愛猫の呼吸が荒かったり、普段はキャットタワーで元気に遊んでいたのに、全然遊びたがらないという様子は見られませんか?それはもしかしたら、「気胸」という病気のせいかも・・・。今回は、あなたの愛猫も他人事ではない「気胸」について調べてみましょう。

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気胸とは

「気胸」とは、何らかが原因によって胸腔内に空気が入ってしまうことで、肺が正常に機能しなくなってしまう呼吸器系の病気です。そのまま放っておくと、呼吸困難に陥って、命を落とすこともあります。
「胸腔」とは、横隔膜や助骨によって囲まれた空間を言いますが、疾患や外傷などが原因で、肺や気管に損傷を与え、この胸腔内に本来入るはずのない空気が入ってしまい、その空気が肺を圧迫することで、肺が正常に伸縮運動を繰り返すことができなくなってしまうのです。
それでは、命の危険もあると言われている「気胸」の症状や原因、治療法について解説しましょう。

気胸の症状について


気胸の初期症状は、呼吸がいつもより早くなる程度ですが、症状が進行すると呼吸困難を引き起こし、チアノーゼといった症状が見られることもあり、先述したように悪化すると、呼吸困難から命を落としてしまうこともあります。
普段は垂らすことないよだれを垂らすようになったり、嘔吐した時に血が混じることもあります。また、呼吸がしづらくなりますので、キャットタワーを登り降りしたり、走り回るなどの運動を避けるようになります。
その他にも、普段は甘えん坊でスリスリ寄ってくるのに、胸を触られることを痛がるようになるため、飼い主さんと距離を置くような素振りも見られます。

チアノーゼとは

チアノーゼとは、血液中の酸素が極端に不足することで、猫の舌や唇が青くなったり、青紫色になる症状を言います。
原因は、心臓に送り出す血液の量が減少したり、大ケガをして大量出血をしたり、熱中症、低体温症、中毒、異物を飲み込んだなどの理由からチアノーゼを発症します。
猫がチアノーゼになって、こうした症状が出始めたら、呼吸器系や循環器系の病気を患っているということが考えられるため、かなり危険な状態だと言えるでしょう。

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気胸の原因について

肺や気管が損傷を起こしたり、穴が開くことで空気が入り、胸腔内に不要な空気が溜まって、肺が正常に機能しなくなることで気胸になりますが、その原因は、「疾患」か「外傷」のどちらかに分けられます。
疾患の場合は、「肺炎」や「肺気腫」などの呼吸器疾患や腫瘍などが原因で、肺や気管に炎症が広がり、それらの部分に損傷を与えてしまうことで気胸を引き起こします。このことを「自然発症性気胸」と言います。
また、外傷の場合は、交通事故などが原因で胸部を圧迫したり、鋭利なものが胸部に刺さったり、猫同士のケンカなどが原因で、肺や気管に穴を開けてしまうこともあります。他にも、強く咳き込んだ衝撃で、肺や気管に炎症が起きて気胸を発症することもあるようです。このように外傷が原因のものを「外傷性気胸」と言います。

肺炎とは

肺炎とは、猫が「風邪」を引くことで引き起こされる症状の一つです。猫が健康体である場合には肺炎はもちろん、風邪をひくことも稀となりますが、免疫力が低下している猫や子猫、老猫が風邪をひいてしまい、症状が重症化してしまうことで肺炎が引き起こされてしまうのです。
肺炎の症状としては咳や発熱、元気や食欲の減退と言った諸症状から始まり、やがては呼吸困難などの症状を引き起こしてしまい、場合によっては命を落としてしまう合併症を患う場合もあります。
気胸もこの合併症の一つとも言え、肺炎の症状が悪化してしまうことで気胸を引き起こしてしまうのです。そのため、気胸を予防するためには肺炎にならないような予防策を、肺炎を予防するには風邪をひかないような予防策を取る必要が出てきます。

