人間も、犬も悩ませる「歯周病」という口腔内の病気。口が臭いといった症状から気が付くことが多い歯周病ですが、病状が進行していくと、口腔内だけにとどまらず、体の様々な部位へと悪影響を及ぼしてしまいます。今回は歯周病について解説していきます。
犬の歯周病について
普段の愛犬との生活で、愛犬の口臭が臭かったり、前に比べてご飯を勢い良く食べなくなった等の様子は見られないでしょうか。こうした場合には歯周病の症状が疑われます。
犬が歯周病を発症すると、上記のような症状の他にも、くしゃみや鼻水も増えるようになります。これは、歯周病の状態が悪化してしまうことで、「歯根部」の感染がより奥の方まで拡がってしまった結果、鼻腔に穴を開けてしまい、呼吸器系に症状が現れるものです。
虫歯になると痛くなるのは犬も人間も同じです。物を噛むのを痛がったり、片方でばかり噛んでいる様子が見られた場合には、歯周病を疑う方が良いでしょう。さらに、くしゃみ・鼻水の症状が見られた場合には、鼻腔までも影響を起こしてしまっている可能性も高くなっています。
歯周病からくる食欲不振に注意
犬も人間と同じように、歯周病になってしまい歯が痛くなると、痛くない方の歯で物を噛むようになります。当たり前といえば当たり前なのですが、日頃から注意深く愛犬の様子を見ていれば、意外と気がつくことが出来るポイントです。
痛みが生じると勢い良く噛むことができなくなるため、大好きな食事の時間も憂鬱な時間になりかねません。注意したいのは、食欲が落ちたことで、ドッグフードの味に飽きたのかなと勘ぐってしまうことです。
特に食べることが好きな犬であれば、フードが変わるとなんとかして食べて見るものです。ここで食いつきが良くなった、また食いつきが悪くなったと、頻繁にフードを変えてしまうと、歯周病ではなく、単に偏食の癖も付いてしまいます。日頃から、愛犬の噛み方を意識的に見て見るようにしましょう。
歯周病で穴があく?
こういった状態が更に進行していくと、更に炎症が拡がっていき、症状は目の下部あたりにまで進行していきます。
状態としては、目の下辺りの皮膚に穴が空いてしまい、そこから膿が出てくる「根尖膿瘍(こんせんのうよう」と呼ばれる症状を発症します。これは、目の下(頬の部分)に膿が溜まっていき、破裂してしまうものです。特に奥歯の歯周病で引き起こされる場合が多いようです。
では、下顎の歯周病が進行した場合にはどのような状態になるのでしょうか。歯周病は、骨までも進行していくので、「歯槽骨」と呼ばれる下顎を支える土台の役割をしている骨までも影響を与えはじめ、これによって下顎の骨は徐々に弱っていき、骨折を伴う事態へと陥ってしまうのです。
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口腔内にはとどまらない歯周病の症状
根尖膿瘍のように、決して口腔内だけの症状に留まらないのが歯周病の怖さです。こうした症状が更に進行して行くと、体の様々な部位へと悪影響を及ぼすということが言われています。
歯周病が進行してしまった結果、骨を溶かし、歯周病の原因菌が全身へと感染してしまうことで、肺炎や心臓病といった重大な病気を引き起こす場合もあり、これらいがいの臓器へも悪影響が及ぶ場合があるのです。
近年では人間でも同じことが言われていますが、犬の歯周病も同じく、決して油断してはいけないのが、歯・口腔内の病気です。このような状態になってしまう前に、日々、しっかりと口腔内のメンテナンスを行う必要があるのです。
歯周病の原因について
ペットとして飼育されている犬たちは、ドッグフードやおやつ等を食べる機会も多く、どうしても口腔内に食べかすが残されてしまいます。
調査によると、10歳の時点での歯周病発症率はおよそ3.2%、3歳以上の歯周病予備軍は、なんと80%にも及ぶということが判明しています。少なからず、今飼育している犬の口が臭いといった症状、大多数の方が当てはまるのではないでしょうか。
口の中の衛生状態を保つ事も重要な事ですが、歯茎等に傷が付いてしまうことでも歯周病が引き起こされる場合があります。その多くは傷が治っていくと歯肉炎等の症状も完治する場合が多いですが、こういった場合でも歯周病を発症してしまうということを理解していた方が良いかもしれません。
