犬が熱中症の事故にあいやすいのは、温度の上がっている時間帯での留守番中や、真夏の車内、暑い時間帯の散歩中などが多いようです。こうした危険なシチュエーションでの気を付けるべきことと、熱中症の症状と予防について解説していきます。
熱中症について
最近では人も熱中症になる方が多く、毎年何人かの方が亡くなってしまったりもしている熱中症。もちろん、この熱中症という症状は人間だけではなく、犬も熱中症になることがあるのです。
テレビなどでも報道されている通り、熱中症の恐ろしさは知られていると思いますが、犬も場合によっては命を落とすこともある、とても恐ろしい病気のひとつです。
特に気をつけなければいけないのが、温度の上がっている時間帯での留守番中や、真夏の車内、暑い時間帯の散歩中などです。つい先日も、アメリカで車内に取り残された警察犬が、熱中症によって亡くなると言う事故が報道されていました。
この事件では4時間程、車内に放置されていたようですが、ほんの5分〜10分目を離した間でも、真夏の日中は重大な事故になりかねません。
事故の多い、真夏の車内の恐ろしさ
コンビニに行っている間、車内に犬を残して、窓を開けてエンジンを切る・・。愛犬とおでかけした時にも、こんなシチュエーション、意外とたくさんありますよね。これが、炎天下の中であれば、特に注意が必要です。
実は、炎天下の中でエンジンを消した場合、車内の温度はなんと最高で50℃以上、70℃にまで達することもあるのです。そして、窓を開けていた場合でも45℃にまで達するという結果が出ているんです。
わずか15分の間に温度は30℃まで上昇し、あっという間に熱中症を発症してしまうレベルにまで到達してしまうのです。こうした車内の温度上昇に関連する動画が、「JAF」や「日産」といった企業、アメリカのメディアなどでも実験動画が公開されているので、機会があれば見てみましょう。
熱中症になりやすい犬種は?
熱中症になりやすいと言われる犬種には、パグなどの短頭種の犬種が当てはまります。短頭種の犬種にはパグを始め、ペキニーズやシーズー、フレンチブルドッグなどの、鼻の低い犬種が該当しますので、これらの犬種を飼育している方は特に注意が必要です。
この他、日頃から活動的な犬や被毛が黒い犬、長毛の犬も熱中症を発症するリスクが高いと言われており、肥満傾向の犬も熱中症になるリスクが高いといえるでしょう。また、熱中症は年齢によっても発症しやすく、高齢の犬や免疫力の弱いような犬は30℃以上でも命に危険が及ぶ温度となる場合もあります。
愛犬の健康管理ももちろん大事ですが、愛犬の身体の作りがどのようになっているか、愛犬の性格や体格はどのようなものかを理解しておくのも、熱中症を予防するひとつの予防策といえます。
日中の散歩にも注意が必要
比較的、周知となってきた日中の散歩の危険性。「照り返し」によってアスファルトからの温度が、犬の腹部にもろに影響してしまうため、危険が多いと言われています。
例えば、気温が28℃であった場合、アスファルトの温度はなんと35℃近くにも上昇しているのです。また、日照条件によっては50℃近くになることも珍しくありません。
「素足」で歩いているも同様な犬が、この温度の上を歩くと思うと・・危険だと言うことがわかりますよね。また、アスファルトは気温がピークを過ぎた後でも温度を持続し、徐々に冷めていきます。そのため、外の気温が下がったからと行っても、すぐに出かけることはしてはなりません。
自宅の留守中でも危険は潜んでいます
暑い日中に、自宅で留守番というシチュエーションは、ほぼどの犬も経験している事だと思います。日中の散歩や車内に比べると、自宅内の方がいくらか安全ではありますが、留守中にかけていくエアコンに危険が潜んでいます。
エアコンをかける際には「除湿」モードになっているでしょうか。また、いくら暑いとはいっても、キンキンに冷えすぎていないでしょうか。エアコン頼りでは、犬の自立神経の働きを狂わせてしまう場合もあります。
湿気を減らし、扇風機等で対応したほうが、犬にとっては少々暑くとも体に良いのです。自立神経が狂ってしまうことで、より熱中症になりやすい体質を作ってしまうという事を忘れずに。
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熱中症の症状について
犬が熱中症を発症すると、口を大きく開けながら呼吸も荒く、苦しそうにし、よだれを大量に垂らしてしまいます。更に悪化すると、嘔吐や下痢といった症状に加え、体もふらついていき、失神や筋肉の痙攣、意識の混濁といった症状が現れます。
