「レッグ・ペルテス病」とは、大腿骨頭へ血液が流れなくなることによって、骨が壊死してしまうため、強い痛みを伴う病気です。今回は、あなたの愛犬も他人事ではない、「レッグ・ペルテス病」について、症状や治療法、予防や対策などを調べてみましょう。
レッグ・ペルテス病とは
犬に多い関節の病気はと言うと、「股関節形成不全」や「膝蓋骨脱臼」はよく耳にすることがあると思いますが、「レッグ・ペルテス病」もこれらの病気に次いで発症することが多いと言われています。関節の病気は愛犬の自由を奪うだけでなく、痛みも伴うものです。万が一の事態に備え、しっかりと病気について知るようにしましょう。
「レッグ・ペルテス病」とは、「レッグ・パーセス病」や「大腿骨頭壊死症」とも呼ばれ、後ろ足の大腿骨(太ももの骨)の先端にある大腿骨頭への血液が流れなくなってしまうことで、骨が変形したり、壊死してしまう病気です。
特に、1歳未満の成長期の小型犬に発症することが多く、発症した場合、後ろ足を引きずるような症状が現れ、そのまま放って置くと、骨が変形したり、壊死するために強い痛みが伴います。
それでは、今回は発症すると、骨の一部が壊死して溶けてしまうと言われる、「レッグ・ペルテス病」について、症状や原因、対策などを解説していきましょう。
レッグ・ペルテス病の症状について
レッグ・ペルテス病を発症すると、大腿骨頭が変形するので、その不安定な股関節に違和感を感じ、体重をかけられなくなるため、びっこ引いて歩いたり、変形した骨と股関節がぶつかるようになるため、痛みが伴い、後ろ足を引きずって歩くようになります。また、後ろ足や腰周辺を触られることを、極端に嫌がるようになるでしょう。
最初のうちはこの症状が現れたり、治まったりするのですが、徐々に症状が悪化すると、患部のある方の足の筋肉が萎縮するようになり、足を床に付けることができなくなってしまいます。
レッグ・ペルテス病の多くは片足に発症しますが、稀に両足に発症することがあるようです。
レッグ・ペルテス病の好発犬種とは
レッグ・ペルテス病の好発犬種は、「トイ・プードル」「ヨークシャ・テリア」「ミニチュア・ダックスフンド」「ミニチュア・ピンシャー」「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」「ケアーン・テリア」「ミニチュア・シュナウザー」などの小型犬に発症することが多く、特に生後4ヶ月~1歳未満の成長期の子犬の頃に多発して引き起こします。
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子犬の症状を見逃さないように
ペットショップから子犬を迎え入れたときなど、しばらくはケージ内で飼育しているために発見が遅れる場合も少なくないでしょう。子犬を外へ散歩させるのは3ヶ月以降からといったタイミングになりますが、このタイミングでおかしいなと感じる方もいるのではないでしょうか。
こうして発見を遅れる前に、ケージの外に出して少し歩く様子を確認してみるのが良いでしょう。レッグ・ペルテス病は前述の通り、主に子犬が発症する病気で、最も多く見られるのが7ヶ月前後です。
抱っこをする時に痛がったり怖がったりする様子は無いでしょうか。歩き方は不自然ではないでしょうか。ちょっとした動作も見逃さないようにしましょう。特に子犬を迎え入れた時には気分も舞い上がっているため、細かな様子も見逃しがち。日々の成長を見守りつつ、違和感のある行動していないかを必ずチェックするようにしましょう。
股関節形成不全との違い
子犬の成長期に見られる関節系の病気に、股関節形成不全という病気もあります。股関節形成不全もレッグ・ペルテス病と同じく生後6ヶ月〜7ヶ月ころに多く発症する病気で知られます。
股関節形成不全の症状はあるき方が不自然という点に加え、ウサギ跳びのような歩き方・仕草を見せることがあります。レッグ・ペルテス病とやや似たところもありますが、股関節形成不全の場合には急激な成長や肥満体質、過度な栄養摂取が原因と考えられています。
いずれの病気も子犬が散歩をし始めるようなタイミングで発見される病気ですが、レッグ・ペルテス病が遺伝的な要因と考えられているのに対し、股関節形成不全の場合は飼育環境によるものが大きいので、飼育環境の見直しが必要になるでしょう。
レッグ・ペルテス病の原因とは
レッグ・ペルテス病は、後ろ足の大腿骨の先端にある大腿骨頭への血液が、何らかが原因となって流れなくなってしまうことで、骨が変形したり、壊死してしまいますが、この原因は未だ明らかにされておらず、好発犬種がいることから、遺伝的なものが原因ではないかと考えられています。
