犬の口内炎は、人間の口内炎とは異なり、口腔内の広い範囲に及ぶ為、しっかり治療する必要があります。人間も口の中が痛いとご飯が食べれないように、犬もご飯が食べれなくなってしまいます。今回は、あなたの愛犬も他人事ではない、「口内炎」について、症状や原因、治療法などを解説していきましょう。

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口内炎とは?

人間が口内炎を発症した場合、口の中にポツポツと小さな発疹ができて、その多くはビタミン不足によって引き起こすことで知られています。そのため、ビタミンを摂取して放って置けば、気が付けば自然に治っていることが多いと思います。

一方、犬の口内炎とは、口の中の歯肉や舌などの軟部組織に炎症が起きる口腔内の病気のことを言いますが、口内炎ができる原因も様々で、人間のような小さな発疹ではなく、口腔内のかなりの広範囲に渡って、赤く腫れ上がるような大きな潰瘍ができることもあります。

そのため、ご飯は食べたそうにしているのに、口の中が痛くて、まともにご飯を食べることができないなどの症状が見られます。愛犬にとって、大好きなご飯を食べることができないなんて、こんな辛いことはありませんよね。
それでは、今回は人間の口内炎とは異なる、「犬の口内炎」について考えてみましょう。

口内炎の症状について

口内炎を発症すると、口の中をしきりに気にして、口の中を前足で引っ掻いたり、口の中に何も食べ物が入っていないのに、口をクチャクチャさせるというような様子が見られます。また、血が混じったよだれを垂らすようになったり、普段遊んでいるおもちゃなどに血が付いてしまうという症状が現れる他にも、以前より口臭がきつくなり、愛犬が舐めた場所に臭いが移るということもあります。

口内炎は愛犬にとって強い痛みや違和感が伴うので、いつもはあっという間にご飯を食べてしまうのに、ご飯を食べにくそうにしたり、いつもより食べるスピードが遅くなったり、最終的にはお腹が空いているはずなのに、ご飯を全然食べようとしなくなるため、どんどん体重が減っていくこともあります。

このような症状が現れた場合は、愛犬の口の中をこじ開けて覗いてみましょう。口腔内に、赤い発疹や潰瘍が出来ていた場合は、口内炎を発症している可能性が高いので、動物病院で診察してもらう必要があります。

口内炎の原因について?

犬の口内炎の原因には、「系統性口内炎」「壊死性口内炎」「潰瘍性口内炎」の3つの種類があります。

レプストピラ病や糖尿病、腎臓病やビタミン欠乏症、ジステンパーなどの他の病気によって一時的に発症する口内炎を、「系統性口内炎」と言います。また、抗生物質などを長期間投与することでも発症すると考えられています。その他に、硬いおもちゃやおやつなどを囓って口の中を傷付けたり、電気コードを囓って感電するなど、外傷性によるものもあります。

また、「壊死性口内炎」とは、歯周病による歯肉炎から発症する口内炎のことです。犬が口内炎を発症する場合は、このケースが一番多いようです。

その他に、高齢や病中病後など、免疫力が下がっている時に細菌感染を起こすことで発症する、潰瘍を伴う口内炎を「潰瘍性口内炎」と呼ばれます。また、悪性黒色腫や扁平上皮ガンなどの口腔内腫瘍などが原因で潰瘍性口内炎を発症することがありますので、口の中がただれたり、しこりや出血が見られる時は、早急に病院で診察してもらうことが大切です。

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歯周病とは

歯周病とは、歯垢や歯石を放置したり、歯茎に傷が付くことによって、歯の表面で細菌や毒素を産生し、歯茎や骨までも炎症を起こしてしまう歯の病気で、3歳以上の犬の80%が歯周病を発症すると言われています。

歯周病が悪化すると、鼻腔にまでも影響を及ぼし、「歯根部」の感染がより奥の方まで拡がった結果、鼻腔に穴を開けてしまい、呼吸器系の症状が現れます。物を噛むのを痛がったり、片方でばかり噛んでいた様子が見られた後に、くしゃみ・鼻水の症状が見られます。さらに重篤な状態になると、骨を溶かし、歯周病の原因菌が全身へと感染してしまうことで、肺炎や心臓病といった重大な病気を引き起こす場合もある怖い病気です。

口内炎の治療法とは

口内炎を発症した場合、まずその原因となっている病気の治療を行いながら、ウィルスを抑えるための抗生剤を投与したり、炎症の症状を緩和するための抗炎症剤を投与されます。また、口腔内の免疫力を高める役割がある、ラクトフェリンなどのサプリメントが使用されることもあります。

歯周病などが原因で口内炎を発症した場合、その歯科疾患の治療が行われますが、症状が重い時は、口内炎の症状を軽減するために、麻酔をかけて抜歯が施されることもあります。体調などの問題で、麻酔をかけることができない場合は、炎症を抑えるための抗生物質の投与と患部の塗り薬での治療となりますが、口内炎を引き起こす原因となる歯を抜くことができないので、また再発を繰り返すことがあります。

口内炎の予防と対策

口内炎を発症しないようにするためには、まず一番原因が多いとされる歯周病にさせないようにすることが大切です。口腔内を普段から清潔にすること、食後には歯磨きを欠かさず行ってあげましょう。また、普段から硬く尖ったようなおもちゃやおやつは与えないこと、感電する恐れのある電気コードは愛犬の手の届くところに置かないようにしましょう。

人間の場合、口内炎を発症しても、ビタミンを摂取して時間が経てば治ってしまいますが、犬の場合はそんな簡単なものではありません。「たかが口内炎」と思って放っておくと、食事を摂ることができなくなり、特に、高齢犬や病気によって体力が落ちている犬は、後に重篤な状態になることも考えられますので、早期発見・早期治療が大切です。

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