猫の膝の「前十字靭帯断裂」とは、大腿骨と脛骨を繋ぐ靭帯が、何らかの理由によって断裂してしまう病気です。今回は、あなたの愛猫も他人事ではない、「前十字靭帯断裂」について、症状や治療法、予防や対策などを調べてみましょう。

膝の前十字靱帯断裂とは

猫の膝には、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(スネ)を繋ぐ太い靱帯が5つありますが、この中の1つである、膝の中で十字に交差している靱帯が「前十字靱帯」と言います。この前十字靱帯は、脛骨が大腿骨よりも前へ飛び出さないようにしたり、内側へねじらないようにする働きがあります。

そして、この前十字靱帯が、何らかが原因となって、部分的に切れてしまったり、完全に断裂してしまったことを「膝の前十字靱帯断裂」と言います。老化や肥満が原因となることが多く、発症すると後ろ足を上げた状態で歩いたり、引きずって歩くなどの症状が現れます。この病気は、犬では発症することが多いですが、猫の場合の発症例は比較的少ないようです。

とは言っても、高齢で肥満の猫ちゃんは、膝に負担をかけてしまうこともありますので、全くの無関係ということにはなりません。それでは、今回は、「膝の前十字靱帯断裂」について、症状や原因、対策などを解説していきましょう。

膝の前十字靱帯断裂の症状について

膝の前十字靱帯断裂の症状には、「急性断裂」と「慢性断裂」がありますが、「急性断裂」では、膝に痛みが伴うため、後ろ足を上げたままケンケンして歩いたり、後ろ足を地面に付けなくなったり、痛い方の足に体重をかけなくなるなどの様子が見られますが、数日すると痛みが引いてしまうことがあり、症状は一見落ち着いたように見えるでしょう。

しかし、症状は再発を繰り返すようになり、そのまま放って置くと慢性化して、部分的に切れていた靱帯(部分断裂)は、完全に断裂(完全断裂)してしまうこともあります。これを「慢性断裂」と言います。完全に前十字靱帯が断裂した場合は、足を引きずるような様子の他にも、立ったり座ったりなどの動作でさえ辛く見えるでしょう。

さらには、膝の半月板が損傷するなどして、激しい痛みが伴います。また、肥満気味の子は、「変形性骨関節症」を併発し、さらに症状が悪化することがあります。猫の場合は完全断裂が多い傾向にあり、その半数が「後十字靱帯」や「側副靱帯」など、他の靱帯の断裂も同時に引き起こしてしまっていることがあるようです。

変形性骨関節症とは

変形性骨関節症とは、関節が変形することで痛みが生じる病気で、何らかの疾患が原因で、二次的に発症することが多い病気です。例えば、「股関節形成不全」や「膝蓋骨脱臼」などの遺伝的な骨や関節の疾患、「前十字靱帯断裂」などの外傷性の関節の疾患、他にも老化や肥満が原因となって発症することもあります。

変形性骨関節症を発症すると、歩きたがらなくなったり、階段の昇り降りを避けたりといった様子が見られるようになります。また、足を引きずって歩く、座り方が不自然になるといった症状も現れます。こうした症状に合わせて、痛みや腫れも伴うようになります。

膝の前十字靱帯断裂の原因とは

前十字靱帯は、脛骨が大腿骨よりも前へ飛び出さないようにしたり、脛骨が内側へねじらないようにする働きがありますので、膝を勢いよく伸ばして膝に強い負荷がかかったり、激しく膝をねじったりすることで靱帯に損傷を受けます。例えば、高い所からの落下や事故や、走っている時に、急激なターンやダッシュを繰り返すことで発症することもあります。

その他にも、老化によって劣化した靱帯に急激な負荷がかかったり、肥満の場合も、膝関節に大きな負担がかかっていますので、膝の前十字靱帯断裂を引き起こしやすくなる原因となります。

膝の前十字靱帯断裂の治療について

膝の前十字靱帯断裂を発症した子の体重や年齢、症状や経過、普段の運動量によっても治療法が変わってきます。重症化してしまっている子や、内科的治療で改善されなかった場合は、外科手術で靱帯を再建する手術や、人工靱帯を関節の外に取り付ける手術など、症状に適した治療を行います。

症状が軽症な子や、外科手術に対応できないような高齢猫の場合は、痛み止めの鎮痛剤や抗炎症剤の投薬治療を行い、運動制限や体重制限をしながら、安静にして様子を見るという内科的治療が行われます。

膝の前十字靱帯断裂の予防と対策について

膝の前十字靱帯断裂の予防と対策に関しては、飛んだり、跳ねたりなどの激しい運動を避けることや、関節に負担をかけないために、肥満に気を付けるなどの愛猫の体重管理を行うことが大切です。また、フローリングのような滑る床は膝に負担がかかりますので、カーペットを敷くなどの生活環境を見直すことも飼い主さんの大事な役割となるでしょう。

愛猫のダイエットをするために、運動もさせてあげなければいけないのに、膝にも負担をかけさせないようにするなんて、飼い主さんにしてみたら無理難題な話ですよね。しかし、これに老化が加わると、膝の前十字靱帯断裂を発症する危険性も高くなってしまうのです。やはり、肥満は「百害あって一利なし」ということですね。普段から愛猫を肥満にさせないように、十分な健康管理を心掛けてあげましょうね。

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