歯周病の治療について
歯周病の治療は、歯石の除去を行うことが基本となります。状態が悪化し、他の症状を発症してしまっている場合には、それらの症状を緩和させるための対症療法が施されます。
とはいえ、歯周病の根本となる原因を解決しなければ、歯周病を抑えることはできませんので、歯垢が原因となる場合には、歯垢の除去、何かしらの病気が原因となる場合には、それらにたいする治療が急がれます。
歯垢の除去を行う場合には、麻酔を必要とする治療となるため、犬の体力などによっても治療を施せるかということが変わってくるでしょう。また、近年は「無麻酔歯垢除去」という施術も話題に上がっていますが、様々な議論の対象にもなっているため、しっかりとした飼い主の理解と判断が必要であるといえます。
応急処置となる歯垢の除去
前述の通り、「無麻酔歯垢除去」などに代表される「歯垢」の除去に関しては、歯周病の進行を食い止めるために必要な応急処置です。動物病院で行うのが一番安全な歯垢除去施術となりますが、自宅でも歯垢除去を行うことは可能です。
このばあい、「スケーラー」と呼ばれる、歯垢を削る道具が必要となりますが、こうした施術に慣れている方でなければお薦めはできない方法です。場合によっては愛犬の歯茎や歯のエナメル質も削ってしまい、かえって虫歯になりやすい状況にもなりかねません。
動物病院では麻酔を用いて、犬が意識のない状態で行うため、安全に、より確実に歯垢を除去することができますので、慣れている方でなければ自宅で歯垢を除去するのは避けるようにしましょう。
歯周病を予防するために
犬の生命線の一つでもある「歯」。歯のケアは、犬の老後にも関係するほどに重要な部位でもあり、お手入れが大変な部位でもあります。
動物病院やトリミングサロンでも、歯磨きを行っている場所もありますが、全ての場所が対応しているとは限りません。そのため、自宅での歯のケアは、非常に重要なものでもあります。
お手入れするとわかりますが、犬の歯は思っているよりも汚れています。野生下のオオカミは肉を食べ、骨を食べることで歯磨きの効果を得ていますが、ペットとして飼われている犬は、玩具などを噛む事以外には、歯磨きの要素となるものがありません。
そのため、老齢期になると、虫歯によって歯が無くなってしまっている犬も珍しくありません。
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歯周病を改善するために効果的な歯磨き
犬の歯周病予防として効果的な歯磨き。しかし、歯磨きの仕方も順を追って行うようにしましょう。場合によっては犬が歯磨きを嫌がってしまうようになるため、思うようにケアを行えなくなってしまうことも。
実際に歯磨きを行う際には、はじめから「歯ブラシ」を利用しないようにしましょう。いきなり歯ブラシを使用すると、犬も怖がり、歯磨き自体を嫌がることになります。
はじめは、飼い主さんの指の感触で慣れさせ、徐々に歯ブラシに移行するようにしましょう。無理にやろうとすると嫌がる犬も多いため、出来る限り若年の頃から歯磨きの癖をつけるようにしましょう。
食べることが大好きな犬にとっては、歯が無くなることは、非常に辛いものであるでしょう。そうならないためにも、早い段階で歯磨きの習慣をつけるようにしましょう。
歯磨きにはいくつかの方法も
犬の歯磨きは意外と難易度が高いもの。そのため、ハブラシで歯磨きを行う以前に、なかなか歯磨きになれさせることが出来ず、苦戦してしまう場合もあります。
そんな時にはおもちゃやおやつを使うようにしましょう。例えばおやつ。歯磨きが行えるおやつにも様々な製品が登場しており、いまやデンタルケアを行えるおやつも当たり前のジャンルに確立しています。
また、お気に入りの玩具があれば、おもちゃに液体歯磨きを染み込ませるのも一つの方法です。中でもロープトイなどであれば、ブラッシング効果も生み出せるので、下手にハブラシで歯磨きを行うよりも効果を挙げられる場合も。
このように犬の歯磨きにも、色々な方法がありますので、無理のないところから徐々に行なっていくようにしましょう。
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