「ノミ」や「ダニ」をはじめとした「寄生虫」による病気や症状は様々なものがあり、寄生虫による被害を予防するためにも、知識や予防策を知ることが大事になります。今回は猫の寄生虫のひとつ「回虫症」による症状や予防法について解説します。

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「回虫症」とは

「寄生虫」は、猫の世界でももちろん、犬や鳥、人間界でも知られるもので、この寄生虫が体内や体に「寄生」することで、様々な悪影響を体に及ぼすものです。そんな寄生虫ですが、比較的、猫に多く見られる寄生虫のひとつに「回虫」が知られています。この回虫が寄生することで発症する「回虫症」とは、猫の小腸へと寄生することで、猫が食べた食物の栄養を、小腸内で栄養を横取りするといった悪さをする寄生虫です。

健康な成猫が回虫症になると、ちょっとした下痢を起こし、食欲は旺盛でも太らない・痩せてゆくといった症状があらわれます。また、栄養を横取りされているために毛艶などにも影響が出る場合もあります。また、全く症状が現れない場合もあるでしょう。

ただし、子猫が回虫症になると、命の危険はそこまでないものの、やがて子猫の体も衰弱していき、最悪の場合は命の危険も及ぼす、子猫の成長を妨げるやっかいな寄生虫でもあります。また、回虫はズーノーシス(人畜共通感染症)であることでも知られており、症状の差はされど、犬や猫、人間にも寄生する寄生虫です。

知れば知るほどに気持ちが悪くなるかもしれませんが、こうした寄生虫による悪影響を未然に防ぐためにも、しっかりとした知識を持ち、対策をとれるようになれば、寄生される心配もグッと減り、また万が一寄生された場合も、早期発見・早期治療を施すこともできます。

回虫症による子猫の症状とは

小腸の中に寄生する回虫は、子猫の食べた栄養も横取りしていきます。このため、成長期なのになかなか体重が増えないなど、発育不良に陥ってしまいます。その他にも、下痢や嘔吐、咳、貧血といったように様々な症状を引き起こし、さらに症状が進行していくと、お腹が膨れてくるといった症状も出はじめ、咳や嘔吐とともに回虫が吐き出されることもあるでしょう。

こうして抵抗力も低下してゆき、回虫症が要因となって他にも病気を引き起こす場合もあり、場合によっては命の危険がさらされる事態にもなりかねません。
酷くなる前に、回虫の駆除をすることが大事ですので、早期治療に努めるようにしましょう。

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回虫の寄生サイクル

回虫は「ミミズ」に似た寄生虫で、成虫は10cm前後の大きさをしています。主に口から感染する「経口感染」によって感染しますが、「卵」の状態の回虫を毛づくろいの時など、何らかの理由によって接種してしまうことで感染してしまいます。

回虫の卵は、経口感染によって胃へと到達し、猫の胃の中で孵化します。孵化した回虫は、胃から小腸へと移動して成虫になり、小腸で宿主となる猫の栄養を横取りしながら成長し、1日に10万個とも言われる数の卵を産むようになります。感染してからこの期間までは、約3週間程度となります。

この卵が猫の便と共に排泄され、次なる宿主に寄生するために、地面や水たまりといった自然環境下で生存していくのです。ただし、この卵は排泄された直後に感染力を持っているかというとそうではなく、排泄された後、約2週間ほどしないと感染力を持つ状態に卵が発育しません。

こうしたことから、回虫症の猫が排泄した排泄物は、すぐに処理することで回虫の寄生サイクルを食い止めることができますので、常に清潔な状態を保つようにし、回虫症が確実に治るまでは、すぐに排泄物を処理するようにしましょう。

回虫症の治療と予防策

回虫症の治療は、駆虫薬の投与による治療に合わせて、下痢などの他症状に対しての対症療法が施されます。基本的にはこうした治療で済みますが、自宅内に犬や猫を他にも飼育している場合は、回虫症の感染を食い止めるためにも、念のため回虫症の検査を行うことが望ましいです。

他の猫が回虫症になっていては、治療した猫も再度感染するリスクも高まりますので、ここは確実に検査を受けたいところです。
また、回虫症になった猫から更に広げないためにも、回虫症の駆虫薬を予防策として投与するというのもひとつの策です。

回虫症ではありませんが、同じ寄生虫の「フィラリア」を予防するためのフィラリア予防薬は、回虫を含めた「線虫類」に対して効果のある予防薬です。フィラリアの予防接種をするタイミングは、蚊が活動しだす春〜夏頃ですので、フィラリアの予防接種を受けたあとは、回虫症も予防されるので安心でしょう。

寄生虫による感染を未然に防ぐのは、こうした予防薬や、常に清潔な状態で飼育することが大事になってきます。取り返しのつかないような寄生虫に寄生される前に、日頃からこうした寄生虫に対して警戒心を持つようにし、綺麗な環境で健康に過ごせるようにしてあげましょう。

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