低アレルゲンで、低カロリー・低脂質、高タンパク質の食材として注目される「ホース(馬肉)」。近年では様々な食肉がドッグフードとして扱われるようになりましたが、それぞれの食材の特徴を理解しつつ、愛犬に与えたいもの。今回は馬肉について解説します。

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様々なドッグフードの「原料」

近年では食物アレルギーを持つ犬も多く見られます。数年前まで主流だった「チキン(鶏肉)」に対してアレルギーを持つ犬も多いため、チキンアレルギーに対応するべく登場してきていたのが「ラム(羊肉)」でした。

しかし、このラム肉に対しても食物アレルギーを持つ犬もおり、今ではチキンやラム肉のほか、今回取り上げる「ホース(馬肉)」や「ベニソン(鹿肉)」、「ビーフ(牛肉)」「ポーク(豚肉)」と言ったように、実に様々な動物性タンパク質がドッグフードとして採用されています。

こうした食材は、なにも食物アレルギーを持つ犬のためだけではなく、嗜好性(食いつきの良さ)のためだったり、その食材が持つ特徴を活かすためにも採用されています。同じ動物性タンパク質でもチキンやラム、その他の肉では大きな違いがあるのです。

低カロリーな動物性タンパク源の「馬肉」


私達が食べる肉で、カロリーや脂質が低いとされているのが鶏のササミですよね。

これはドッグフードにも同じことが言えますが、先程挙げた動物性タンパク質の中で単純に成分を比較した際に、部位によっても若干の数値の差はありますが、最もカロリーが高い物が「ポーク(豚肉)」になります。

また反対に、挙げた中で最もカロリーが低いものが「ホース(馬肉)」と「ベニソン(鹿肉)」です。

「100g中のカロリー(参考値)」
・チキン(鶏肉)・・・200 kcal
・ラム(羊肉)・・・227 kcal
・ホース(馬肉)・・・110 kcal
・ベニソン(鹿肉)・・・110 kcal
・ビーフ(牛肉)・・・371 kcal
・ポーク(豚肉)・・・386 kcal

低脂質・低カロリーな馬肉

低カロリーと聞いて気になるのが脂質です。肥満傾向の愛犬にとって最適なドッグフードの原料が低カロリーであることから、脂質も低脂質であるのが理想となります。

「100g中の脂質(参考値)」
・チキン(鶏肉)・・・14 g
・ラム(羊肉)・・・16 g
・ホース(馬肉)・・・2.5 g
・ベニソン(鹿肉)・・・1.5 g
・ビーフ(牛肉)・・・32.9 g
・ポーク(豚肉)・・・34.6 g

それぞれの原材料の脂質を比較してみると、最も低脂質なものが鹿肉、次いで馬肉の順となりますが、ビーフやポークといった原材料と比較してみても、圧倒的に低脂質であることがわかりますね。

このように、馬肉と鹿肉は圧倒的に他の食肉と比較して低カロリー・低脂質であることが分かります。低カロリー・低脂質なフードは、肥満傾向の愛犬にも最適なものです。

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カロリーを気にする愛犬に最適

上記のように、肥満傾向な犬には鹿肉や馬肉がオススメとなりますが、食物アレルギーを持つ犬にとってはどうなのでしょうか。

食物アレルギーの中でも、最近増加傾向にあるのが「チキンアレルギー」。鶏肉に食物アレルギーを持っている犬は非常に多く、なおかつ愛犬の体型が肥満傾向である場合には、主原料が馬肉か鹿肉であるドッグフードを選択してみるのがオススメとなります。

また、他の食材に食物アレルギーを抱えている犬も、馬肉に対してはアレルギーを持たない場合も多いかもしれません。念の為パッチテストを受けて、馬肉に対してアレルギーを持っていないようであれば、馬肉はオススメの食材ですので、検討してみても良いかもしれません。

高いタンパク質を含有する馬肉

馬肉が低カロリー・低脂質な食材であることはわかりましたが、他の成分に関してはどうでしょうか。馬肉と他の食肉を比較してみると、健康な体を構成するのにかかせないタンパク質においても鹿肉に次いで高い含有量です。

このことから、馬肉は低カロリーで高タンパクという、理想的な食材であることがわかります。

「100g中のタンパク質(参考値)」
・チキン(鶏肉)・・・16.2 g
・ラム(羊肉)・・・18 g
・ホース(馬肉)・・・20.1 g
・ベニソン(鹿肉)・・・22.3 g
・ビーフ(牛肉)・・・14.4 g
・ポーク(豚肉)・・・14.2 g

