ウィペットを飼う上で特徴や性質をきちんと理解し、飼育時はどのような事に気をつけなければならないでしょうか?今回は犬種の一つ「ウィペット」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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ウィペットとは

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ウィペットといえば、流線型の背中が美しい体型と、スラリと伸びた四本の脚には、引き締まった筋肉が付いており、とても優雅で上品な雰囲気を醸し出しています。

また、ダブルサスペンションギャロップ(前脚と後脚を揃えて動かし、背中をバネのようにして使う走り方)を可能にする、並外れた脚力も持ち合わせており、ドッグレースなどで走る速さは、最高で時速55キロものスピードで走るとも言われています。

こんなドッグレースなどでも大活躍なウィペットですが、気性は全然荒くなく、実はとても甘えん坊で寂しがり屋さんな犬種です。

温厚で従順な性格から家庭犬としても需要があり、ウィペットファンは今も増え続けています。

ウィペットのルーツ

ウィペットのルーツは、今から150年程前に小さめのグレーハウンドと、様々なテリアを交配させて作られた犬種と言われています。

当時、イギリスの貧しい農夫たちの間では、犬がウサギを仕留めるのを競う「スナップドッグ(噛み付き犬)」というギャンブルが流行していました。

そのため、俊敏なグレーハウンドと狩猟犬のテリアを交配し、獲物となるウサギを早く追い込むことができるウィペットを作り出しました。

その後、地方の労働者たちは産業革命の影響で、工業地域に移り住むようになりますが、そこでも、ウィペットは「ドッグレース」という賭け事として使用されるようになります。

このドッグレースのゴールにはボロ布が振られ、ウィペットたちはこのボロ布を目掛けて競争しました。

この様子は、まるで身分の高い人たちの娯楽である「競馬」のようだということから、ウィペットは「貧しい人たちの「競走馬」と呼ばれるようになったのです。

ウィペットという名前の由来は、「whipped(鞭犬)」と言い、まるで走る姿勢が、鞭に打たれて走る馬のようだと言われたことから、この名前が付けられました。

ウィペットは足の速さだけではない

ウィペットの足の速さを可能にしているのは、前述でも触れた「ダブルサスペンションギャロップ」を可能にする身体の構造です。

主に狩猟目的で活躍してきたほとんどサイトハウンド系の犬は、このダブルサスペンションギャロップと呼ばれる走り方をし、わずか数秒でトップスピードまで上げられる瞬発力を有しています。

ウィペットの祖先にもあたる「グレイハウンド」も同じく、ダブルサスペンションギャロップで走り抜ける俊足の犬種でしられ、その最高時速は70Kmにも及ぶといいます。

小型化の為にテリアと交配され、俊足と狩猟本能を活かして作出されたのがこのウィペットですが、その最高時速もグレイハウンド譲りの最高時速55kmを記録するだけでなく、視野角も250℃という広さ。

ウィペットは足の速さだけでなく、さすがはサイトハウンド(視覚ハウンド)と呼ばれるだけあり、遠くにいても「視覚」で獲物を捉えられる能力にも長けた犬なのです。

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ウィペットの運動量

ウサギなどを捕獲する狩猟犬としてや、ドッグレースの競争犬としても活躍してきたウィペット。

前項でもスピードだけでなく、その視野も優れていると説明してきましたが、もう一つの能力として、優れたスタミナを有している犬種という点も挙げられます。

サイトハウンド系の狩猟犬は、主に獲物を見つけて、そのスピードを利用して獲物を捕らえるというイメージもありますが、実はその獲物自体もスピードのある動物である場合が多かったのです。

そのため、必要とされてきたのは「スタミナ」です。獲物が走って逃げ、力尽きてスピードが落ちてくるまで追いかけることができるという、強靭なスタミナもウィペットは持ち合わせているのです。

ウィペットは非常に多くの運動量を必要としますので、ウィペットを飼育する際にはストレスがたまらないように、しっかりと長歩きの散歩と、まめにドッグランに連れて行くなどの飼育環境が望まれます。

