「耳血腫」と呼ばれる病気をご存知でしょうか。見た目にもすぐにわかりますが、耳の中側が腫れ上がってしまい、耳がいびつな形になってしまう病気です。今回はこの、耳血腫の症状と原因について解説していきたいと思います。

スポンサーリンク

「耳血腫」と呼ばれる病気

猫の耳の病気「耳血腫(じけっしゅ)」。この病気の症状は、猫の耳の「耳介(じかい)」と呼ばれる部分が腫れ上がってしまう病気です。猫が頻繁に耳をかいていたり、頭を振るような仕草が多く見られる場合には、注意が必要かもしれません。

耳血腫は、この耳介の軟骨が何かしらの影響を受けてしまうことで、耳介の中で出血が起きてしまい、中に血液が溜まってしまうことで腫れ上がるようになってしまいます。命に関わるとまではいきませんが、あまり放置しておくと様々な病気を引き起こす要因にもなりかねませんので、治療が急がれます。

耳血腫の原因とは

前述の通り、耳血腫は様々な要因によって引き起こされる病気です。一つとして考えられるのが、耳に対するダメージを受けた場合です。どこかに耳を強打してしまった場合に、耳の皮膚の内部で出血してしまい、耳血腫となってしまうこともあります。また、他の猫などと遊んだり喧嘩をしている最中に、耳に傷を負ってしまい、その傷口から細菌などが入り込み、炎症を起こしてしまうことでも耳血腫となる場合があるのです。

また、外耳炎などの病気を発症している場合にも、耳血腫となる場合があります。頭を振る様子と前述しましたが、外耳炎などの病気を発症している場合には、耳の違和感から頭を振る様子が見られるようになります。その際に、あまりに頭を振っていると耳血腫を引き起こす場合も考えられるのです。

この他にも、中耳炎や耳疥癬なども注意が必要です。痒みや痛みもあるために、耳をかきむしってしまったり、頭を振り続けてしまうことで耳血腫が引き起こされてしまいます。

耳血腫の症状について

耳血腫は、耳に傷を負うことでも発症しますが、上記の通り、外傷がない場合でも発症するものです。これは、耳介の軟骨が折れてしまうことで、軟骨の隙間から血液が混ざった漿液(しょうえき)が溜まってしまうためです。

耳血腫になって耳が腫れ上がってしまうと、猫は耳が気になるために触れられるのを嫌がるようになるでしょう。また、耳の内側がぶよぶよとした皮膚が盛り上がるようになり、見た目にも痛々しい感じになってしまいます。

とはいえ、痛み自体はそれほど強いものではないようです。しかし、耳に液体がたまった状態になっているため、耳、頭は重たくなってしまいます。そのため、猫がしきりに頭を振り続けてしまうのです。

耳血腫を放おっておくと、耳介の軟骨がどんどん変形してしまうようになり、完治しても耳の形そのものが変形し、非常にいびつな形状になってしまう場合もあります。命にかかわるわけではないにしても、完治した時には耳が変形してしまう恐れもあり、また、変形してしまった形状によっては、別の病気を引き起こす結果にもなりかねません。

スポンサードリンク

耳血腫の治療について

耳血腫を発症してしまった場合には、まず耳血腫になってしまった要因を解明しなければいけません。原因がわからなければ、耳血腫も回復していきませんので、耳血腫を引き起こしている要因を特定し、元となる原因を治療することが重要になってきます。

また同時に、耳血腫の症状を緩和するための治療も行われます。中に溜まってしまっている血液や漿液を取り除くため、注射器を利用して液体を吸い出す治療や、耳の変形を修正するために外科手術が行われる場合もあるでしょう。また、炎症や感染が拡がっている場合も多いので、抗生物質などの投与も行われます。

耳血腫の術後は、再び耳をかきむしってしまったりすることがないよう、エリザベスカラー等を装着し、傷口が完治するまで安静にさせる必要があります。

耳血腫のを予防するために

耳血腫があまりに進行していれば、見ただけでその症状もわかるため、見落とすということはないと思いますが、初期の状態であれば、もしかするとすぐに気が付けない場合もあるかもしれません。あまりに耳を掻いている、耳をこすりつけている、頭をしきりに振っているといった行動は、普段の生活ではあまり見られない行動です。

普段の生活から、こうした猫の病気のサインを見逃さないようにすることも大事でしょう。また、耳血腫にかぎらず、耳ダニや外耳炎、内耳炎といったように、耳の病気は耳血腫だけではありません。こうした耳の病気を発症している時にも、同じような行動が見られるでしょう。

愛猫の耳のケアをこまめに行うようにし、また、猫のちょっとした行動の変化にも気がつけるようになることが望ましいですが、なかなか耳掃除をさせてくれないといった猫は、定期的に動物病院などに診察しに行き、耳掃除や他の部位の健康チェックも行うようにしましょう。

スポンサーリンク