その他には、外傷や炎症、栄養障害や血液の循環異常なども、大腿骨頭に血液が流れないことと関係しているのではないかとも考えられていますが、先述したように、これらの原因については、まだ解明されていません。
レッグ・ペルテス病の治療について
レッグ・ペルテス病の症状がまだ軽い場合は、痛み止めの鎮痛剤や抗炎症剤の投薬治療を行います。また、それと並行して、関節を保護するサプリメントを使ったり、運動制限や体重制限をしながら、安静にさせて様子を見ます。
しかし、レッグ・ペルテス病は、進行性の病気であるため、最終的には外科手術を行うことが多いようです。
大腿骨頭の変形や壊死が広範囲で進んでいる場合は、外科手術を行います。患部の大腿骨頭を切除して、そこに人工関節を取り付け、術後は、リハビリを行って運動回復を図ります。
残念ながら、以前と全く同じように歩けるようになるのは難しいですが、リハビリ次第では、歩いたり、走ることはできるようになりますので、飼い主さんと愛犬の根気が必要となるでしょう。
レッグ・ペルテス病の手術費用
レッグ・ペルテス病の治療方法については以上にあるとおりですが、こうして対処療法や外科手術を行うと、心配になるのが治療費の問題です。
動物病院によっても手術費用は違ってきますが、おおよそ15万円前後ほどを予定しておきましょう。どうしても治療費は発生してしまう病気ですので、ペット保険の加入は必須と言えるでしょう。
しかし、現在はたくさんのペット保険がありますが、このレッグ・ペルテス病は保険の対象となる病気なのでしょうか。その答えとしてはグレーゾーンといったところです。
保険比較サイトなどではレッグ・ペルテス病が対象になっているという記載があるものの、Q&Aサイトでは利用できなかったという口コミが見られることから、比較サイトの情報を丸呑みするのは危険かもしれません。
レッグ・ペルテス病は保険適用になる?
レッグ・ペルテス病は遺伝による原因が大きいと言われる病気なため、保険会社によっては「先天的な疾患」として判断され、保険の対象外となり得るからです。また、ペット保険の補償開始前から患っていたと判断されるケースも有るため、保険会社の対応も分かれるところとなりそうです。
レッグ・ペルテス病は子犬の頃に発症する病気ですので、ペットショップから迎え入れるタイミングでなければ補償の対象外となるケースも多いかもしれません。
ペット保険に加入する時には十分に規約について熟読する必要がありますが、子犬を迎え入れるタイミングで説明を受けても、実際のところは聞き流してしまっている事が多いかもしれませんね。
そのため、ポイントとしたいのは「先天的な疾患」である場合の補償に関してと、迎え入れるペットショップの対応です。これは非常に大事なポイントとなりますので、あとから泣き寝入りしないためにも、十分に注意しておきましょう。
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レッグ・ペルテス病は遺伝によるもの?
レッグ・ペルテス病を発症すると、避妊や去勢を進められるケースが多いようです。その理由としては、前述の通りレッグ・ペルテス病が遺伝による要因が大きいと考えられているからです。
この病気は特に遺伝的要因が強いと考えられていますので、予防策がありません。そのため、レッグ・ペルテス病の犬を減らすためにも、この遺伝を断つことが必要になってきます。これ以上、このような痛みが伴うようなレッグ・ペルテス病を持つ子を増やさないためにも、レッグ・ペルテス病を発症した犬の繁殖は行わないようにしましょう。
避妊・去勢はレッグ・ペルテス病以外の病気のリスクを軽減する可能性もあるため、ゆくゆくのことを考えて避妊・去勢する選択も考えてみましょう。
レッグ・ペルテス病の予防と対策について
レッグ・ペルテス病を発症してしまった場合は、飛んだり、跳ねたりなどの激しい運動を避けることや、関節に負担をかけさせないために、肥満に気を付けるなど、愛犬の健康管理を行うことも、飼い主さんの大事な役割となるでしょう。
犬は遊びたくてはしゃいでしまうこともありますが、ここはぐっとこらえて、愛犬を安静にさせるようにしましょう。
レッグ・ペルテス病は、愛犬を強い痛みで苦しめてしまう病気ですので、散歩などで歩いている時に、足を引きずったり、びっこを引いていることはないか、足をぶつけたわけでもないのに痛がっていることはないか、足や腰を急に触ったら痛がる素振りを見せたなど、日頃から愛犬のちょっとした様子を感じ取り、早期発見・早期治療を心掛けることが大切です。
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