

猫登録団体のTICAでも、アビシニアンとソマリの違いは毛の長さだけで判断されているため、単純に被毛が長ければソマリ、短毛種であればアビシニアンと判断しているようです。

アビシニアンから誕生しているソマリなので無理もありませんが、子猫の頃には全くの同じ姿をしているのです。ペットショップなどに出されているタイミングでは、すでに被毛も生え始めているためにアビシニアンなのか、ソマリなのかの判断はできますが、基本となるのはアビシニアンであると考えて良いでしょう。

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アビシニアンがかかりやすい病気

【進行性網膜萎縮】
網膜が萎縮して正常に働かなくなる遺伝子の病気です。まず、視力が低下して夜に目が見えなくなり、そのうち日中も見えなくなり、最終的には失明します。
動く物を目で追いきれなかったり、おもちゃで上手に遊べなくなったり、急に触れようとすると驚いたり、怯えたりなどというような症状があります。

前は見ていたはずなのに、最近見えにくい様子はないか、老化だろうと勝手に判断していないかなど、日頃から少しの変化にも注意して観察するのが大切です。

【アミロイドーシス】
アミロイドという水に溶けない異常なタンパク質が、様々な臓器や組織の中にある細胞と細胞の隙間に沈着することにより、内臓機能に障害を起こす病気です。猫が発症することは少ないのですが、アビシニアンは比較的発症することが多いとされています。

多飲多尿、食欲不振、体重減少、元気消失などの慢性腎不全の症状が見られたり、体が浮腫んだり、腹水といったネフローゼ症候群の症状も伴うことがあります。また、このアミロイドーシスが脾臓に付着した場合、糖尿病を引き起こすこともあります。

アビシニアンは暑さには強いが寒さには弱い

暑い気候のエチオピアで誕生したアビシニアンは、暑さには強い猫です。そのため、被毛も暑い気候に適した形となっています。しかし、寒さには弱いという点も挙げられます。

暑い気候に適応した被毛は、寒さには弱く、冬はもちろん、キンキンに冷えたエアコンの効いた部屋などに長時間いることは避けたいところです。夏場であれば、涼しい程度の気温に設定し、あまり部屋が冷えすぎないようにしてあげましょう。

また、冬には暖房以外にも、ブランケットやベットを用意してあげましょう。常に寒すぎるような環境は、体長を崩してしまいかねませんので、気温には注意するようにしましょう。

四季のある日本では、暑い季節もあれば寒い季節もあるため、体温調整が難しくなるタイミングもあります。出来る限り、同じくらいの温度で過ごせるよう、部屋の温度調節に意識しておきましょう。

アビシニアンと暮らすために

アビシニアンは、遊び好きであり、大型種類ではないものの運動量がやや多いため、上下運動ができるようなキャットタワーなどを置いてあげると良いでしょう。また、飼い主さんや家族と遊ぶことが大好きなので、スキンシップも兼ねて、「猫じゃらし」や「ボール」などで遊んであげるととても喜びます。

アビシニアンは、若い時はとにかく活発で、家の中を飛んだり跳ねたり、高いところへ登ったり、壁を駆け上がるなどは日常茶飯事で、家の中がひっちゃかめっちゃかになることも・・・。誤飲をするような危険なものや壊されたくないものは片付けておく必要があります。基本的に、高い場所に「手の届かない所」はありませんので、きちんと戸棚の中などに閉まっておきましょう。

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