馬肉の栄養について

これまで馬肉は低カロリーであり、低脂質である食材として紹介してきました。しかし、馬肉が食材として優れている点はこれだけではありません。

馬肉の栄養に関しては、「ビタミンA」や「ビタミンE」を多く含み、特筆すべきは「グリコーゲン」と呼ばれる栄養の含有量が、鶏肉などの食材の3倍以上という点です。グリコーゲンはエネルギーの素になる栄養で、活動的な犬にも最適な栄養素です。

また、馬肉のほんのり香る甘みは、このグリコーゲンによるものであり、犬の食欲を増進させる旨味を持っているため、偏食がちな犬にも馬肉はオススメの食材なのです。この他、不飽和脂肪酸も豊富に含まれているので、コレステロール値を下げ、血液の循環も良くすると言った効果も期待できます。

馬肉を与える際の注意点は?


ここまで、馬肉が以下に優れている食材か、いかに犬に合った食材であるかを説明してきました。そんな馬肉ですが、もちろん注意しなければいけない点もいくつかあります。

馬肉を使用した人間のメニューとして「馬刺し」が有名である通り、馬肉の栄養素を壊さずに、効率よく摂取するには生肉が良いとされています。しかし、犬に生肉を与える際には、与えすぎに注意しなければいけません。

というのも、生肉を消化させるためには肝臓の働きが重要となり、肝臓に疾患などを抱えている犬に生肉を与えるのは危険行為となります。また、肝臓に疾患を持っていなくとも、生肉を与え続けることは肝臓に負担をかけ続けることにも繋がりますので、馬肉を与える際には生肉ではなく、ドライフードか加工されたものを与えるのがおすすめと言えます。

馬肉の良い効果

ドライフードにすると火を通すため、生肉よりも栄養素は破壊されてしまいますが、肝臓への負担を考えると、ドライフードで与えたほうが良いでしょう。また、馬肉ばかり与えていても栄養が偏りますので、しっかりと一日の栄養を考え、バランスの良いメニューを用意するようにしましょう。

馬肉の良い効果を得るためには、馬肉ばかりを食べ続けるのではなく、他の食材の栄養素をのバランスが大切になってきます。栄養が偏ってしまうと、健康を維持するのはおろか、別の病気を引き起こしてしまう可能性も出てきてしまいます。

また、生肉食は歯周病を引き起こすということも指摘されています。どうしても馬肉の生肉を与える際には、毎日ではなく、定期的に与えるようにし、栄養バランスを考えるようにしましょう。

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安い馬肉は無い?

以上からもわかるように、馬肉は低カロリー・低脂質・高タンパク質の食材で、他にも繊維質やビタミン・ミネラルも豊富、また、肝臓にも優しい食材としても知られ、コレステロールを抑えるリノール酸・オレイン酸などの不飽和酸脂肪も豊富な非常に優れた食材です。

ここまで書くと、なんで馬肉のドッグフードが少ないの?という疑問が上がりますが、馬肉はとっても高価な肉としても知られますね。馬刺しに代表されるように、これは人間用にも同じことが言えますが、ドッグフードに使用するとなると、他の食肉と比較して非常に高価になってしまうという事が言えます。

このように、馬肉は高級食材の一つであり、馬肉を扱うドッグフードは少ないのかもしれませんね。

まとめ


馬肉を主原料としているドッグフードの多くは、店頭に並ぶような大量生産される商品ではなく、ネット通販などで販売されている小規模の物が多いようですが、馬肉を試してみたい!という飼い主さんは、まずは店頭に並んでいる馬肉を使用した缶詰やおやつを試してみてはいかがでしょうか。

犬によっては好きな肉、好きでない肉もあります。缶詰やおやつといったアイテムでも、ある程度の食いつきは確認できますので、まずはおやつなどから始めてみましょう。突然フードを変えると、食べなくなる場合もありますので、切り替えには注意したいところです。

馬肉の缶詰やおやつの食いつきが良いようであれば、今度は馬肉を主原料としたドッグフードに挑戦してみても良いかもしれません。馬肉自体の成分に対する信頼度は非常に高いものなので、愛犬にも良い効果が見られることでしょう。

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