この時、犬の体温は40℃以上になっている可能性が高いため、非常に危険な状態と言えるでしょう。このような症状が更に悪化すると、今度は「吐血」や「チアノーゼ」の症状が見られるようになります。
意識もなく、思うように体内へは酸素を送り込むことができなくなってしまうため、やがては命を落としてしまう最悪の事態へと発展していってしまいます。
犬がふらついている様子や、呼びかけに応えないなど、はっきりとしない様子が見られる場合には注意が必要となります。
歩けるか歩けないかも判断材料に
犬が熱中症の症状を表したら、すぐに体を冷やしてあげ、水分補給を行いましょう。ここで水を飲むことができるのならば、少しは安心ですが、自発的に水を飲めない状態であれば、すぐに動物病院にいくことをおすすめします。
恐らく、この場合には意識も朦朧としているか、気を失いかけているため、一刻も早く応急手当をしなければ、最悪の事態にもなりかねないでしょう。歩けているか、歩けていないかも、熱中症の症状を判断する材料になります。
また、仮に歩くことができて、水も飲むことができ、犬自身に意識があったとしても、体の内部には大きなダメージを受けている場合もありますので油断はできません。熱中症の症状が落ち着いたからといって油断は禁物です。軽症であっても、念のため病院へ行って検査をするようにしましょう。
犬の体温が何度になると熱中症に?
犬が熱中症となるレッドゾーンとも呼べる温度は40℃前後。また、温度以外にも、湿度の状態でも、このレッドゾーンは変化するため、30℃〜35℃あたりでも熱中症を発症し、十分に命を落とす可能性はあるのです。
熱中症にも段階があり、軽度の熱中症は「熱痙攣(ねつけいれん)」と呼ばれる状態です。熱痙攣からさらに温度が上昇し、中度の症状に入ると「熱疲労(ねつひろう)」と呼ばれる状態に陥ってきます。
熱疲労を起こすと、血液循環が正常でなくなり、体温調節ができなくなってしまいます。さらに重度の症状に進むと「熱射病(ねっしゃびょう)」という症状へと進みます。熱射病になる頃には、体温も42℃以上となっており、多臓器不全の状態に、やがては命を落とすこととなります。
重症化すると死亡率も50%に
熱中症の恐ろしさは前述のとおりですが、こうして熱中症の症状が重症化してしまった場合、なんとその死亡率は50%にも及ぶのだそうです。様々な病気による死亡率がありますが、わずか数時間でこれまでの数字になってしまう病気は例を見ないでしょう。それだけ、熱中症は注意が必要なものなのです。
残念ながら熱中症によって命を落としてしまう犬の数は、年々増加傾向にあると言われており、毎年1割近くの増加で増えていっているという統計も取られているほどです。
また、真夏の車内の危険性は前述のとおりですが、実は熱中症になってしまう場所というのも、外出先が3割程度。残りの7割は家庭内で起きているのが多いようです。家の中だからと言って安心できないのが、熱中症の怖いところでもあります。
熱中症の治療費はいくらくらい?
犬が熱中症になってしまい、病院で治療を受けるとなると、治療費はどのくらいを予定しておけば良いのでしょうか。
熱中症は急な状態であるために、慌てて動物病院に担ぎ込むこともあるでしょう。そこで心配になるのが愛犬の命ももちろんですが、治療費の面です。
熱中症の症状が軽度である場合には、点滴などの治療を行い、回復を待つ形となりますので、治療費としては高くとも1万円を越えることは稀でしょう。多くは5,000円〜といったところでしょうか。
一方、重症の状態ですと日帰りでの治療は難しく、つきっきりの処置を行わなければ危険なため、入院費も発生してきます。この場合には、5万円前後ほどを予定しておく必要がありそうです。
まとめ
人にとっても、犬にとっても怖い熱中症。こんな事故で愛犬を失っては、いたたまれない気持ちになるでしょう。車においていく時には、ちょっとした時間であってもクーラーを付けていくようにし、散歩をする時には、温度も涼しくなってアスファルトの温度も下がってきている時間帯を選んでいくようにしましょう。
犬は暑くてもハァハァするだけで、どれくらい危険な状態なのかがわかりにくいです。人が暑いと感じている場合には、犬はもっと暑いと感じている可能性もあります。愛犬の様子をしっかりと確認するようにし、呼びかけにしっかりと応えるか、鼻の頭や口腔内が乾燥しすぎていないかなど、注意深く確認するようにしましょう。
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