うさぎにとっての「カルシウム」と聞くと、どうしても連想してしまうのが「尿結石」といった悪い印象を持っていないでしょうか。しっかりとカルシウムについて理解を深めていないと、逆にカルシウムを避けすぎて健康を害してしまう恐れもあるんです。

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うさぎと「カルシウム」の関係


うさぎと「カルシウム」の関係ですが、カルシウムが体に大事とは理解しつつも、あまりカルシウムを与えてしまうと「尿結石」を招くといったように、カルシウムの過剰摂取を気にしてしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。

もちろん、そうした考えは間違ってはいません。うさぎはカルシウムを多く摂取しすぎてしまうことで、尿結石を引き起こしてしまい、そのため、できるだけカルシウム量の少ない「チモシー牧草」を与えるようにしていると思います。

もちろん、子うさぎの時期には、より栄養価の高い「アルファルファ」を与えることが当たり前となっていますが、大人になった時まで主食にアルファルファを与えることは、うさぎにとっては望ましい食生活とは言え無いでしょう。

とはいえ、適度にカルシウムを摂取していなければ、うさぎの健康維持にも悪影響を与えてしまう結果となるのです。まずは、カルシウムの働きについて理解を深めてみましょう。

骨と歯を作る「カルシウム」

カルシウムと聞くと、すぐに思い浮かぶのが「骨」というワードではないでしょうか。人間の子供でも、たくさん牛乳を飲んで、骨を丈夫にという考えは当たり前の事となっていますよね。そんなカルシウムですが、「骨」の他にも「歯」を作るのに必要不可欠な成分で、その他にも「筋肉の収縮」や「ホルモンの分泌」、「血液を凝固させない」といったように、骨だけではなく、血液や脳などにも影響を与える大事なミネラルの一つなのです。

また、骨や歯を形成するには、カルシウムだけではなく、「リン」と「マグネシウム」が必要になります。そのため、カルシウムばかりを摂取していても、リンとマグネシウムの摂取バランスが悪いと、思うような効果を得られないだけでなく、過剰症などの影響も及びはじめます。

うさぎの行動や性質を見てみると、どうでしょうか。うさぎはピョンピョンと跳ねて移動するのには、筋肉や骨が丈夫でなくてはなりません。また、うさぎはしっかりと牧草を食べるために歯が大事になります。カルシウムが不足してしまうと、こうした日常の生活にも支障をきたすこととなるでしょう。また、近年ではカルシウム不足が逆に尿結石を招くという説も浮上してきているんです。

うさぎの「尿結石」について

一言で尿結石と言っても、実はいくつかの種類が存在します。尿結石を引き起こす要因はいくつかありますが、一つの要因として、骨を形成するために必要なカルシウム、リン、マグネシウム、これらを過剰に摂取すると、過剰分は腎臓を通り尿中へと排出されていきます。

尿中に含まれるこれらの成分は、尿のph値によって分解されていくのですが、このph値が安定していないと尿結石を引き起こす事となります。尿のphは「アルカリ性」、「酸性」のいずれかがありますが、通常であればうさぎの尿はph8ほどの「アルカリ性」を示しています。

このph値によって分解されるものも代わるのですが、カルシウムはアルカリ性で分解されにくく、尿中にある「シュウ酸」とカルシウムが結合してしまい、尿結石の一種「シュウ酸カルシウム結石」を形成してしまうのです。その他、「炭酸カルシウム結石」も、多くの場合、形成されていきます。こうして、尿結石だけでなく、腎不全や尿毒症といった病気も併発することとなり、命の危険も伴う事となるのです。

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牧草にも気をつけましょう

こうしてみてみると、うさぎにカルシウムを与えるのが恐ろしくなってしまいますが、その逆でカルシウムが不足することでも、うさぎの健康に支障を与えることは前述の通り。

では、バランス良くうさぎにカルシウムを摂取させるには、どうしたら良いのでしょうか。そのポイントとなるのが、普段からの食生活と与える食べ物が大事になってきます。

気を付けたいのが、うさぎの年齢によって与える牧草を変えること。これは前述でも触れましたが、アルファルファには高タンパクな上にカルシウムが多く含まれているため、過剰摂取の原因にもなります。そのため、大人のウサギにはチモシーを与えるようにしましょう。

アルファルファを気に入っている場合には、常時食べれる牧草ではなく、おやつ代わりの牧草とするなどの配慮が必要となります。

チモシーとアルファルファの違い


見た目は同じような牧草ですが、チモシーとアルファルファにはどのような違いがあるのでしょうか。

最も大きな違いとなるのがタンパク質の量です。アルファルファのほうが高タンパクで、子うさぎに向いている牧草と説明しましたが、アルファルファのタンパク質量は、おおよそ17%ほど。