肺気腫とは

肺気腫とは、肺の中で酸素と二酸化炭素を交換する役割のある「肺胞」が、何らかが原因で、膨らんで壊れてしまう症状を言います。
肺気腫になると、取り込んだ空気を循環させたり、外へ排出することができなくなるため、うまく呼吸ができず、呼吸困難に陥ることがあります。
肺気腫には「慢性」と「急性」があり、慢性の場合は、疲れやすい、運動をしたがらない、よだれが止まらないなどの症状から、悪化すると呼吸困難に陥ってしまい、最悪の場合死に至ることもあります。急性の場合は、突然発症するのが特徴で、急激に悪化して、口や鼻から泡を吹いて倒れ、そのまま死亡することもある怖い病気です。

気胸の治療について


基礎疾患が原因で気胸が引き起こされる「自然発症性気胸」の場合は、まずその基礎疾患の治療を行います。
気胸の症状が初期症状の段階であれば、投薬治療で改善する可能性がありますが、症状が重症化して、呼吸困難に陥っているようであれば、針などを使って胸腔内に溜まった空気を取り除く、「脱気(だっき)」と呼ばれる治療法が行われるでしょう。
その後は、猫がしっかりとした呼吸ができるようになるまで酸素吸入が行われ、呼吸を安定させる治療が施されます。
気胸はあくまでも何かしらの要因によって引き起こされる病気であるため、その原因を治療しなければ、気胸を完治させることはできません。そのため、気胸の治療に関しては、基礎疾患の治療がメインとなってくるのです。

気胸の手術

「外傷性気胸」によって、肺や気管が激しく損傷を起こして穴が開いている場合は、その穴をふさぐというような外科手術が行われます。また、胸腔内にチューブを入れっぱなしの状態にして、溜まった空気が流れていくようにする手術が行われることもあります。
気胸の手術に関してはこうした外的な要因によるものが多いですが、通常であればX線検査などで穴の開いている場所を確認し、処置を施すのが一般的。しかし、その穴が見つからなければ実際に開胸手術を行い、穴の開いている箇所を直接確認する方法が取られます。
多くの場合、気胸を引き起こしている要因がはっきりしているため、開胸手術が行われるのは、その要因がはっきりしていない場合と言えるでしょう。

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気胸の治療費について


猫の気胸を治療する際には、どの程度の予算が必要となるのでしょうか。
前述の通り、気胸は何かしらの病気が原因となって引き起こされてしまう病気です。そのため、この原因を突き止めることが大事になってきます。合わせて、気胸の症状を緩和させる処置が施されます。
肺炎や肺気腫の治療に関しても同じですが、気胸の治療においても入院となる場合が多く、治療費としては10万円前後は予定しておく必要があるでしょう。レントゲンや血液検査でも2〜3万程度の治療費が発生しますので、入院せずとも、ある程度の金額が必要となります。
まずは基礎疾患となるものをつきとめ、その病気を治療しなければ気胸を治療することも出来ませんので、症状が悪化してしまう前にすぐに病院へ連れて行くのが懸命でしょう。

気胸の対策と予防とは

気胸と診断された時、初期症状の場合は、投薬治療と愛猫を安静に過ごさせる必要がありますので、激しい運動は避けましょう。
気胸を引き起こすと、呼吸が浅くなったり、荒くなったり、大好きな運動を嫌がるなどという様子が見られます。この病気は、愛猫の呼吸の仕方が普段と全く異なり、呼吸困難に陥った時は、かなり苦しそうな表情を浮かべます。ひどく咳き込んで、呼吸が辛そうにしている時などは、すぐ動物病院へ連れて行く必要があるでしょう。
まず、あまり聞き慣れない「気胸」という病気を知って頂き、このような症状が現れた時、症状が重症化する前に動物病院へ行って診察してもらうことが、気胸の早期発見・早期治療に繋がるでしょう。

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