ウィペットの性格


ウィペットは、とても大人しく、物静かで賢い性格の犬種で、無駄に吠えたり鳴いたりせず、飼い主さんの指示をじっと待つような従順な犬種です。

そのため、決して前へ出しゃばるようなことはしませんが、飼い主さんに気付いてもらえるまで遠くからひっそりと見ているタイプです。

また、子供に対してもとても穏やかに接することができる性格を持っています。

ところが、こんなに大人しいウィペットですが、外へ出ると途端に活発になります。

特に走ったり、追ったりすることに対しての集中力は、他の犬種に比べると、ずばぬけて長けています。

そんなウィペットですが、肉体的にも精神的にも繊細なところがあり、とても傷付きやすい一面もあります。

基本的に聞き分けが良い犬種なので、そこまで強く言わなくても理解できる犬種だと思いますので、激しく叱ったり、躾と称して乱暴に扱わないようにしましょう。

ウィペットの被毛

ウィペットの被毛は短くて硬く、とてもツヤツヤしています。

また、被毛のケアも短毛種のため、比較的簡単に行うことができるでしょう。

固く絞った蒸しタオルなどで体を拭いてあげるか、ゴムでできたラバーブラシなどでブラッシングする程度で良いので、定期的にケアしてあげましょう。

毛色に関しては、基本的に、

  • 「ブラック」
  • 「フォーン」
  • 「ブルー」
  • 「ブリンドル」
  • 「レッド」

などの毛色が多く見られますが、被毛のカラーに制限はなく、どんなカラーも認められています。

また、様々な色が混ざり合ったミックスでも良いとされています。

多種多様なカラーを楽しめるというのも、ウィペットの一つの魅力かもしれませんね。

ベストな首輪が見つけにくいウィペット

これはウィペットに限られた話ではありませんが、サイトハウンド系の犬種、サルーキやイタリアン・グレーハウンドなどは、一般的に販売されている首輪(カラー)が合わない場合がほとんどです。

これらの犬種は、首も細く、頭も小さいため、何かしらの反動でスポッと首輪が抜けてしまったり、思うような場所に首輪が付けられないという事があるのです。

そのため、一般的に販売されている首輪以外にも、サイトハウンド系の犬用の首輪も販売されています。
中でも、細く長い首に負担を減らす目的で「ハーフチョーク」タイプの首輪を利用している方も多かったり、太めの首輪を利用している方が多いようです。

なかなかピッタリ合う首輪が見つけにくいのが、ウィペット飼いとしての悩みのひとつでもあるんです。

ウィペットを飼うにあたって気を付けること

ウィペットは基本的に丈夫で、あまり死に至るような病気というのはありませんが、皮膚疾患には注意しましょう。

短毛で皮膚が薄いので、皮膚のトラブルは起こりやすいのです。

外出する際は洋服などを着せて、外の環境から皮膚を守ってあげると良いでしょう。

また、ウィペットは遺伝性の病気で「口蓋裂」があります。口蓋裂とは、上あごが生まれつき避けている病気で、子犬の頃はミルクを鼻から出してしまったり、成犬になっても上手に食事を摂ることができません。

ウィペットは元々は近親交配で作られた犬種なので、こういう遺伝子疾患は避けることができないのかもしれません。

ウィペットが貧血気味なら、遺伝子異常を疑うべき

ウィペットが好発しやすい遺伝子疾患の一つに「ホスホフルクトキナーゼ欠損症」と呼ばれる病気もあります。

このホスホフルクトキナーゼ欠損症は、血液中の赤血球が何らかの理由で破壊されてしまい、酸素が全身に行き渡らなくなってしまう病気で、運動障害や元気の喪失、食欲不振といった症状や、場合によっては呼吸困難に陥ってしまい、命を落としてしまう場合もあるものです。

玉ねぎやチョコレートを誤って食べてしまった場合に、中毒症状としてこのホスホフルクトキナーゼ欠損症が見られますが、遺伝子疾患で先天性である場合には、早期発見と、適切な処置が必要になってきます。

愛犬のウィペットが貧血気味であったり、元気がなかったりという様子が見られるようであれば、念のため病院で検査をすることをオススメします。

遺伝子異常によって異常な筋肉を持つウィペット

「ウィペット」で検索すると、何故か出てくる「筋肉」というワード。
確かに、ウィペットは筋肉質な犬種ですが、おそらくこのワードで検索されているのは、「ウェンディ」というメスのウィペットのこと。

このウェンディ、加工されたのではと思うほどの筋肉の持ち主で、通常のウィペットの体重で10kg前後のところ、ウェンディは筋肉の量も凄いために27kgもの体重があるようです。

しかし、この筋肉は遺伝子異常によるもの。

通常、体内には「ミオスタチン」と呼ばれる物質が作られ、筋肉の成長を抑制していますが、ウェンディはこのミオスタチンが体内で作られにくく、「ダブルマッスル」とも呼ばれる2倍の筋肉を持つ身体に成長してしまったのです。

筋肉量はこのように異常ながら、臓器は普通のウィペットと同じなため、どうしても寿命は短くなってしまうのだとか。

これは、人間や他の動物にも起こり得る疾患で、実際に異常な筋肉量を持つ人間の子供も存在しています。
ウェンディはたまたまこういった疾患を抱えているだけで、ウィペットに好発する遺伝子疾患というわけではありません。

ウィペットの特徴と性格を知りたい!【ルーツと飼い方は?】のまとめ

ウィペットは、細身の体で一見軟弱そうに見えますが、見た目より頑丈で寿命も長いです。

しかし、短毛種で皮膚が薄く、寒さには弱いため、温度管理には気を付けましょう。

また、短毛種のために抜け毛も多いので、犬アレルギーがひどい人が飼育するには向かないかもしれません。

また、大人しく穏やかな性格なので、一軒家でもマンションでも飼育できますが、運動量は多く取り入れた方が良いので、散歩だけではなく、ドッグランなど自由運動ができる場所へ連れていき、思いっきり走らせてあげましょう。

ウィペットという犬種は、本当は前へ出て、思いっきりはしゃぎたい気持ちがあるのかもしれません。

いつも控え目で大人しい、この犬種の気持ちを察することができるような飼い主さんでいたいですね。

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