一方、大人のうさぎから高齢のうさぎまで与えやすいチモシーのタンパク質量は、6%〜といったところ。アルファルファとチモシーには、こんなにも大きな違いがあるのです。

また、カルシウムの量に関してもアルファルファが1.3%程なのに対し、チモシーは0.5%程となっています。子うさぎと大人のうさぎで牧草を変えるという意味がお分かりいただけるかと思います。

「シュウ酸」を含む食材

おやつとして野菜や果物を与えている際には、与えるものにも注意が必要です。特に、先程挙げた「シュウ酸カルシウム結石」の元となる「シュウ酸」を含む食べ物には注意が必要です。シュウ酸を含む食べ物には、

・ほうれん草
・レタス
・ブロッコリー
・サツマイモ
・バナナ
・パセリ

等が挙げられます。
こうした食材をおやつ等として与えている際には、適量を与えるように注意が必要です。

万が一、現在の状況がアルファルファを主として食べており、シュウ酸を含む食べ物を日常的に摂取している状況であれば、尿結石を引き起こす可能性は高くなるでしょう。

小松菜の与え過ぎは注意が必要?

βカロテンとカルシウムを豊富に含む「小松菜」。うさぎに与える野菜としても人気の高い小松菜ですが、一方で小松菜はカルシウムの含有量が多いので、与え過ぎには注意という話も聞かれます。

小松菜のカルシウム含有量は、100gあたり170mg。上記に挙げたほうれん草と比較すると、ほうれん草のカルシウムは100gあたり49mgという数値ですので、小松菜のほうがより豊富にカルシウムを含んでいることがわかります。

また、ほうれん草はシュウ酸を多く含むと説明しましたが、ほうれん草が100gあたり約770mgのシュウ酸を含んでいるのに対し、小松菜は100gあたり約50mgと、ほうれん草に比べて圧倒的にシュウ酸を含みません。

小松菜を与える際には与え過ぎには注意が必要なものの、言われるほど危険な野菜ではないかもしれません。

大葉もカルシウムを多く含む野菜

続いて「大葉」もカルシウムを多く含む野菜として知られますが、大葉は小松菜よりもカルシウムの含有量が多く、100gあたり230mgという数値。ただし、シュウ酸の含有量は約120mgと、小松菜よりも多くのシュウ酸を含むため、与えすぎると尿結石になる可能性が高い野菜と言えるでしょう。

ただし、あくまでも集中的に与えすぎるのが危険ということであって、大葉自体は挙げ過ぎにさえ気をつければ、たまに与えても良い野菜です。他の食べ物とのバランスをよく考えるようにし、大葉を食べさせることで害が及ぶようでしたら、与えるのは避けたほうが良いでしょう。

カルシウムの多い野菜ですので、与え方には注意が必要ですが、場合によっては体にも良い野菜ですので、おやつとしてたまに与えてみても良いかもしれません。

ペレットの成分表をチェックしましょう

前述の通り、うさぎはカルシウムの与えすぎ、カルシウムの不足についてしっかりと飼い主さんが理解をし、バランス良く与え続けることが大切になります。

近年のうさぎ用フードであるペレットには、1日に必要な栄養素の量がバランス良く配合されているので、基本的にはペレットと牧草だけでも問題なく飼育することは可能ですが、上記に挙げたような野菜を与える際には、ペレットのカルシウム含有量を知っておく必要があります。

何も意識せずに色々な食べ物を与え続けてしまうと、栄養過多になってしまい、何かしらのトラブルを生じる可能性もあります。ペレットの入っている袋には、ペレットに含まれる栄養素の一覧が記載されているはずですので、その数値を参考にして1日の栄養素のバランスを考えるようにしましょう。

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水は最も重要なもの

うさぎはカルシウムの量を気にしながら、健康管理・食事の管理を行う必要がありますが、最も大事で基本的なことは、「水」を必ず飲めるような状態にしておくということです。

水を多く飲ませ、体内の循環を上げてあげなければ、尿結石に限らずどんな病気も引き起こすこととなります。また、水を多く飲ませることは、体内のカルシウムも多く排出させる手助けにもなります。

水分を食事から摂ることもできますが、水そのものを飲ませるのが最も安全と言えるでしょう。また、飼っているうさぎが水を飲む方か、あまり飲まないうさぎかというのも、食事の管理法が大きく変わってくるでしょう。基本的に、食事で管理を行うよりも、水を多く飲ませることが大事ということを覚えておくようにしましょう。

カルシウムは適量を摂取させましょう


カルシウムは、過剰摂取も良くはありませんが、不足もよくはありません。また、シュウ酸カルシウム結石に見られるように、カルシウムだけが悪者というわけではないのです。むしろ、カルシウムは健康を維持するためには必要不可欠な成分です。

気をつけるべきは「カルシウムの摂取」ではなく、日頃からの「食生活」と「水」を飲める環境下であるかということです。また、適度な運動も蠕動運動を促すため、必要なものとなります。

与える食べ物に注意し、健康的な生活を送らせることで、こうした病気のリスクも軽減することができます。こうした環境はすぐにでも実行できるので、すぐに始めるようにしましょう!

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